上 下
15 / 30
【二人目・二葉 兵固】

2

しおりを挟む
翌日ログインすると既にビール片手に寛いでいる姉さんがいらっしゃいました。
「遅れてすんません・・・・・・・・」
「ん?まだ待ち合わせ時刻じゃないでしょ?私ちょっとこっちのメニューを調べておきたくて少しだけ早くインしたのよ」
「あ~~メニューね・・・・・・・・」
目の前には朝から食べるには胃に痛そうな食事がズラリ。
つかさ、
「昨日焼き鳥食ったばっかじゃん」
「焼き鳥大好物なのよ~軟骨、ぼんじりが私の好物よ!」
「ソウデスネキノウソレバカリクッテマシタネ」
「何で棒読みなのよ!それよりさっさと座りなさいな。あんたも一杯呑んで、気分を上げてから討伐行くわよ!」
「アイアイサー!!」


「で、ここがレベル上げする森ね?何か『ぎゃー』とか『わー』とか『助けてー』とか言う悲鳴多くない?」
「・・・・・・・・俺もそう思う。そんなにレベルの高くない森のはずなんだけど?」
「ということは、レベルが相応じゃないプレイヤーが挑んだってことかしら?」
「そうとしか考えられないよな」
と、応えるも異常な程怒号や悲鳴が森の奥から聞こえてくる。
実際俺たちと同じように森に入ろうとしていたパーティは、ドップリと汗を垂らして逃げ帰った。
マジでこれ異常事態な気がするので、姉さんに相談しようとしたのだが、横にいたはずの彼女はいなくて、スタスタと既に森に入っているではないか。
「ちょっ!姉さん!!」
慌てて俺も追いかけると、ガラリと空気が変わった。
レベルの低い森にしては異常な空気。
『毒』が混じっている。
耐性レベルが低いながらも俺と姉さんは『毒耐性』を身につけていて良かった。

『めんどいのが毒よね~~。何で稼いだ金でスキル買いましょうよ?』
『確かにな。身につけておけば楽にダンジョンとか行けるし。森で耐性レベル上げれるなら上げてからダンジョンだな』
『それね!口布するのはアサシンとしては当然なんだけど、耐性付けておく方が絶対だしね』

という会話を以前し、その時丁度スキルショップがあったのでそれを購入したのだ。
そんなに高くなかったし。
『毒耐性スキル』は序盤で勝手に手に入るのだが、勝手に手に入ってからレベル上げすると時間がかかるので、安くて実用性があるスキルはその時一緒に購入した。
『状態異常解除』『ヒール』『ガード』の3つだ。
しかし、状態異常やヒールは「神官」か「ヒーラー」の仕事で『ガード』は重騎士などの主要スキルなのだ。
だから、違う職がそれを手にすればレベル上げをするのに苦労するのだ。
職相応のスキルでないと、倍の時間と努力がかかる。だからこそ、初期設定の時に購入したのだ。
ま、それはいいとして、
「ヒョウゴ、口布下がってるわよ。まだまだ耐性レベル上がってないんだからしっかりしてちょうだい」
「すまねー姉さん」
指摘されたとおり俺は少し迂闊すぎたわ。だが、
「気配がするぜ、人間じゃないのが」
「ええ、気配はわかってたけど人間ないの?」
「ああ、これは・・・・・・・・・・・スライムぅぅぅっ!?」
ピョコンと現われたのはスライム軍勢だった。
「か、か、か、かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
その軍勢を見ても全く怖じ気づくことなく異様な言葉を放つ姉さん。
やっぱりただ者じゃねーよ。
「ね~~仲間にしていいの、スライム?」
「へ?いや、あんたテーマ-じゃねーから無理だろう?」
「えええええええええええええっ!こんな可愛いのに!ね、スライムちゃん?」
ニコ~~と笑っているがスライムには怖かったのかブルルと震えて逃げ、あ、姉さんの後ろに隠れた。
スライムがいた場所にはこの森には出るはずのないコボルトが血まみれで現われて、倒れた。
異様な光景が広がる中、ずしりずしりと地響きをしながら俺たちに何かが近づいてくる。
俺たちは姿を消して隠れるとなんと人間を引きずったオークキングが現われたではないか。
こんな森には存在しないレベル。
オークキングは大体ランク80~90のダンジョンまたは森に生息しているはず。
俺たちがいるようなランク30~40の森に出てはならないモノだ。
運営がランクの変更を告知もなく勝手にしたのだろうか?
そうであるならば先ほど聞こえてきた悲鳴などはこいつがもたらしたもので間違いない。
これでプレイヤーは減ること必至だ。
しかし気になることがある。
オークキングはこのゲームのモンスターだから死体は血を残さずプレイヤーはログアウトされるはずなのに、されていない状況。
だが、息はしていない・・・・・・・・・。
なんだ、この状況はっ!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

リフォーム分譲ダンジョン~庭にダンジョンができたので、スキルを使い改装して、分譲販売することにした。あらぬ罪を着せてた奴らにざまぁしてやる~

喰寝丸太
ファンタジー
俺はソフトウェア開発会社の社員だった。 外注費を架空計上して横領した罪に問われ会社を追われた。 不幸は続く。 仲の良かった伯父さんが亡くなった。 遺産が転がり込むかと思われたら、貰った家の庭にダンジョンができて不良物件に。 この世界は10年前からダンジョンに悩まされていた。 ダンジョンができるのは良く聞く話。 ダンジョンは放っておくとスタンピードを起こし、大量のモンスターを吐き出す。 防ぐ手段は間引きすることだけ。 ダンジョンの所有者にはダンジョンを管理する義務が発生しますとのこと。 そして、スタンピードが起きた時の損害賠償は所有者である俺にくるらしい。 ダンジョンの権利は放棄できないようになっているらしい。 泣く泣く自腹で冒険者を雇い、討伐する事にした。 俺が持っているスキルのリフォームはダンジョンにも有効らしい。 俺はダンジョンをリフォーム、分譲して売り出すことにした。

アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波
ファンタジー
新入社員として社会の波にもまれていた「青葉 春」。 社会人としての苦労を味わいつつ、のんびりと過ごしたいと思い、VRMMOなるものに手を出し、ゆったりとした生活をゲームの中に「ハル」としてのプレイヤーになって求めてみることにした。 ‥‥‥でも、その想いとは裏腹に、日常生活では出てこないであろう才能が開花しまくり、何かと注目されるようになってきてしまう…‥‥のんびりはどこへいった!? ―― 作者が初めて挑むVRMMOもの。初めての分野ゆえに稚拙な部分もあるかもしれないし、投稿頻度は遅めだけど、読者の皆様はのんびりと待てるようにしたいと思います。 コメントや誤字報告に指摘、アドバイスなどもしっかりと受け付けますのでお楽しみください。 小説家になろう様でも掲載しています。 一話あたり1500~6000字を目途に頑張ります。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

引退した元生産職のトッププレイヤーが、また生産を始めるようです

こばやん2号
ファンタジー
とあるVRMMOで生産職最高峰の称号であるグランドマスター【神匠】を手に入れた七五三俊介(なごみしゅんすけ)は、やることはすべてやりつくしたと満足しそのまま引退する。 大学を卒業後、内定をもらっている会社から呼び出しがあり行ってみると「我が社で配信予定のVRMMOを、プレイヤー兼チェック係としてプレイしてくれないか?」と言われた。 生産職のトップまで上り詰めた男が、再び生産職でトップを目指す! 更新頻度は不定期です。 思いついた内容を書き殴っているだけの垂れ流しですのでその点をご理解ご了承いただければ幸いです。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

処理中です...