13 / 30
【一人目・一条 臨】
13
しおりを挟む
12時ジャスト!
ランチタイムだーーーーーーー。
こんなお局さん達と食べたくないから、私はいつも天気が良ければ中庭のベンチで食べている。
ここで食べる人たちは結構限られていて、周りとの距離を休憩時間くらい置きたいと思っている連中ばかりだ。
日陰になっているベンチに座り、持ってきた昨晩の残り物弁当を広げて、スマホを開く。
ヒョウゴに教えて貰ったのだが、スマホでも「NEO フロンティア-護国転生-」ができるらしい。
ただし、あくまでこのゲームは精神世界に入ってプレイするフルダイブ形式だから戦闘などはできないらしい。出来ることは、①ギルドメンバーとのチャット、②ギルド掲示板の更新、③欲しいスキルの課金、④ゲーム会社への問い合わせの4点のみなのだそうだ。
コスチュームや防具、武器は精神世界に入らなければ購入できないそうだ。自分で着て、自分で武器などの感触を楽しむのもこのゲームの醍醐味なんだって。
ま、そんなことは横にポイッと捨てて、ギルドのチャットを開く。先日ヒョウゴがメンバーに加わったため、この機能を使える日が訪れたのだ。
ふっふっふ!何か嬉しいぞ?
チャットボタンをクリックすると、既にヒョウゴが書き込みをしていた。
『姉さん!今日の20時から1時間ほど経験値稼ぎに行きません?明日仕事だと思うので、無理しない程度で』
『いいわよ?どこで稼ぐか考えておいて』
『了解っす!!』
と、すぐに返信が来たので、一つ目の書き込み時間を確認すると、私と同時刻くらいにログインしていたようだ。
こいつも昼休憩ってこの時間帯なのかしら?
『あんた、毎日この時間が休憩なの?』
『そうです!俺いっつも一人で会社の中庭のベンチでコンビニ弁当食ってるっす!』
『あら、私と似てるわね。私は持参した弁当だけど、ロケーションは同じだわ』
『ということは、姉さんの会社って結構でかいんすね?』
『そうよ、でかいのよ!その中で私は下の下だけどね』
『似たようなもんすよ、俺も』
私はいつも読んでいる無料アプリの漫画もそっちのけでチャットに没頭していたら、昼休憩があと10分で終わるチャイムが鳴った。
ちっ!私の癒やし時間が終わりやがった!
でも、あと半日だーーーーー!
『悪いっす!俺の会社休憩終了10分前にチャイム鳴るんすけど、今鳴ったんでまた夜に!』
『ん?私のところと同じね。ま~夜にね』
と、私はアプリを終了して、ベンチから立ち上がると、斜め前に座っていた男の子も立ち上がった。手にはコンビニの袋。中は弁当がらみたいだ。確か営業部の子だったはず?成績は悪くないのに、何故か上司から嫌がらせを受けている子だったような。しかも、彼の同期にめっちゃ顔だけがいい子がいて、そいつに自分の顧客を何人も取られたとかなんとか?
可哀想すぎる!
人のこと言えんくらい私も可哀想だけど。
その子が、「あ~姉さんと話すの20時からか~。もっと早くログインできたらいんだけど」という言葉が聞こえてきて、私の頭はフルスロットル!
つまりこの子は・・・・・・・・・・・
「あんた、もしかして『ヒョウゴ』?」
「はえ?」
そして、私たちの会社でのゲームライフは始まりを迎えたのだった。
ランチタイムだーーーーーーー。
こんなお局さん達と食べたくないから、私はいつも天気が良ければ中庭のベンチで食べている。
ここで食べる人たちは結構限られていて、周りとの距離を休憩時間くらい置きたいと思っている連中ばかりだ。
日陰になっているベンチに座り、持ってきた昨晩の残り物弁当を広げて、スマホを開く。
ヒョウゴに教えて貰ったのだが、スマホでも「NEO フロンティア-護国転生-」ができるらしい。
ただし、あくまでこのゲームは精神世界に入ってプレイするフルダイブ形式だから戦闘などはできないらしい。出来ることは、①ギルドメンバーとのチャット、②ギルド掲示板の更新、③欲しいスキルの課金、④ゲーム会社への問い合わせの4点のみなのだそうだ。
コスチュームや防具、武器は精神世界に入らなければ購入できないそうだ。自分で着て、自分で武器などの感触を楽しむのもこのゲームの醍醐味なんだって。
ま、そんなことは横にポイッと捨てて、ギルドのチャットを開く。先日ヒョウゴがメンバーに加わったため、この機能を使える日が訪れたのだ。
ふっふっふ!何か嬉しいぞ?
チャットボタンをクリックすると、既にヒョウゴが書き込みをしていた。
『姉さん!今日の20時から1時間ほど経験値稼ぎに行きません?明日仕事だと思うので、無理しない程度で』
『いいわよ?どこで稼ぐか考えておいて』
『了解っす!!』
と、すぐに返信が来たので、一つ目の書き込み時間を確認すると、私と同時刻くらいにログインしていたようだ。
こいつも昼休憩ってこの時間帯なのかしら?
『あんた、毎日この時間が休憩なの?』
『そうです!俺いっつも一人で会社の中庭のベンチでコンビニ弁当食ってるっす!』
『あら、私と似てるわね。私は持参した弁当だけど、ロケーションは同じだわ』
『ということは、姉さんの会社って結構でかいんすね?』
『そうよ、でかいのよ!その中で私は下の下だけどね』
『似たようなもんすよ、俺も』
私はいつも読んでいる無料アプリの漫画もそっちのけでチャットに没頭していたら、昼休憩があと10分で終わるチャイムが鳴った。
ちっ!私の癒やし時間が終わりやがった!
でも、あと半日だーーーーー!
『悪いっす!俺の会社休憩終了10分前にチャイム鳴るんすけど、今鳴ったんでまた夜に!』
『ん?私のところと同じね。ま~夜にね』
と、私はアプリを終了して、ベンチから立ち上がると、斜め前に座っていた男の子も立ち上がった。手にはコンビニの袋。中は弁当がらみたいだ。確か営業部の子だったはず?成績は悪くないのに、何故か上司から嫌がらせを受けている子だったような。しかも、彼の同期にめっちゃ顔だけがいい子がいて、そいつに自分の顧客を何人も取られたとかなんとか?
可哀想すぎる!
人のこと言えんくらい私も可哀想だけど。
その子が、「あ~姉さんと話すの20時からか~。もっと早くログインできたらいんだけど」という言葉が聞こえてきて、私の頭はフルスロットル!
つまりこの子は・・・・・・・・・・・
「あんた、もしかして『ヒョウゴ』?」
「はえ?」
そして、私たちの会社でのゲームライフは始まりを迎えたのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~
志位斗 茂家波
ファンタジー
新入社員として社会の波にもまれていた「青葉 春」。
社会人としての苦労を味わいつつ、のんびりと過ごしたいと思い、VRMMOなるものに手を出し、ゆったりとした生活をゲームの中に「ハル」としてのプレイヤーになって求めてみることにした。
‥‥‥でも、その想いとは裏腹に、日常生活では出てこないであろう才能が開花しまくり、何かと注目されるようになってきてしまう…‥‥のんびりはどこへいった!?
――
作者が初めて挑むVRMMOもの。初めての分野ゆえに稚拙な部分もあるかもしれないし、投稿頻度は遅めだけど、読者の皆様はのんびりと待てるようにしたいと思います。
コメントや誤字報告に指摘、アドバイスなどもしっかりと受け付けますのでお楽しみください。
小説家になろう様でも掲載しています。
一話あたり1500~6000字を目途に頑張ります。
引退した元生産職のトッププレイヤーが、また生産を始めるようです
こばやん2号
ファンタジー
とあるVRMMOで生産職最高峰の称号であるグランドマスター【神匠】を手に入れた七五三俊介(なごみしゅんすけ)は、やることはすべてやりつくしたと満足しそのまま引退する。
大学を卒業後、内定をもらっている会社から呼び出しがあり行ってみると「我が社で配信予定のVRMMOを、プレイヤー兼チェック係としてプレイしてくれないか?」と言われた。
生産職のトップまで上り詰めた男が、再び生産職でトップを目指す!
更新頻度は不定期です。
思いついた内容を書き殴っているだけの垂れ流しですのでその点をご理解ご了承いただければ幸いです。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
【完結】では、なぜ貴方も生きているのですか?
月白ヤトヒコ
恋愛
父から呼び出された。
ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。
「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」
単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。
「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」
「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」
「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」
という感じの重めでダークな話。
設定はふわっと。
人によっては胸くそ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる