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第四章

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「そうか、アーダルリアからそのような提案があったのか」
「はい、兄上。ですので第二騎士団の侵攻はお辞めください」
「う~~~ん、私の立場ないじゃないか、全く。スイレン団長がこちらの世界に来てから弟たちが優秀になっていくね。嬉しい反面、正直焦りがあるよ」
キュリアス殿下が頬をかきながら、ワインを流し込む。
「焦りですか?兄上が??」
「お前ね~私をなんだと思ってんの?ま、正直に言うとね、スイレン団長の『経歴』の凄さに圧倒されている、ということかな。だから、本当は『優秀な弟』に焦っているのではなく、『優秀な弟の嫁』に嫉妬しているんだよな」
え?俺に?俺に嫉妬??
ここで言葉を発してしまうと巻き込まれるので、口をぐっと噤んで~~~~~~。
「ははは、スイレンは賢いね~。本心が咄嗟に口を突いて出てくるときと、そうなってはいけないときを弁えてる。本当に弟にはもったいない『軍師』で『策士』で『嫁』だよ」
これは褒められてんのか、そうでないのか?どっちだ??
とりあえず、ガンと口を閉ざしてやる!
俺は『ザ☆置物』だ!!!
「ならば侵攻は中止しよう。だが、私と共に第二騎士団はアーダルリアへ向かう。『交渉』の為にな」
「キュアス、第二騎士団だけでは足るまい?第三騎士団も同行させた方がよいのでは?」
「ま、オーガストの言うとおりだな。だが、アルバートとレイフォードが魔国に行ったきりだろう?だから団の統率がな~。ジオルドだけではどうにもならんし」
「なっ!言ってくれるではないですか、兄上!本当の事でも言わないでくださいよ!」
「自覚してるのか、お前は全く・・・・・・・。でも、ま、そんなところが可愛いだけどね。第四騎士団を連れて行っても良いけど人数が足りないよね。何せ、まだ異世界の者たちだけの団だからね」
「ぐっ!どうしたら団員が増えるのだろうか、兄上・・・・・・・」
「どうしたらって、スイレンがやらかさなきゃ、増えてたのにぜ~~~んぶ学校の方に携わるようにしちゃったからね~」
「ぐっ!」
さすがにこれには俺も反省です、はい。
でも、そのおかげでよい教育が成されていると、風の噂で聞いたので満足だ!
「人員を増やすのが第四騎士団の最重要課題だな」
「兄上、そうは言いますけどね、なかなかとよい人材は見つからないのですよ」
「はっはっは!ま、ジルフォードにはブランクがあるからな~。実績がないから信用がないものな」
「・・・・・・はっきり言わないでくださいよ、自覚はあるんで」
しょんぼりするジルフォードに声をかけたいが、絶対に巻き込まれるので俺は『ザ☆壁』になりきる!
「第一はこの国の護りに半分と魔国に半分派遣しているから無理だな。第二はこちらに帰還させたから問題ない。第三を分けるか?アルバートにアーダルリア遠征の方を任せて」
「いや、それはまずいだろう。魔国に居る団長はアルバートだけだ。それを遠征に回すと『魔国はどうでもいいのか?』と受け取りかねられん」
「だからと言ってレイフォードでは遠征は不向きだろう?あいつは『水』の力で浄化が出来るのだろう?だったら『魔国』に今はいるべきだ。それに『治癒』が得意なあいつには『話し合い』より『助け』の方が向いている」
「確かに、な。では第三の騎士団長および副団長は『魔国』に駐在するとして、第三騎士団の半分は遠征の時だけ第四の指揮下に加えるか?」
「それがよい案ではないか?な~ジオルド、ジルフォード」
二人に問うてはいるが、既にこれは決定事項だろう。何せ兄二人の目が笑っていない。真剣そのもので『否』は認めない空気だ。
さすがにこれはなかろう、兄弟でも。弟の意見を聞かない者に『話し合い』という遠征は『不向き』だ。
俺は我慢に堪えられず口を開こうとしたのだが、陛下が待ったをかけた。
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