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第四章

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「あら、こんなとこでダウンしちゃうなんて、今までだったらありえないことね~」
と、言いつつ菖蒲殿はスイをヒョイと肩に担いだのだった。
「「っ!!!!!!」」
葵殿ならわかるのだが、菖蒲殿が軽々と担ぎ上げる姿は、違和感しかない。
菖蒲殿は葵殿と比べ線が細く、スイと然程変わらぬ体型であるからだ。
「あんら~、私だって一応「男」よ。この子くらい軽く担ぐわよ~。翠蓮だって、多分殿下たちくらいなら軽々担げるわよ?」
「「げっ!!!!」」
私たちより一回りも細いスイが筋肉質量の多い人間を担げるなんて!
「「筋トレあるのみだな!」」
「いや、筋肉量じゃなくて元々の『力量』が違うだけですからね」
「「うぐっ!!」」
適切な反論でございました。
だからといって、特権を渡すなんて駄目男のすることだ。
私は菖蒲殿からスイを奪い、自分の腕の中に修めさせた。
「あら~~~男前ね~~~」
「っ!!!スイはっ!私の、私たちの大事な伴侶だからな!他の者に触れさせたくないだけだ!!」
「ジオルド殿下はホントに翠蓮が大好きね~~~」
「俺もだぞ!俺だってスイがっ」
「はいはいはいはい、ジルフォード殿下もでしたね。もうさっさと連れて行ってくださいな。ただし、決して身体を繋げることはなさらないようお願いしますよ」
「今、翠蓮は深い眠りの中で力を休息に取り戻している。それなのに他者の感情や性を受け入れてしまえば、その取り戻した力はキャンセルされ、始めからとなる。そうなると時間が余計にかかるからな」
「了解した、葵殿。ただただ私たちの部屋でゆっくり寝て貰うよ」
私とジルは彼らに背を向けて、王宮の自室へと歩きだした。
のに!!
「あ、殿下!私は第四騎士団の執務室で、今日のことを纏めますので、何かあればそちらにお願いします」
「ああ、お前もそれが終わり次第ゆっくり休め。明日のことはまた折りを見て話そう」
「了解致しました!」
今度こそ、背を向けて歩き始めたのだ。
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