179 / 214
第三章
51 白い国
しおりを挟む
復興途中の魔国に百名ほど第一から第三までの騎士を残して、帰路についた。
殿下たちは王や王妃、兄君に報告をしなければならないため第四を残し、他の団長と副団長と共に王宮に戻った。残った俺たちは各々が与えられた団長の館の部屋で休むこととなったのだが。
が!!
「翠蓮、戻った」
窓から竜胆と葵が入ってきて、帰還を報せる。
と、同時に気配を消していなかったため、桃季と菖蒲も俺の部屋に集まったのだ。
桃季は手際よくつまみを用意し、グラスに注いだウイスキーを各自に配る。
各々好きな位置に陣取って、
「乾杯」
レインにばれたら面倒なので、聞こえないような声量で各々を讃える。
「翠蓮、飲みながら報告を聞いてくれ」
「ああ、もちろんだとも。珍しく眉間に皺を寄せた葵からは良くない話しかないようだけど?」
「その通りだ。結論から言うと、俺と竜胆は暫くこの世界に残って、お前をサポートする」
「ああ、了解した。ということは、破壊か?」
「ああ、当たっている。『破壊してきた』」
「へ~~~~~~結構『濃い』かったんだな」
俺は二人の腕を引き、
呪解返呪
「あれ、呪いだったのか?」
「ああ、お前らがどんだけ浄化しようとも消せない『紛い物』が体中に纏わり付いていたからな」
「はは、じゃ~~呪いを返された『奴ら』はどうなることやら!」
桃季が貶すように嗤いながら少なくなった中身にウイスキーを注ぎ足す。
葵は無言で桃季に自分のグラスにも注ぐようグイっと手渡すと、文句も言わず「へ~へ~」と言いながら注ぎ足している。
「場所は、魔国から北東に行った『白い』国だ」
「「「白い国???」」」
魔国とは逆に『白』なのか?
「ああ、真っ白だ。壁も家も服も顔色も、な」
「何なら騎士服や兵士の鎧まで白一色だった」
「・・・・・・・・・・・・・汚れ目立ちそうね」
「いや、姉さん、そこじゃねーよ、突っ込むの」
「桃季、その机の引き出しに地図が入っているから取ってくれ」
「あいよ」
丁度机に凭れていた桃季に頼んで、俺が座っているソファに投げ寄越した。
目の前のローテーブルにそれを拡げた時、トントンとノック音がし俺が入室を許可すると、マントを脱いだレインが扉を開けて、
「な、な、な、」
「「「「「?????」」」」」
「なんて、格好いい場面なんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
と、意味不明な言葉を叫んだ。
いつの間にか戻ってきていた他の団長と共に殿下たちも俺の部屋に駆けつけて、
「絵になる光景だ」
「絵師を呼べ!」
とか、全く本当に訳がわからないことを散々言い散らかすので、鉄拳制裁を加えて強制的に黙らせた。
のにも関わらず、レインだけは諦めず、
「アルコールを飲むお姿が夕日に溶け込んで、とても美しい光景だったのに!」
と、まだ戯言を宣うが話が進まないので、
「レイン、黙らないなら出て行って構わないけど?」
本心ではないが、まじで話が進まないので結構キツ目に言ってみたら焦りだして
「すみません!黙りますので仲間はずれにしないでくださいーーーーーーーーーーーーーーー」
何とも情けない頼み事で、一旦の騒動は収まりました。
殿下たちは王や王妃、兄君に報告をしなければならないため第四を残し、他の団長と副団長と共に王宮に戻った。残った俺たちは各々が与えられた団長の館の部屋で休むこととなったのだが。
が!!
「翠蓮、戻った」
窓から竜胆と葵が入ってきて、帰還を報せる。
と、同時に気配を消していなかったため、桃季と菖蒲も俺の部屋に集まったのだ。
桃季は手際よくつまみを用意し、グラスに注いだウイスキーを各自に配る。
各々好きな位置に陣取って、
「乾杯」
レインにばれたら面倒なので、聞こえないような声量で各々を讃える。
「翠蓮、飲みながら報告を聞いてくれ」
「ああ、もちろんだとも。珍しく眉間に皺を寄せた葵からは良くない話しかないようだけど?」
「その通りだ。結論から言うと、俺と竜胆は暫くこの世界に残って、お前をサポートする」
「ああ、了解した。ということは、破壊か?」
「ああ、当たっている。『破壊してきた』」
「へ~~~~~~結構『濃い』かったんだな」
俺は二人の腕を引き、
呪解返呪
「あれ、呪いだったのか?」
「ああ、お前らがどんだけ浄化しようとも消せない『紛い物』が体中に纏わり付いていたからな」
「はは、じゃ~~呪いを返された『奴ら』はどうなることやら!」
桃季が貶すように嗤いながら少なくなった中身にウイスキーを注ぎ足す。
葵は無言で桃季に自分のグラスにも注ぐようグイっと手渡すと、文句も言わず「へ~へ~」と言いながら注ぎ足している。
「場所は、魔国から北東に行った『白い』国だ」
「「「白い国???」」」
魔国とは逆に『白』なのか?
「ああ、真っ白だ。壁も家も服も顔色も、な」
「何なら騎士服や兵士の鎧まで白一色だった」
「・・・・・・・・・・・・・汚れ目立ちそうね」
「いや、姉さん、そこじゃねーよ、突っ込むの」
「桃季、その机の引き出しに地図が入っているから取ってくれ」
「あいよ」
丁度机に凭れていた桃季に頼んで、俺が座っているソファに投げ寄越した。
目の前のローテーブルにそれを拡げた時、トントンとノック音がし俺が入室を許可すると、マントを脱いだレインが扉を開けて、
「な、な、な、」
「「「「「?????」」」」」
「なんて、格好いい場面なんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
と、意味不明な言葉を叫んだ。
いつの間にか戻ってきていた他の団長と共に殿下たちも俺の部屋に駆けつけて、
「絵になる光景だ」
「絵師を呼べ!」
とか、全く本当に訳がわからないことを散々言い散らかすので、鉄拳制裁を加えて強制的に黙らせた。
のにも関わらず、レインだけは諦めず、
「アルコールを飲むお姿が夕日に溶け込んで、とても美しい光景だったのに!」
と、まだ戯言を宣うが話が進まないので、
「レイン、黙らないなら出て行って構わないけど?」
本心ではないが、まじで話が進まないので結構キツ目に言ってみたら焦りだして
「すみません!黙りますので仲間はずれにしないでくださいーーーーーーーーーーーーーーー」
何とも情けない頼み事で、一旦の騒動は収まりました。
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
尻穴がバイブレーションしちゃう職業病が成人病として広まってしまった世界
左側
BL
座りっぱなしで働く人がなりがちな、『尻穴がバイブレーションしちゃう』病。
お尻に何かを入れると症状が治まる。
精液を注入すると落ち着いた状態が長持ちする。
――― その病が成人病として広まってしまったファンタジー世界のお話。
凸 強面の三十路兵士団長(ナンディ・マサラー)
凹 若きエリート第二騎士団副長(モナイ・ヨーナ)
病気の対処療法を依頼しただけのハズが恋愛的に意識しちゃうチョロい話。
凸 兵士団のスーパールーキー日本人(ヒトリ・アト 阿斗一人)
凹 癒し系美人第二騎士団長(キリ・バイハル)
鬼畜攻めだという誤解と期待をされている騎士団長が念願の受けが出来るまでの話。
※ 攻めが登場するまでが長引いたので、開き直って別章にしました。
※ その内に他カップルの話も掲載する予定。
※ お尻がブルブル震えるのをどーにかしようって話
※ 思い付いた勢いで書いちゃったので通常以上に誤字脱字にご容赦ください
※ 付けるべきタグがあれば(地雷避けの為にも)お知らせください
明日もいい日でありますように。~異世界で新しい家族ができました~
葉山 登木
BL
『明日もいい日でありますように。~異世界で新しい家族ができました~』
書籍化することが決定致しました!
アース・スター ルナ様より、今秋2024年10月1日(火)に発売予定です。
Webで更新している内容に手を加え、書き下ろしにユイトの母親視点のお話を収録しております。
これも、作品を応援してくれている皆様のおかげです。
更新頻度はまた下がっていて申し訳ないのですが、ユイトたちの物語を書き切るまでお付き合い頂ければ幸いです。
これからもどうぞ、よろしくお願い致します。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
祖母と母が亡くなり、別居中の父に引き取られた幼い三兄弟。
暴力に怯えながら暮らす毎日に疲れ果てた頃、アパートが土砂に飲み込まれ…。
目を覚ませばそこは日本ではなく剣や魔法が溢れる異世界で…!?
強面だけど優しい冒険者のトーマスに引き取られ、三兄弟は村の人や冒険者たちに見守られながらたくさんの愛情を受け成長していきます。
主人公の長男ユイト(14)に、しっかりしてきた次男ハルト(5)と甘えん坊の三男ユウマ(3)の、のんびり・ほのぼのな日常を紡いでいけるお話を考えています。
※ボーイズラブ・ガールズラブ要素を含める展開は98話からです。
苦手な方はご注意ください。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました!
スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。
ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)
Restartー僕は異世界で人生をやり直すー
エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。
生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。
それでも唯々諾々と家のために従った。
そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。
父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。
ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。
僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。
不定期更新です。
以前少し投稿したものを設定変更しました。
ジャンルを恋愛からBLに変更しました。
また後で変更とかあるかも。
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
BLゲームのモブとして転生したはずが、推し王子からの溺愛が止まらない~俺、壁になりたいって言いましたよね!~
志波咲良
BL
主人公――子爵家三男ノエル・フィニアンは、不慮の事故をきっかけに生前大好きだったBLゲームの世界に転生してしまう。
舞台は、高等学園。夢だった、美男子らの恋愛模様を壁となって見つめる日々。
そんなある日、推し――エヴァン第二王子の破局シーンに立ち会う。
次々に展開される名シーンに感極まっていたノエルだったが、偶然推しの裏の顔を知ってしまい――?
「さて。知ってしまったからには、俺に協力してもらおう」
ずっと壁(モブ)でいたかったノエルは、突然ゲーム内で勃発する色恋沙汰に巻き込まれてしまう!?
□
・感想があると作者が喜びやすいです
・お気に入り登録お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる