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第三章

51 白い国

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復興途中の魔国に百名ほど第一から第三までの騎士を残して、帰路についた。
殿下たちは王や王妃、兄君に報告をしなければならないため第四を残し、他の団長と副団長と共に王宮に戻った。残った俺たちは各々が与えられた団長の館の部屋で休むこととなったのだが。


が!!

「翠蓮、戻った」
窓から竜胆と葵が入ってきて、帰還を報せる。
と、同時に気配を消していなかったため、桃季と菖蒲も俺の部屋に集まったのだ。
桃季は手際よくつまみを用意し、グラスに注いだウイスキーを各自に配る。
各々好きな位置に陣取って、

「乾杯」

レインにばれたら面倒なので、聞こえないような声量で各々を讃える。

「翠蓮、飲みながら報告を聞いてくれ」
「ああ、もちろんだとも。珍しく眉間に皺を寄せた葵からは良くない話しかないようだけど?」
「その通りだ。結論から言うと、俺と竜胆は暫くこの世界に残って、お前をサポートする」
「ああ、了解した。ということは、破壊か?」
「ああ、当たっている。『破壊してきた』」
「へ~~~~~~結構『濃い』かったんだな」
俺は二人の腕を引き、



呪解返呪



「あれ、呪いだったのか?」
「ああ、お前らがどんだけ浄化しようとも消せない『紛い物』が体中に纏わり付いていたからな」
「はは、じゃ~~呪いを返された『奴ら』はどうなることやら!」
桃季が貶すように嗤いながら少なくなった中身にウイスキーを注ぎ足す。
葵は無言で桃季に自分のグラスにも注ぐようグイっと手渡すと、文句も言わず「へ~へ~」と言いながら注ぎ足している。
「場所は、魔国から北東に行った『白い』国だ」
「「「白い国???」」」
魔国とは逆に『白』なのか?
「ああ、真っ白だ。壁も家も服も顔色も、な」
「何なら騎士服や兵士の鎧まで白一色だった」
「・・・・・・・・・・・・・汚れ目立ちそうね」
「いや、姉さん、そこじゃねーよ、突っ込むの」
「桃季、その机の引き出しに地図が入っているから取ってくれ」
「あいよ」
丁度机に凭れていた桃季に頼んで、俺が座っているソファに投げ寄越した。
目の前のローテーブルにそれを拡げた時、トントンとノック音がし俺が入室を許可すると、マントを脱いだレインが扉を開けて、

「な、な、な、」
「「「「「?????」」」」」

「なんて、格好いい場面なんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

と、意味不明な言葉を叫んだ。

いつの間にか戻ってきていた他の団長と共に殿下たちも俺の部屋に駆けつけて、

「絵になる光景だ」
「絵師を呼べ!」
とか、全く本当に訳がわからないことを散々言い散らかすので、鉄拳制裁を加えて強制的に黙らせた。

のにも関わらず、レインだけは諦めず、
「アルコールを飲むお姿が夕日に溶け込んで、とても美しい光景だったのに!」
と、まだ戯言を宣うが話が進まないので、
「レイン、黙らないなら出て行って構わないけど?」
本心ではないが、まじで話が進まないので結構キツ目に言ってみたら焦りだして
「すみません!黙りますので仲間はずれにしないでくださいーーーーーーーーーーーーーーー」

何とも情けない頼み事で、一旦の騒動は収まりました。
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