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第三章

50 危険な術

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「お、翠蓮もう平気なのか?」
瘴気を祓い続けている桃季は何故か腰を庇っている。
「???腰、どうした?」
「っ!!!聞くな!くそっ!俺はナイスバディな女性との出会いを望んでいたのに!」
「???意味不明なんだけど?」
桃季がブツクサと訳も分からないことを言っている。
うん、全くわからん!
と、俺は思うのに、菖蒲姉さんが
「あんた、食われたのね・・・・・・・・」
と、爆弾発言をかましてくれた。
「「!!!!!!!!!!!」」
もちろん俺は驚愕で口をポカンと開けて固まったが、桃季は顔を真っ赤にしてブルブルと震えて、終いには
「テメーのせいだ!翠蓮!!!俺の処女をかえせーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
かえせーーーーーーーーーーーーーーーー
かえせーーーーーーーーーー
かえせーーーーー
かえせーーー

魔国にとんでもない発言エコーが木霊した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、無理です。とりあえず、ごめん?」
腰を庇いながら俺にすんごいことをぶちまけた桃季だが、手は休めず瘴気を祓い続けているのは本当に尊敬するわ。
だから、とりあえず謝っておくことにした。
「ちっ!もういい!き、気持ちよかったからぁ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・うん、ならよかったよ???」
マジどう言って良いのか。つか、こいつから処女を奪ったのは誰だ?
俺の大切な親友で仲間で家族だぞ!
本気じゃなかったら、そいつマジで

殺す!!!

「翠蓮、怖い顔しない。それより桃季のことは後にして、さっさと張っちゃって頂戴」
「あ、そうだったわ」
菖蒲姉さんから俺は『短刀』を受け取る。
繊細に彫刻が彫られた鞘から刀身をズルリと抜き出すと、刀身にも繊細に紋様が刻まれている。
その紋様の意味は、

麒麟様の『刻印』に俺の血が混ざることで得られる『力』を現す。
その『力』とは・・・・・・・・・・。


ブスリ

その綺麗に紋様が刻まれた刀身は俺の腹にめり込んでいる。
刻まれた『跡』にトクトクと俺の血が流れ、綺麗に紋様だけを血で染め上げる。

ズプリ

と腹から抜き去ると、急いで菖蒲が俺の腹の瑕を修復する。
その間、血が乾かぬうちに俺は天に短刀を掲げ、



『天翔空螺』


黄金に輝く光が空を翔け、螺旋を幾重にも纏い、帳を作る。
その帳からはキラキラと金粉の様な粉が舞い散る。
そして、ドーム型になった途端に、キンと空気が冷え、澄んだ空気が翔け巡る。
金の粉は人々から奪われた『生気』を『正気』に戻していき、始めは小さく少なかった息遣いが段々と大きくなり、拡がって、活きた『魔国』を成した。


「ふ~~~成功だな。つか、痛~~~~~」
「あったり前よ!この技だけは私がいないと使えないのは本当に不便よね~~~」
「この技だけは見てるだけの俺もマジで嫌なんだよな。『血の契約』は強固だけど一歩間違えたら『死』に直結だもんな」
「殿下たちには見せらんないわね~~~」
「怒るだけじゃすまなさそうだしな・・・・・・・・。つか、姉さん血が足んない。フラフラする~~~」
「えっ!ちょっと待ちなさい!ほらコレ飲んで!増血剤」
「サンキュ~~~~~~」
渡されたそれを戸惑うことなく飲み干すと、一気に身体中の血が沸騰したように熱くなり、
「ぅ・・・・ぁ・・・・・・・・・・・」
身体を丸めて熱を逃がす。
「は・・・・・は・・・・・は・・・・・・・・・・・・ぁ」
「大丈夫、翠蓮?」
「ん・・・・・平気~~~~~~~」
菖蒲姉さんは俺の背中を優しく摩り、
「さて、じゃ、皆集めてフィルハートに戻りましょう!」

「「ラジャーーーーー」」
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