170 / 214
第三章
42 準備
しおりを挟む
先に俺たち人間兵器は魔国に乗り込み、城門外にフィルハートの王族の力が籠った転移石を埋めれそうな所に埋めた。
そして、俺たちは魔国の空を見上げる。
「凄い瘴気だな。想像以上だし、桃季の報告以上だな」
「ああ、すまない翠蓮。式神まで『汚染』されてしまった」
桃季の足下には真っ黒に染まった式神だった『紙』が散らばっている。
『紙』という形を保っているのは、最後に桃季に瘴気の『怖さ』を知らすためなのだ。
桃季が「ありがとう」と言葉を放つと紙は燃え、空に舞い上がっていった。
その姿に俺たち『人間兵器』は手を合わせ、お礼を言うのだった。
「「「「「感謝致します、神々よ」」」」」
「桃季は強力な式神を用意して、五星に分かれてくれ」
「でも、この国大きすぎるわよ?全てを結界で囲うとなると無理よ?」
バーミリアは上空から見たとき、俺が結界を張れる限界丁度ギリギリで瘴気が留まっていたが、魔国はそうはいかない。
バーミリアより濃く、広く流れており、何回も結界を張っては浄化してを繰り返さなければならないだろう。
しかし、
「俺もここまでとは思ってなかった。折角桃季や菖蒲姐さんが後遺症の減軽する物を作ってくれたのに、ちょっと無理かも?ごめん。だけど、ここで食い止めないと!!」
本当は呆然としたい俺の意識。
ここに来るまでの数日間、近くで手合わせをしていた。
その時より濃くなっていて、俺たちの考えがどれだけ甘かったのかと後悔しかない。
人が産み出した『瘴気』は簡単に成長することを俺たちは忘れていたのだ。
自分たちの落ち度でしかない。
「俺、殿下たちだけじゃ満足しないと思う・・・・・・・・」
「うん」
「やだ、な・・・・」
「ああ」
「でも、覚悟決めないと」
「そんなっ!」
「レギウスに面倒いこと押しつけちゃうな」
「あいつは嬉々としてお前を抱くさ」
そう言いながらも桃季の表情は俺よりも曇っていて、俺よりも泣きそうで。
「うん、うん、うん!!!大丈夫!!!」
わかってくれている皆。
俺よりも暗い表情の友たち。
これより心を煩わせるわけにはいかない!
「菖蒲、これ渡しておくから俺たちの性交が終わる頃風呂に入れておいて」
「あんた特性の薬ね。いつもより濃いようね」
「うん、性交が終わっても俺の身体の中は燻ってると思うから、濃くした」
「そう・・・・・・・・覚悟はしていたみたいね。でも、その覚悟を上回ってしまったのね」
「うん」
だが、やらねばならないのだ。
「一番『瘴気』が凝り固まっている箇所を囲える範囲で『浄化』する。そして、・・・・・後遺症が治まり次第、次の箇所に移る。ま、そんなに酷くはないと思うから、俺が苦しんでいる間に出来る範囲で良いから『浄化』頼んで良いか?」
「当たり前だろうが。『浄化』はお前の専売特許だが、俺たちにだってできないわけではない。範囲はお前と比べて小さいがな。だが、お前の意識が安定する頃にはほとんど終わらせておくから、安心して抱かれてこい」
「ははっ!おうよっ!!!さて、そろそろ騎士団が来る頃だな。じゃ、俺は青龍に頼んで上空に行くから後はよろしく!」
「「「「畏まりました、翠蓮様」」」」
そして、俺たちは魔国の空を見上げる。
「凄い瘴気だな。想像以上だし、桃季の報告以上だな」
「ああ、すまない翠蓮。式神まで『汚染』されてしまった」
桃季の足下には真っ黒に染まった式神だった『紙』が散らばっている。
『紙』という形を保っているのは、最後に桃季に瘴気の『怖さ』を知らすためなのだ。
桃季が「ありがとう」と言葉を放つと紙は燃え、空に舞い上がっていった。
その姿に俺たち『人間兵器』は手を合わせ、お礼を言うのだった。
「「「「「感謝致します、神々よ」」」」」
「桃季は強力な式神を用意して、五星に分かれてくれ」
「でも、この国大きすぎるわよ?全てを結界で囲うとなると無理よ?」
バーミリアは上空から見たとき、俺が結界を張れる限界丁度ギリギリで瘴気が留まっていたが、魔国はそうはいかない。
バーミリアより濃く、広く流れており、何回も結界を張っては浄化してを繰り返さなければならないだろう。
しかし、
「俺もここまでとは思ってなかった。折角桃季や菖蒲姐さんが後遺症の減軽する物を作ってくれたのに、ちょっと無理かも?ごめん。だけど、ここで食い止めないと!!」
本当は呆然としたい俺の意識。
ここに来るまでの数日間、近くで手合わせをしていた。
その時より濃くなっていて、俺たちの考えがどれだけ甘かったのかと後悔しかない。
人が産み出した『瘴気』は簡単に成長することを俺たちは忘れていたのだ。
自分たちの落ち度でしかない。
「俺、殿下たちだけじゃ満足しないと思う・・・・・・・・」
「うん」
「やだ、な・・・・」
「ああ」
「でも、覚悟決めないと」
「そんなっ!」
「レギウスに面倒いこと押しつけちゃうな」
「あいつは嬉々としてお前を抱くさ」
そう言いながらも桃季の表情は俺よりも曇っていて、俺よりも泣きそうで。
「うん、うん、うん!!!大丈夫!!!」
わかってくれている皆。
俺よりも暗い表情の友たち。
これより心を煩わせるわけにはいかない!
「菖蒲、これ渡しておくから俺たちの性交が終わる頃風呂に入れておいて」
「あんた特性の薬ね。いつもより濃いようね」
「うん、性交が終わっても俺の身体の中は燻ってると思うから、濃くした」
「そう・・・・・・・・覚悟はしていたみたいね。でも、その覚悟を上回ってしまったのね」
「うん」
だが、やらねばならないのだ。
「一番『瘴気』が凝り固まっている箇所を囲える範囲で『浄化』する。そして、・・・・・後遺症が治まり次第、次の箇所に移る。ま、そんなに酷くはないと思うから、俺が苦しんでいる間に出来る範囲で良いから『浄化』頼んで良いか?」
「当たり前だろうが。『浄化』はお前の専売特許だが、俺たちにだってできないわけではない。範囲はお前と比べて小さいがな。だが、お前の意識が安定する頃にはほとんど終わらせておくから、安心して抱かれてこい」
「ははっ!おうよっ!!!さて、そろそろ騎士団が来る頃だな。じゃ、俺は青龍に頼んで上空に行くから後はよろしく!」
「「「「畏まりました、翠蓮様」」」」
0
お気に入りに追加
209
あなたにおすすめの小説
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
どうやら生まれる世界を間違えた~異世界で人生やり直し?~
黒飴細工
BL
京 凛太郎は突然異世界に飛ばされたと思ったら、そこで出会った超絶イケメンに「この世界は本来、君が生まれるべき世界だ」と言われ……?どうやら生まれる世界を間違えたらしい。幼い頃よりあまりいい人生を歩んでこれなかった凛太郎は心機一転。人生やり直し、自分探しの旅に出てみることに。しかし、次から次に出会う人々は一癖も二癖もある人物ばかり、それが見た目が良いほど変わった人物が多いのだから困りもの。「でたよ!ファンタジー!」が口癖になってしまう凛太郎がこれまでと違った濃ゆい人生を送っていくことに。
※こちらの作品第10回BL小説大賞にエントリーしてます。応援していただけましたら幸いです。
※こちらの作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しております。
セーリオ様の祝福
あこ
BL
不器用で、真面目だと言われるけれど融通が効かないだけ。自分をそう評する第一王子マチアス。
幼い頃幼馴染とふたりで机を並べ勉強をしていた時、「将来どのように生きていくか、今から考えておくことも大切です」と家庭教師に問われた。
幼馴染カナメは真面目な顔で「どこかの婿養子にしてもらうか、男爵位をもらって生きていきたいです」と言って家庭教師とマチアスを笑わせた。
今もカナメは変わらない。そんなカナメが眩しくて可愛い。けれど不器用で融通が効かないマチアスはグッと我慢するのである。
✔︎ 美形第一王子×美人幼馴染
✔︎ 真面目で自分にも他人にも厳しい王子様(を目指して書いてます)
✔︎ 外見に似合わない泣き虫怖がり、中身は平凡な受け
✔︎ 美丈夫が服着て歩けばこんな人の第一王子様は、婚約者を(仮にそう見えなくても)大変愛しています。
✔︎ 美人でちょっと無口なクールビューティ(擬態)婚約者は、心許す人の前では怖がり虫と泣き虫が爆発する時があります。
🗣️『密着!カナメ様の学園生活』連載中。
➡︎ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 婚約式後設定には『✿』が付いています。
🔺ATTENTION🔺
【「セーリオ様」「カムヴィ様」共通の話 】
こちらに入っているものは『セーリオ様の祝福』と『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』の両設定共通の話です。
【 感想欄のネタバレフィルター 】
『密着!カナメ様の学園生活』に関しては3話目以降に関するものについてはどのようなコメントであっても、ネタバレフィルターを使用します。
また、読み切り短編に対していただいたコメントは基本的にネタバレフィルターを使用しません。ご留意ください。
【 『運命なんて要らない』とのクロスオーバー 】
こちらで更新する『運命なんて要らない』のキャラクターが登場する話に関しては、『セーリオ様の祝福』及び『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』どちらの設定でも存在する共通の話として書いております。ご留意ください。
また、クロスオーバー先の話を未読でも問題ないように書いております。
一応、『運命なんて要らない』の登場人物は『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』には登場しているのですが、このようになっています。
➡︎『運命なんて要らない』の舞台であるハミギャ国の第二王子であるアーロンはマチアスの友人です。出会ってからずっといわゆる文通をしています。
➡︎アーロンの婚約者はノアという同じ歳の男の子です。精霊になんだか愛されています。
パライソ~楽園に迷い込んだ華~
エウラ
BL
ついさっきまでVRMMOでゲームプレイしてたはずなのに、ココはどこ?
気付いたらアバターの姿で森の中。
イヤイヤこういうのってテンプレでトラック転生とか神様的な人?にあったりとかするんじゃないの?!
何がどうしてこうなったのか全く分からない。
深い森の中、人の気配無し。
一人は寂しいよ---!
知らぬ間に異世界転移してたっぽい青年が生きるためにマイペースにサバイバルする話。
※主人公は不憫な境遇です。
時々辛い場面があると思います。暴力的、凌辱的な場面もあると思います。
読むときは注意して下さい。
初めの頃はぼっちで説明文が多いですが、数話で話が進むはず・・・。
不定期更新です。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる