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第三章

37 慣れるまでの日数

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とりあえず、レインをエリアスが背負い客間に集まった。
そこには既に魔国の王レギウス・アルセルクが踏ん反り返って座っていたが、俺を見た瞬間慌てて立ち上がり、ガシリと顎を掴まれて、
「美しい・・・・・・・漆黒の髪にまるでアメジストのような輝きの瞳、それに健康的な肌色に綺麗に引き締まった筋肉。それなのに俺が掴んでしまうと折ってしまいそうな細い腰。そこからすらりと流れるプリッと美味そうに引き締まった小さなヒップ。その先には美しく長い脚。全てが完璧な人間!!なんとっ!!!」
と、俺を褒めちぎりますこのお方。
そして、褒めながらその部位を撫でてきます。
手つきが正直エロイのですが、全く悪気は感じないので放置です。
それに、絶賛されて正直かなり嬉しいです、ハイ。
俺の背後からはとてつもない怒りの念が飛んでくるのですが、無視しています、ハイ。
俺を触り続けるレギウスの手を払いのけて、手近な椅子に腰をかけると、皆自分の居場所を確保し出す。
レインは漸く目が醒めて、ヨロヨロと俺の後ろに立つが、正直こいつにこそ椅子をお奨めしたい。
「さてと、とっとと本題に入るが、俺の本来の世界での幼なじみを連れてきた。この四人も俺と同じ『人間兵器』と呼ばれる者たちだ。はっきり言って俺の次に強いぞ。現状でフィルハートが全勢力を上げて闘いを挑んでも勝てない相手だ。そんな者たちが今どう思っているか・・・・・・葵?」
「ああ、無理だなすぐには」
「ですね。あの魔王という方が纏う瘴気の濃さから考えるとすぐには対応できないですね」
「俺特性の弁当でも最低2日はかかるな」
「それに桃季特性『ジャム』を騎士たちが食べて効果が出るのに多分3日はかかるんじゃない?なら最低4日は欲しいわね」
「そっか・・・・・・・じゃ、4日でコンディション仕上げられるか?」
俺の幼なじみ達ですら『瘴気の濃さ』には充分気をつけねばならないのだ。
『瘴気』は『毒』でしかない。
俺たち『人間兵器』はどんな『毒』にも対応できるよう訓練されているが『瘴気』は別物だ。
『自然の瘴気』にはすぐ対応できるが、人間の『憎悪』などが原料となる『瘴気』には精神を持って行かれないように気をつけねばならないのだ。
そのためには、
「魔王と4日間手合わせをするわ。それで『瘴気の質』を理解し、身体を慣らすわ」
「だな。場所は魔国の近くで手合わせをすべきだな」
「あっ!それな!それと道中にある食べられる野草を採取な!『瘴気』を吸ったそれらで飯を作ってやる。それを取り込めば」
「そっか!魔国の『瘴気』を耐性として身体が認識するのか!」
「そっ!こっちに来てわかったけど、翠蓮、お前反動が軽減するかもよ?」
「まじでかっ!?」
「ああ、任せておけ!それと『瘴気』を祓った後に魔国の者たちにそれを食わせることで回復が早まるだろう」
桃季のその言葉で、レギウスは座っていた椅子を蹴るように立ち上がると、こいつの手を取って
「誠か、それは!?」
「あ、ああ。ちょ、な、何だっ!?」
いきなりレギウスは桃季の両脇に手をやると、抱き上げクルクルと回り出したではないか。
「すごい!すごいぞ、異世界の者よ!!!」
「ぎゃーーーーーーーーっ!ちょ、な、何だっ!?」
「よかったじぇねーか、桃季。彼氏できそうでよ?」
「翠蓮!!!!からかって、ぎゃーーーーーーーーーっ!!」
スピードを上げてクルクルクルクル。
「いい加減止めてあげたら、翠蓮」
「いんじゃね?桃季に春が来そうだし」
「・・・・・・・・・あんた見捨てたわね」
「いや、止めるのが面倒いだけ」
とりあえず桃季は放置でよし!
それに魔王の意識を俺から桃季に向ける方が良い。
変に俺に情を持たれても、まじで困るからな。
「つうことで、余裕をみて6日後に魔国の瘴気を祓う。それまで各自で準備を怠るな!」
「「「「「はっ!!!」」」」」
皆の意識を一気に現状に引き戻し、理解を強いる。
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