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第三章

7 本来の節度

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「せ、青龍殿!?」
「久しぶりだな、皆の者。ん?ほ~~~この世界にいた時のスイとなんら遜色のない力を持った者がこの場にいるな」
青龍殿はレギウスに近寄り、彼を品定めし始めた。
レギウスは、額に大粒の汗を滲ませ、その場に膝をついてしまった。
「ほ~~~お主、我の力の底を見ることができるのか?たいしたものだ」
「い、いえっ!とんでもないことでございます!」
魔王という者が、青龍殿に頭を垂れ、必死に怯えを押し殺している。
その姿は私たちには理解しがたい光景だ。
だが、レギウスは問うた。
「何故、貴様らはこのお方を前にして、傅かない!」
「「「?????」」」
この場にいる者は誰もその言葉の意味を理解出来ない。
「このお方は、貴様たちが容易く話せるような方ではない!なぜ、それがわからない!人間共!!!」
と、言われても全く理解出来ない。普通にスイが私たちに会わせてくださった神獣様方で、傅く必要性を感じなかったからだ。
「お前ら・・・・・・人間共は堕ちる所まで堕ちたのか・・・・・・」
「何を言っている貴様っ!!!」
剣を抜刀し、魔王レギウスの周りを囲う我が国の兵士。
だが、その剣は一瞬にして細やかな鉄くずとされてしまった。
他ならぬ青龍殿の力によって・・・・・・・・。
「本来我ら神獣は貴様ら如きの前に姿を現すことはない。スイたっての希望故、お前たちに我らの存在を明かしたのだ」
つまり私たちにはその姿を見せる価値すらないということだ。
「頭が高いな」
青龍殿から溢れ出る畏怖のオーラ。
自然に我々は膝をつき、頭を垂らさせられる。
「本来はその形が正しいのだ」
青龍殿の言葉一つ一つに私たちは大粒の冷や汗をタラリと流す。
恐怖で意識が遠のきそうだが、隣のアルバートとレイフォードは少し様子が違う。
少し遠くにいるレインもエリアスもだ。
何故か4人とも口元が上に孤を描いているのだ。
「ふむ、よかろう。レイン、お前は我に何か聞きたいことがあるか?」
「はっ!スイレン団長はお元気でしょうか?」
「元気だ、会ってみたいか?」
「っ!!!もちろんです!!!」
「レイフォード、お前はどうだ?」
「はっ!スイ団長に感謝の意をお伝え願いたいです!」
「うむ、了承した」
「アルバートは何かあるか?」
「はっ!また酒を一緒に飲める時を楽しみにしていると」
「はははっ。よかろう!あいつも喜ぶであろう」
「エリアスはあるか?」
「私もアルバートと同じですが、一つ加えさせて戴くと、次こそ飲み比べに勝つ!と」
「わっはっは!!よかろうよかろう!!!」
青龍殿は大いに笑い、4人には笑いかけている。が、スイと一番親しく、そして愛し合った私たちに一瞥もくれてはくれない。それが恐怖を増す行為で。
だが、恐怖はいきなりこの場を去り、王宮の廊下を冷たい空気がサラリと通り抜けていく。
そして、
「面を上げろ、王子共」
「「っ!!!」」
言葉通りに顔を上げることは先ほどの恐怖から自分の身体が勝手に拒否してしまう。だが、それを叱咤し汗を額から滴らせながら、青龍殿に顔を見せる。
「ふむ・・・・・・・ま、よかろう・・・・・。第四の部屋に行くぞ。レギウス貴様もだ。レイフォード茶を煎れてくれ」
「はい、畏まりました」
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