118 / 214
第三章
7 本来の節度
しおりを挟む
「せ、青龍殿!?」
「久しぶりだな、皆の者。ん?ほ~~~この世界にいた時のスイとなんら遜色のない力を持った者がこの場にいるな」
青龍殿はレギウスに近寄り、彼を品定めし始めた。
レギウスは、額に大粒の汗を滲ませ、その場に膝をついてしまった。
「ほ~~~お主、我の力の底を見ることができるのか?たいしたものだ」
「い、いえっ!とんでもないことでございます!」
魔王という者が、青龍殿に頭を垂れ、必死に怯えを押し殺している。
その姿は私たちには理解しがたい光景だ。
だが、レギウスは問うた。
「何故、貴様らはこのお方を前にして、傅かない!」
「「「?????」」」
この場にいる者は誰もその言葉の意味を理解出来ない。
「このお方は、貴様たちが容易く話せるような方ではない!なぜ、それがわからない!人間共!!!」
と、言われても全く理解出来ない。普通にスイが私たちに会わせてくださった神獣様方で、傅く必要性を感じなかったからだ。
「お前ら・・・・・・人間共は堕ちる所まで堕ちたのか・・・・・・」
「何を言っている貴様っ!!!」
剣を抜刀し、魔王レギウスの周りを囲う我が国の兵士。
だが、その剣は一瞬にして細やかな鉄くずとされてしまった。
他ならぬ青龍殿の力によって・・・・・・・・。
「本来我ら神獣は貴様ら如きの前に姿を現すことはない。スイたっての希望故、お前たちに我らの存在を明かしたのだ」
つまり私たちにはその姿を見せる価値すらないということだ。
「頭が高いな」
青龍殿から溢れ出る畏怖のオーラ。
自然に我々は膝をつき、頭を垂らさせられる。
「本来はその形が正しいのだ」
青龍殿の言葉一つ一つに私たちは大粒の冷や汗をタラリと流す。
恐怖で意識が遠のきそうだが、隣のアルバートとレイフォードは少し様子が違う。
少し遠くにいるレインもエリアスもだ。
何故か4人とも口元が上に孤を描いているのだ。
「ふむ、よかろう。レイン、お前は我に何か聞きたいことがあるか?」
「はっ!スイレン団長はお元気でしょうか?」
「元気だ、会ってみたいか?」
「っ!!!もちろんです!!!」
「レイフォード、お前はどうだ?」
「はっ!スイ団長に感謝の意をお伝え願いたいです!」
「うむ、了承した」
「アルバートは何かあるか?」
「はっ!また酒を一緒に飲める時を楽しみにしていると」
「はははっ。よかろう!あいつも喜ぶであろう」
「エリアスはあるか?」
「私もアルバートと同じですが、一つ加えさせて戴くと、次こそ飲み比べに勝つ!と」
「わっはっは!!よかろうよかろう!!!」
青龍殿は大いに笑い、4人には笑いかけている。が、スイと一番親しく、そして愛し合った私たちに一瞥もくれてはくれない。それが恐怖を増す行為で。
だが、恐怖はいきなりこの場を去り、王宮の廊下を冷たい空気がサラリと通り抜けていく。
そして、
「面を上げろ、王子共」
「「っ!!!」」
言葉通りに顔を上げることは先ほどの恐怖から自分の身体が勝手に拒否してしまう。だが、それを叱咤し汗を額から滴らせながら、青龍殿に顔を見せる。
「ふむ・・・・・・・ま、よかろう・・・・・。第四の部屋に行くぞ。レギウス貴様もだ。レイフォード茶を煎れてくれ」
「はい、畏まりました」
「久しぶりだな、皆の者。ん?ほ~~~この世界にいた時のスイとなんら遜色のない力を持った者がこの場にいるな」
青龍殿はレギウスに近寄り、彼を品定めし始めた。
レギウスは、額に大粒の汗を滲ませ、その場に膝をついてしまった。
「ほ~~~お主、我の力の底を見ることができるのか?たいしたものだ」
「い、いえっ!とんでもないことでございます!」
魔王という者が、青龍殿に頭を垂れ、必死に怯えを押し殺している。
その姿は私たちには理解しがたい光景だ。
だが、レギウスは問うた。
「何故、貴様らはこのお方を前にして、傅かない!」
「「「?????」」」
この場にいる者は誰もその言葉の意味を理解出来ない。
「このお方は、貴様たちが容易く話せるような方ではない!なぜ、それがわからない!人間共!!!」
と、言われても全く理解出来ない。普通にスイが私たちに会わせてくださった神獣様方で、傅く必要性を感じなかったからだ。
「お前ら・・・・・・人間共は堕ちる所まで堕ちたのか・・・・・・」
「何を言っている貴様っ!!!」
剣を抜刀し、魔王レギウスの周りを囲う我が国の兵士。
だが、その剣は一瞬にして細やかな鉄くずとされてしまった。
他ならぬ青龍殿の力によって・・・・・・・・。
「本来我ら神獣は貴様ら如きの前に姿を現すことはない。スイたっての希望故、お前たちに我らの存在を明かしたのだ」
つまり私たちにはその姿を見せる価値すらないということだ。
「頭が高いな」
青龍殿から溢れ出る畏怖のオーラ。
自然に我々は膝をつき、頭を垂らさせられる。
「本来はその形が正しいのだ」
青龍殿の言葉一つ一つに私たちは大粒の冷や汗をタラリと流す。
恐怖で意識が遠のきそうだが、隣のアルバートとレイフォードは少し様子が違う。
少し遠くにいるレインもエリアスもだ。
何故か4人とも口元が上に孤を描いているのだ。
「ふむ、よかろう。レイン、お前は我に何か聞きたいことがあるか?」
「はっ!スイレン団長はお元気でしょうか?」
「元気だ、会ってみたいか?」
「っ!!!もちろんです!!!」
「レイフォード、お前はどうだ?」
「はっ!スイ団長に感謝の意をお伝え願いたいです!」
「うむ、了承した」
「アルバートは何かあるか?」
「はっ!また酒を一緒に飲める時を楽しみにしていると」
「はははっ。よかろう!あいつも喜ぶであろう」
「エリアスはあるか?」
「私もアルバートと同じですが、一つ加えさせて戴くと、次こそ飲み比べに勝つ!と」
「わっはっは!!よかろうよかろう!!!」
青龍殿は大いに笑い、4人には笑いかけている。が、スイと一番親しく、そして愛し合った私たちに一瞥もくれてはくれない。それが恐怖を増す行為で。
だが、恐怖はいきなりこの場を去り、王宮の廊下を冷たい空気がサラリと通り抜けていく。
そして、
「面を上げろ、王子共」
「「っ!!!」」
言葉通りに顔を上げることは先ほどの恐怖から自分の身体が勝手に拒否してしまう。だが、それを叱咤し汗を額から滴らせながら、青龍殿に顔を見せる。
「ふむ・・・・・・・ま、よかろう・・・・・。第四の部屋に行くぞ。レギウス貴様もだ。レイフォード茶を煎れてくれ」
「はい、畏まりました」
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!
Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥
財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。
”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。
財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。
財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!!
青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!!
関連物語
『お嬢様は“いけないコト”がしたい』
『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中
『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位
『好き好き大好きの嘘』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位
『約束したでしょ?忘れちゃった?』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位
※表紙イラスト Bu-cha作
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる