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第三章

5 結果、できなかった

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どれだけ私は執務室にいたのだろう。
アルバートもレイフォードも私に声を掛けることなく、退出をしたようだ。それにも気付かぬほど、私はスイの喪失を嘆いている。
コンコンと控えめなノックの後にガチャリと扉が開く。
「姉上・・・・・・」
ナルミア姉上が続き部屋にいるであろうジルフォードを呼ぶと、
「明日開校式を予定通り行うわ」
「「・・・・・・・・・」」
「本当はスイに見てもらいたかったけども、でもいないのならば仕方ないじゃない?」
姉上は結婚をし、焔に残ると思ったのだが、帝都での職務が残っているため、行き来することになったのだ。
元々、結婚式後、そのまま街が活気に溢れているときに開校式を行うことが決められていたのだ。
多くの貴族に、平民に、華やかで、賑やかで、楽しくて、明るくて!!子供たちが学びやすい環境だと示す絶好の機会であると。
スイも大変喜んでいたのに!
待ち望んでいたのに!
「スイが戻ってきたときに、しっかりと見せてあげたいの。私たちがしてきたことが実ったのよ、と」
「はい」
「貴方たちはどうするの?嘆くだけ?」
「・・・・・・・・探し出して・・・」
「で?」
「「・・・・・・・・・」」
姉上が言いたいことはわかっている。『復縁を求めるのか』と。
求めるに決まっている!
本当は別れたいわけでも、離れたいわけでもないのだ。
ただただ、自分の未熟さ故に釘を刺されていたのにも関わらず、自分を優先してしまっただけなのだ。
『だけ』で済む問題ではないな。
はは、と乾いた笑いがジルからも漏れ聞こえる。
さすが双子。
考えてること、行動が同じだ。


結果として開校式は無事に終わった。
ただ、スイに助けられた子供たちに『何故スイがいないのか』問われることとなった。だが、誰一人として、真実を話すことはできなかった。
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