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第二章
39.代償の治療
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「団長、先にこの方たちの治療をしてもよいでしょうか?」
「レイなら任せられるな。俺は重傷者を診ていく。レインは空気を清浄化してくれ」
「はい」
焔に着いて向かったのは、荒ら家の並ぶ区画だった。
そこには『瘴気』の材料とされ、五体の何かを奪われた人たちが集まって暮らす場所だった。
「ごめんな、欠損は俺でも治せないんだ」
「いえ、そのお言葉だけで充分です」
「本当にごめん。声や目の光を失った人、聞こえなくなった人、歩けなくされた人、手の自由を奪われた人は治すことができるけど、本当に「もう良いのですよ、翠蓮様」
片腕を失った彼は、俺の顔を失われなかった腕で優しく撫でる。
「良いのです、翠蓮様。貴方様が私どもに心を悼める必要は無いのです。元々はこの國の『悪事』。それを糾してくださればそれで良いのです」
「っ!」
「それに私の娘の声を取り返してくださいました。それだけで充分です」
「ふっ・・・・・ぅ・・・く・・・・・」
「ああ、もう泣かないでください」
俺はこの國に関わってから涙脆くなっている気がする。
「ぅ・・・・・・『呪い』の糧にと理不尽な行為で奪われた宝物は、そこにその部分があれば俺は治せる。治してみせるから」
「はい」
「だけど、生まれつきや事故などで失われたモノは治せない。あくまで俺のは『呪い』関係のことだけだ」
「はい、承知致しました翠蓮様」
レイは軽傷者を次々と治していき、レインもそれを手伝っている。
俺は失われた声、光、音を取り戻させるべく、一人一人と向き合って、彼らの言い分を聞いて、そして、元に戻していった。
「団長、私の方は終わりました」
「おう、俺もだ。さて城に行くか、あっ???」
ドンと俺の背中に何かがしがみついてきた。
腰に巻かれた腕はどう見ても子供で。
「あ、君は」
「翠蓮様っ!あの時はありがとうございました!」
この子は親に呪符を身体に巻かれ俺と共に自爆するよう命令されていた子だ。
そしてその親を俺は殺した。
「でも、母ちゃんも父ちゃんもいなくなっちゃった・・・・・」
「っ!!ごめんな」
小さな身体を抱きしめると「ううん」と首を横に振る。
「翠蓮様は悪くない!悪いのは母ちゃんだからっ!でも、俺これからどうしよう・・・」
「親戚はいないのかい?」
コクンと頷き、
「『瘴気』の材料とされちゃった、皆・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そっか」
俺はこの子を抱き上げて、
「フィルハートに孤児の学校があるんだ。そこで騎士や官僚などになるための勉強をするんだ」
「うん?」
「入学してみるかい?」
「っ!!!うん!!でも、俺翠蓮様の様になりたい!!」
何とも嬉しい言葉をくれる子供。
「ははは。ありがとう」
でも、俺の様にはなれないから。
なって欲しくないから、言葉を濁す。
「なら、立派な騎士になろうな!」と。
「レイなら任せられるな。俺は重傷者を診ていく。レインは空気を清浄化してくれ」
「はい」
焔に着いて向かったのは、荒ら家の並ぶ区画だった。
そこには『瘴気』の材料とされ、五体の何かを奪われた人たちが集まって暮らす場所だった。
「ごめんな、欠損は俺でも治せないんだ」
「いえ、そのお言葉だけで充分です」
「本当にごめん。声や目の光を失った人、聞こえなくなった人、歩けなくされた人、手の自由を奪われた人は治すことができるけど、本当に「もう良いのですよ、翠蓮様」
片腕を失った彼は、俺の顔を失われなかった腕で優しく撫でる。
「良いのです、翠蓮様。貴方様が私どもに心を悼める必要は無いのです。元々はこの國の『悪事』。それを糾してくださればそれで良いのです」
「っ!」
「それに私の娘の声を取り返してくださいました。それだけで充分です」
「ふっ・・・・・ぅ・・・く・・・・・」
「ああ、もう泣かないでください」
俺はこの國に関わってから涙脆くなっている気がする。
「ぅ・・・・・・『呪い』の糧にと理不尽な行為で奪われた宝物は、そこにその部分があれば俺は治せる。治してみせるから」
「はい」
「だけど、生まれつきや事故などで失われたモノは治せない。あくまで俺のは『呪い』関係のことだけだ」
「はい、承知致しました翠蓮様」
レイは軽傷者を次々と治していき、レインもそれを手伝っている。
俺は失われた声、光、音を取り戻させるべく、一人一人と向き合って、彼らの言い分を聞いて、そして、元に戻していった。
「団長、私の方は終わりました」
「おう、俺もだ。さて城に行くか、あっ???」
ドンと俺の背中に何かがしがみついてきた。
腰に巻かれた腕はどう見ても子供で。
「あ、君は」
「翠蓮様っ!あの時はありがとうございました!」
この子は親に呪符を身体に巻かれ俺と共に自爆するよう命令されていた子だ。
そしてその親を俺は殺した。
「でも、母ちゃんも父ちゃんもいなくなっちゃった・・・・・」
「っ!!ごめんな」
小さな身体を抱きしめると「ううん」と首を横に振る。
「翠蓮様は悪くない!悪いのは母ちゃんだからっ!でも、俺これからどうしよう・・・」
「親戚はいないのかい?」
コクンと頷き、
「『瘴気』の材料とされちゃった、皆・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そっか」
俺はこの子を抱き上げて、
「フィルハートに孤児の学校があるんだ。そこで騎士や官僚などになるための勉強をするんだ」
「うん?」
「入学してみるかい?」
「っ!!!うん!!でも、俺翠蓮様の様になりたい!!」
何とも嬉しい言葉をくれる子供。
「ははは。ありがとう」
でも、俺の様にはなれないから。
なって欲しくないから、言葉を濁す。
「なら、立派な騎士になろうな!」と。
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