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第二章

14.ならず者

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「で、ロビーが今ならず者共に制圧されたと?」
俺はジオルドから「着替えてすぐに応接室に来てくれ」と言われたので、上着だけは羽織らず、騎士服に着替えて言われたとおり部屋に向かうとベルボーイがいて、上記の内容だ。
「人数は?」
「わかりません!!!殿下たちは裏口からお逃げください」
「は?騎士が逃げる?ありえないな。さてと!新婚旅行を台無しにしてくれたならず者共に制裁を加えようか」
俺はう~~んと伸びをして、部屋を出る。
「殿下たちはどうする?このままここにいる?それとも俺と行く?」
「行くに決まっているだろう?」
「目を離すと君は何をするかわからないからね」
俺は子供か何かか?
「手は出すなよ?ここで加護を使うと、ホテルの備品や内装が壊れる」
「ああ、わかった。なら、スイはどうするんだ?」
「体術オンリー!」
「「「っ!!!」」」
「何、心配?大丈夫だって!雑魚相手に俺が負けるわけないだろう?」
「それはそうだけど・・・・・」
心配してくれるのはいいけど、信用してないのと同意義じゃないのか、それは?
「あ、違う違う!スイのことは全く心配していない。賊たちの事を心配してやっただけだから」
「ナニソレ・・・・・・・」
それはそれで腹が立つわ~~~。


「おらっ!さっさとありったけの金をこれに詰めろ!」
強盗らしい発言があちこちから聞こえる。
フロントからだけでなく、このホテル利用者からもふんだくっている。
で、俺たちに気付いたならず者共は、
「はっ!今更来ても遅―んだよっ!」
「つか、そんなヒョロイ身体で騎士ってか?帝国も落ちたもんだな!!」
ビキッ
ドッと笑いがロビーに響き渡る。
「そ、それくらいにしといた方が身のためだぞ?」
俺の顔色を伺いながらジルは丁寧に賊共に教えてやったのに、
「はっ!王子がこんなのを連れているなんて、笑いぐさだな!」
ビキキッ
「こんな男女みたいな奴、犯して、嬲って、売り飛ばしてしまおうぜ!」
ビキキキキッ
俺の堪忍袋の緒が切れました。
近くにいた賊2人を昏倒させた。
「おい、俺の事はいい。だが、殿下や帝国を悪く言う奴を俺は許さない」
「ははっ!どうせそいつら倒せたのだってまぐれだろう?大人しくしとけやっ!」
賊数人が俺に加護の『炎』『風』を放つが、手のひらをそれに向けて、
フシューーーー
「「「「「「はっ!?」」」」」」
受け止めたそれを握り潰したのだ。
「屋内で加護を使うなんて、クズだな。どうするんだ、もしこのホテルが焼けたら?ああ?」
俺に凄まれて、思いっきり顔を引きつらせた賊共。
一歩一歩賊共に近づくと、何故か後退していく奴ら。
「ジオルド、俺さ、スイの米神に青筋が数個見える気がするんだけど?」
「ああ、見間違いではないだろうな。スイ、ほどほどにな」
「ん~~~、加減がわからん。今の俺、休暇を邪魔されて、マジ怒ってんの!」
「「あ~~~、納得」」
「ということで、お前ら容赦しねーからなっ!」
ロビーにいた賊ざっと20人ほどを俺一人の体術だけで昏睡状態にした。
ただ人質を取った奴らなんて、目も当てられない格好にしてやった!
「スイ、ある意味で下品だよ」
「うん、同情するわ」
「うっさい!」
そう、人質を盾にした大馬鹿野郎たちは、俺に下半身をひん剥かれて、陰茎やアナル丸出しのまま床に伸びている。
女性の目を汚す光景だが、何故か「キャー」とか言う効果音の後に「♡」がついている気がする。
それは俺だけ感じ取っていたわけではなく、周りの男性が冷めた目で女性たちを見ている。
この国って『腐』が多いのか?
「殿下!スイ団長!!」
「「「団長っ!?」」」
ホテルの従業員含めこの場にいる全ての客たちは驚愕している。
殿下たちはマントとサッシュをつけているから判別できたけど、俺は上着を着てないから、ただの騎士だと思われていたのだろう。
皆の驚きようが面白い。
「よう、皆」
「何が『よう』ですかっ!目を離したらこれですか!監視役としてつけていたジルフォード殿下が全く役に立たないって事は、結論からして『スイ団長が問題児』である、ですね!」
「おい」
「レイン、仮にも王子の俺に失礼じゃないか?」
俺たちの反論を聞いていないようで、レインはざっと状況を把握する。
「で、私たちはどうしたらいいのです団長」
「話が早くてよろしい。レインとレイフォードは賊を一人残らず縛り上げて、エリアスと共に拘置所に連れて行け。一つの馬車で乗らないと思うから、バラバラにして・・・・・・」
「ひぃ!!!!い、命だけは助けてっ!助けてくれーーー!!!」
「???何言ってんだ??」
意識が戻った賊たちが額を床に擦りつけて懇願してくるが、何でこの場で命乞いしているのかわからない。
「確認ですが、団長、頭と胴体などがくっついたまま馬車に乗せたら良いのですよね?」
「は?何当たり前のこと言って・・・あ~~そういうこと!『バラバラ』をそういう意味で捉えたんだ。俺はそんなに鬼畜じゃねーーーーよっ!!!」
「ひぃぃぃぃいぃぃっ!!!」
更に怯えられてしまった。
「ジオルド殿下とアルバートは領主の元に行き、この件の報告と『孤児』について話を聞いてきてくれ」
「「わかった」」
「俺とジルフォード殿下はこのホテルのオーナーから話を聞く」
「ああ、わかったよ。では、皆様怖い思いをしたと思いますが、何卒良い旅行をしていただきたい。貴方たちに幸あらんことを」
ジルの締めの言葉にロビーが一斉に浮き足立つ。
怖かったはずなのに、涙を流していたはずなのに、何故か一様に興奮している。
「きっとスイの格好良さがご婦人たちにはたまらないのだろう」
「男性陣にはこれほど素晴らしい旅の土産話はないだろうしね」
「そういうことか・・・・・・・ま、俺の行動で恐怖が薄らいだなら僥倖だ」
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