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第二章

2.風呂?

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好奇の目に晒されながら、汚れきった俺たちはオーガスト殿下たちが手配してくれているホテルに辿り着いた。
ホテル内から慌ててこのホテルのオーナーなのだろう人が出てきて、俺たちを正面玄関からではなく、裏口から入館を許可した。
ま、当然ちゃ、当然なんだけど。
綺麗なフロアを海水やタコ墨で汚すわけにはいかないからだ。
つか、前代未聞じぁね?王族が裏口から入館なんてさ。
本当は港で小規模の雨を降らせ、温風で乾かしたらよかったのだが、漁港で働く人たちが俺たちを取り囲んで、大喜びされ、綺麗になる時間も取ることが出来ず、漸く逃げ出して、今に至るのだ。
客室に案内されるのかと思いきや、従業員が使うシャワールームに通されて、身ぐるみを全部剥がされ、俺たちは問答無用で風呂に入らされた。
その間に服を洗濯してくれるそうだが、出てきたときに着る服がない。
風呂場は従業員用だと言うが、綺麗で広くて、温泉みたいな感じで、ここの雇用主は従業員を大切にしていることが備品から理解出来る。
遠慮なく使わせて貰い、俺たちは温かいお湯を浴びる。
俺は特に気にせず、髪の毛を洗っていたのだが、アシュレイ兄弟が俺たちからかなり距離を取ってしまっている。
ん?
で、あの兄弟のパートナーを見ると、申し訳ないという表情と目がかなり泳いでしまっている。
んん??
・・・・・・・・・・・・・あっ!
兄弟を見ると、所々赤い小さな点が体中に存在している。
つまり、吸い痕がこれでもかっ!てくらいあって、それを俺たちに見られることに羞恥しているのだ。
それにしても多いな、吸い痕。
えらい情熱的な夜を過ごしているんですね。
俺なんて、今はシミ一つない健康的な身体です!
ここに来るまで、殿下たちは本当に怒濤の日々を送っていて、俺に会うこともできず、一緒に寝ることすらできなかったのだ。
第四騎士団の大元のジルフォードですら、執務室に常駐できず、俺と顔を合わせるのが日にどのくらいあっただろう。
新婚旅行を告げられたときは、たまたま皆が揃っていただけなのだ。
ま、二人ともよく頑張りました!
なので、俺は今全く身体を晒しても平気です!
それなのにっ!!
「スイ!もう綺麗になっただろう!ゆっくりと部屋の風呂で温まろう!」
「あいつらだけにしてやらないと、俺たち邪魔者扱いだ!」
だとっ!
でも、本当にそうであろう。
俺たちがいるからあんなに遠くに二人がいるわけなので。
「じゃ、後でゆっくり会おう!」

で、安心しました。
ちゃんとバスロープが用意されておりました。



で、部屋に入りました。
ええ、部屋ですけど何か?
このホテルにはスイートがたった2部屋しかないそうで、しかも、スイートにはベッドルームが3つとバスルームが2つあり、簡易キッチンもある。
小さいながらもワインセラーがあり、その中にはメッセージカードがついたボトルが2本あった。
それを取り出すと、陛下と王妃さま方々からの贈り物でもう一本はオーガスト・キュリアス・ナルミア・ヘルミア殿下そしてトリス王からの贈り物だった。
祝福の言葉が書かれていて、俺たちは大変喜んだ。
しかも、このワイン、殿下たちですら飲んだことがない超高級品らしい。
後で、皆で味わって飲もう。
それよりも、
「風呂で温まってくるわ。シャワー浴びたけど、身体の芯まで温もれてないから寒い」
「あ、ああ、そうだね」
「俺たちも入るか」
「え?二人も?」
「何か問題があるのかい?」
「俺たちもまだ冷たいんだけど?」
「うっ」
俺の責任なので「駄目」とは言えず、仲良く3人で入ることに。
大人しく入る2人ではないことはわかっているから、少し緊張する。
が、その緊張もすぐに解ける。


「うわっ!広っ!しかも、花が浮いてる!凄い!!」
「スイ、走ると転ぶよ?」
「まるで子供だな」
「五月蠅いな。だって、部屋にこんなのがあるなんて、凄いじゃないか!」
従業員用の風呂で身体は洗ったけど、こっちの石けんも試してみようと手のひらに取ると、淡いピンク色でふんわりと優しい匂いがする。
「はは、うん!いいっ!!」
「喜んでくれて、兄上たちも喜ぶよ」
「ほら、スイ。俺たちが洗ってやるからこっちにおいで」
「・・・・・・・・優しくしてよ?随分シテないんだから」
「「わかってるって」」
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