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第一章
26.見えぬ姿の声
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宮殿に戻り、事のあらましを説明する。
寝ていたであろうジオルドも少し寝癖がついているが、それでも格好いい!
と、巫山戯ている場合ではない。
王族全員が集まる中で、俺ではなくキュリアス殿下が説明してくれたのだ。
助かった・・・・・・・。
俺の心は今疲弊していて、とてもじゃないが語れる自信が全くなかったのだ。
キュリアス殿下とて気丈に振る舞ってはいるが、握りしめた拳からダクダクと血が流れ、床に伝い落ちている。
後でヴォルフに治させよう。
「・・・・・・なんということだ・・・。あの者がそこまでとは・・・・・・」
「父う、あ、いえ、陛下。スイ団長がバーミリアを属国後、前第二騎士団長グラスゴーの解呪を行います。その後に、オークレイを刑に処していただきたい」
「ああ、わかっておる。スイ団長、貴殿はこの世界に来て本当に大変な思いをさせておる。申し訳ない。しかし、今暫く我らに力を貸していただきたい」
陛下は立ち上がり、俺に深々と頭を下げる。
さすがに俺は慌てて、
「いや、大変ですが!でもっ!それでも!俺に大切な人たちが出来た世界です!陛下が迷惑でない限り、このフィルハート帝国にいさせてください!」
「迷惑っ!?迷惑をかけているのはこちらだ!君がいたいだけいてくれ!」
「感謝いたします。では、申し訳ありませんが、体調が優れないので休ませていただいてもよろしいですか?」
「ああ、大義であった。ゆっくり休まれよ。明日も一日ゆっくりしてくれ。ジオルド、ジルフォード、お前たちも休め。ジオルドは顔色が悪いし、ジルフォードは今日のこともある」
「「心遣い感謝いたします、父上」」
「こらこら、この場では『陛下』だろうが、全く」
陛下の苦笑を最後に退出しようと、席を立った瞬間、目の前が暗くなり、蹌踉めいてしまった。
そんな俺をジオルドとジルフォードが支えた瞬間、俺たち三人を金色の光が包む。
「「「っ!!!???」」」
殿下二人はもちろんのこと、俺だって何が起きたのか全くわからない。こんな現象初めてだ。
『光と闇の加護が『空』を支えるとき、新しき力と新しき生命が産まれるだろう』
姿形は見えないが、凜とした綺麗な声が頭上から降りてくる。
そして、金色の光は3つの小さな『霊(たま)』となって、俺たちの中に一つずつ溶け込んだ。
温かな力、身体の中から何かに包まれる感覚。
この感覚は・・・・・・・・。
「俺を加護してくれている神獣の気配と似てる・・・・・」
「「「神獣???」」」
「あ、まだ紹介してなかったな・・・・・」
俺は召喚するため印を結ぼうとするが、手が震えて上手くいかない。
よくよく考えたら、俺今必死に性欲に耐えている状態だった!金色の『霊』のおかげで、少し和らいだが奥で地味に燻り続けて、限界が近づいているのだ。
「スイ?あっ!もう限界か?」
ジオルドの問いに小さく頷くと、何故かジルフォードが俺を軽々と抱き上げたのだった。
「っ!!???」
「ジオルド、俺もいいよな?」
「・・・・・・仕方なかろう、はぁ~~。折角私一人で可愛がれると思ったのに!!」
「????」
俺が目を白黒させているのに、サーシャ様は相変わらず「まさかの3P!!」とか呟いて、いや、ここまで聞こえるから呟いてさえいないのか?現に他の王妃様や王女殿下たち、あ、見るんじゃなかった。
なんか超興味津々な目なんですけどっ!
こっちの世界は所謂『腐女子』が普通なのだろうか?
「では、失礼します」
もう、どうなってもいいや。
兎に角、この熱を出させてくれっ!
「あ、ぁ・・・・・」
「スイ、もう少しで俺の部屋だから我慢して?」
「ぅぁ・・・み、みもと・・・で、はなす・・なぁっ!」
「可愛い。ジオルドが夢中になるのもわかるな」
「だろ?やはり双子だな~。好みも一緒とは」
「趣味がいいだろう?」
「ああ、その通りだっ!」
わけの判らんことを俺を無視で話すなぁあぁっ!
「さ、きに・・・ふろぉ・・・瘴気、流さな・・いとぉ」
「ん、わかった。綺麗に洗ってあげるから、身体預けてね」
「ん・・・・・・ん?」
寝ていたであろうジオルドも少し寝癖がついているが、それでも格好いい!
と、巫山戯ている場合ではない。
王族全員が集まる中で、俺ではなくキュリアス殿下が説明してくれたのだ。
助かった・・・・・・・。
俺の心は今疲弊していて、とてもじゃないが語れる自信が全くなかったのだ。
キュリアス殿下とて気丈に振る舞ってはいるが、握りしめた拳からダクダクと血が流れ、床に伝い落ちている。
後でヴォルフに治させよう。
「・・・・・・なんということだ・・・。あの者がそこまでとは・・・・・・」
「父う、あ、いえ、陛下。スイ団長がバーミリアを属国後、前第二騎士団長グラスゴーの解呪を行います。その後に、オークレイを刑に処していただきたい」
「ああ、わかっておる。スイ団長、貴殿はこの世界に来て本当に大変な思いをさせておる。申し訳ない。しかし、今暫く我らに力を貸していただきたい」
陛下は立ち上がり、俺に深々と頭を下げる。
さすがに俺は慌てて、
「いや、大変ですが!でもっ!それでも!俺に大切な人たちが出来た世界です!陛下が迷惑でない限り、このフィルハート帝国にいさせてください!」
「迷惑っ!?迷惑をかけているのはこちらだ!君がいたいだけいてくれ!」
「感謝いたします。では、申し訳ありませんが、体調が優れないので休ませていただいてもよろしいですか?」
「ああ、大義であった。ゆっくり休まれよ。明日も一日ゆっくりしてくれ。ジオルド、ジルフォード、お前たちも休め。ジオルドは顔色が悪いし、ジルフォードは今日のこともある」
「「心遣い感謝いたします、父上」」
「こらこら、この場では『陛下』だろうが、全く」
陛下の苦笑を最後に退出しようと、席を立った瞬間、目の前が暗くなり、蹌踉めいてしまった。
そんな俺をジオルドとジルフォードが支えた瞬間、俺たち三人を金色の光が包む。
「「「っ!!!???」」」
殿下二人はもちろんのこと、俺だって何が起きたのか全くわからない。こんな現象初めてだ。
『光と闇の加護が『空』を支えるとき、新しき力と新しき生命が産まれるだろう』
姿形は見えないが、凜とした綺麗な声が頭上から降りてくる。
そして、金色の光は3つの小さな『霊(たま)』となって、俺たちの中に一つずつ溶け込んだ。
温かな力、身体の中から何かに包まれる感覚。
この感覚は・・・・・・・・。
「俺を加護してくれている神獣の気配と似てる・・・・・」
「「「神獣???」」」
「あ、まだ紹介してなかったな・・・・・」
俺は召喚するため印を結ぼうとするが、手が震えて上手くいかない。
よくよく考えたら、俺今必死に性欲に耐えている状態だった!金色の『霊』のおかげで、少し和らいだが奥で地味に燻り続けて、限界が近づいているのだ。
「スイ?あっ!もう限界か?」
ジオルドの問いに小さく頷くと、何故かジルフォードが俺を軽々と抱き上げたのだった。
「っ!!???」
「ジオルド、俺もいいよな?」
「・・・・・・仕方なかろう、はぁ~~。折角私一人で可愛がれると思ったのに!!」
「????」
俺が目を白黒させているのに、サーシャ様は相変わらず「まさかの3P!!」とか呟いて、いや、ここまで聞こえるから呟いてさえいないのか?現に他の王妃様や王女殿下たち、あ、見るんじゃなかった。
なんか超興味津々な目なんですけどっ!
こっちの世界は所謂『腐女子』が普通なのだろうか?
「では、失礼します」
もう、どうなってもいいや。
兎に角、この熱を出させてくれっ!
「あ、ぁ・・・・・」
「スイ、もう少しで俺の部屋だから我慢して?」
「ぅぁ・・・み、みもと・・・で、はなす・・なぁっ!」
「可愛い。ジオルドが夢中になるのもわかるな」
「だろ?やはり双子だな~。好みも一緒とは」
「趣味がいいだろう?」
「ああ、その通りだっ!」
わけの判らんことを俺を無視で話すなぁあぁっ!
「さ、きに・・・ふろぉ・・・瘴気、流さな・・いとぉ」
「ん、わかった。綺麗に洗ってあげるから、身体預けてね」
「ん・・・・・・ん?」
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