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第一章

7.助けて・・・

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俺にとって一番相性の良い加護持ちは『光』か『闇』だ。そして、この2種は俺には察知し辛い加護。
普通の人間はこのような力は持っていない。持つとしたら精霊や妖精、神や仏に愛された者だけだ。
俺はその一人なのだが、俺は超が付くほど特殊人間で、俺の子孫を残せる人物など本来はいないのだ。
だけど、ここにいた、ジオルドが。
否、ジオルドともう一人・・・・・・・・・・。
「王子、否、殿下!貴方の親族に『闇』の者がいますね?」
「「「っ!!!」」」
三人がヒュッと息を呑み、目を逸らす様を見て、それは正解だったのだと知った。
「・・・・・・・・私には双子の弟・・・・・・・『闇』の力を持ったジルフォードがいる」
俺は彼の言動、行動で理解した。
この世界でも『闇』は悪なのだと・・・・・・・。
「な~、お前の弟どうしてんの?『闇』が悪だからってだけで拘束してんの?」
「っ!!あぁ、そうだ。自室から出ることが出来ないよう軟禁している」
「っ!!!」
この言い様だと「王子だから軟禁だけですんでいる」と言っているようなモノ。
普通の人だとどうなってたんだよ!投獄?処刑?
本当に腹が立つ!
本質も知ろうとしないでっ!
一息肺に綺麗な空気を入れて、
「で?本当にお前らは『闇』を悪だと思ってんの?」

俺にとってどの種の要素も加護も『悪』ではない。俺の持つ力の五要素は少々こちらとは異なるようで、「地」「水」「火」「風」「空」の全ての五要素を持っている。「空」という要素は聞いたことがない人も多いだろう。実際ゲームなどでは「空」ではなく、「光」と「闇」の六加護。だけど、この「空」は「光」と「闇」を併せ持つのだ。もちろん「空」だ。天候も左右させることができる。落雷や霰、嵐なども起こせてしまう危険な要素だ。
この要素だけは精霊や神など人が崇める全ての者の信用、信頼、全てがないと持ち得ない特殊能力で、俺が前の世界で疎まれたのもこれが最大の要因だ。これが使えるだけで、一国は墜とせると言われるほどの脅威なのだ。だからこそ「人間兵器」だったのだから。
でも、この異世界は違う。「光」と「闇」に分離している。
ということは、ゲームなどでよくある「闇は悪」が蔓延していてもおかしくはない。実際、今この三人は「悪」だと表明した。
巫山戯んな!誰が好き好んで「悪」になりたがろうかっ!
「悔しい・・・・・・何で、わからないんだよ、どいつもこいつも・・・・・」
「スイ??」
殿下は俺の身体をギュッと抱きしめてくる。本当に身体の相性は良いのだろう、安心する。
だけどっ!
「スイ、頼みがある。私の弟を助けてくれ」
「っ!!!」
殿下の声音は本当に寂しくて、辛い感情が交じっていて。
この人・・・・・・・・
「私だって嫌なんだ、弟と・・・・・自由に遊べないのが!私、アルバート、レイフォード、そして弟は幼なじみなはずなのに!なのに!弟だけ事実上幽閉だっ!『闇』の力を持っていただけで!何も悪いことしていないのに!」
俺を抱く力が更に増した。
縋り付くのを通り越して、俺に願っている。
『スイならどうにかできるのではないのか?』と・・・・・・・・・・。
本当に本当に心の底から弟公を思っていらっしゃる・・・・・・・・・光の色。

見えた!!!

この色が見たかった!
絶対に助けてと、藁にもすがる思いの色を!
人が悪いと思うだろう、だけど!
助けて、その後は?となっては俺の打つ手はない。
俺の手が届かないところで何かあっては嫌だ。
だけど、この思いの色で「助けよう」と思える。
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