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第一章
2.浄化
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そして、空が赤く染まりだし、こっちに来て数刻が経ったことを教えてくれた。
一体どのくらい俺は奔り続けたのであろう、あんなに遙か遠くに見えていた『森』が悠々と目の前に静かに佇んでいる。
足を踏み入れると『ぴりり』とした感覚が俺に纏わり付いてくる。つまり、かなり酷く汚染されているのだ「瘴気」によって。
この出所は山頂の方より流れている靄でわかる。そこに何かがあるのだ。
もう日が暮れ森を暗闇が襲おうとも俺にとってはこっちの方が『好都合』で本職の時間だからなんともない。この夜目が利く目は俺の商売道具なのだから。
森の中を進むと、植物は弱り、動物は辛うじて息はしているものの動けず、呼吸がかなり苦しいようで浅い息を吐き続けている。
一刻も早く瘴気の原因となる物をどうにかしなければ、この森は死んでしまう。
そんなことは絶対にさせない!動植物に罪はない。
『罪』は人間が作り出すことだからだ。
作り出した人間に『罰』を与えるのも人間だ。ならば、この瘴気の原因が人為的ならば俺はそいつらに『罰』を与えてもいいよな?
俺には確信がある。この瘴気は人為的であると。
瘴気の色が自然に出来たものではないのだ。これは人が作り出した色だ。
瘴気には自然に発生した物と人為的に発生させた物が存在する。
自然に発生した瘴気には様々な色がある。ただ、言えることは自然の色に黒を混ぜた色になるということだ。なかなか説明は難しいのだが、自然的にできた瘴気の原因が『水』であった場合は、水色に黒が混じるのだ。
しかし、人為的に発生した物には『黒』一色なのだ。
目的地に近づくにつれ、流れる川の色が毒により汚され瘴気を発生していることがわかった。この毒は『水銀』だなと検討をつけるが、含まれる水銀量が多い。多分、何らかの術で量を増やし、水に溶け込ませているのだろう。人の『罪』が作り出した瘴気は多少なりとも『呪い』が加わっている。『呪い』を解呪するのは簡単なことではないのだ。通常、専門家が行い、呪いが強ければ強いほど、強力な術者が何名も必要となるのだ。だが、現代の『忍び』は自分の許容範囲内の呪いならば一人で解呪を行える。副作用を怖がらなければの話だが。
水が湧き出ている箇所に辿り着くと、瘴気が濃く充満し、生命を絶たれた草木や動物が腐り、瘴気に臭いを絡めてしまっている。
常人ならば死んでもおかしくない『毒』が充満したこの場は、毒耐性を身につけている俺でも気分が良い物ではなく、吐き気を伴う。
水源は毒々しい色に変わり果て、これがこの森中に巡っていると考えると、居たたまれない。
「すぐに解放してやるからな」
こちらの世界で使えるのかわからない。が、俺は『忍び』でも特殊な人間だから。だから、大丈夫。と、多大な期待と不安を心にとどめながら術を解放する。
浄霊清流
『霊』とついているが、意味的には呪いを祓い、清く流れるという俺だけが使える術式だ。
これを広範囲で行うと、とんでもない副作用が現れて大変なのだ。今回もそれが現れるであろうな~~と、頭の隅で考え、蓋をし、川の色を見ると、澄みきった美しい水がゆったりと流れている。
これで水は一安心だが、この森で弱り切っている動植物を助けなければならない。
俺は息があり、自力で立てない動物を同術で治し、その者たちの力を借りて、この森で動けないモノたちを森の中心にある泉に運んでくれるよう頼んだ。命を助けられた動物たちは嬉々として俺の指示に従ってくれた。彼らが連れてきてくれる間に、俺は植物の再生にかかる。これはかなりの広範囲になるため、簡易的な治療をするだけに止めた。それに俺の力が混じった綺麗な水が森中に届けば、すぐに再生する。だから、動物たちにほとんどの力を使う。
そして、集められた彼らに術を施して、漸く一息を入れる。
と、少し先に煙が上がっている場所があるのがわかった。
そこには湯が沸いており、これは幸いと思い、石で湯を囲み即席の温泉を造りあげた。その中に俺が作った特性の薬剤を垂らすと、湯は乳白色に染まった。
着替えも拭うタオルもないが、副作用が差し迫っているので、そんなことは湯に浸かってから考えたら良い。
服を脱ぎ捨て、一時の極楽を手に入れたのだ。
一体どのくらい俺は奔り続けたのであろう、あんなに遙か遠くに見えていた『森』が悠々と目の前に静かに佇んでいる。
足を踏み入れると『ぴりり』とした感覚が俺に纏わり付いてくる。つまり、かなり酷く汚染されているのだ「瘴気」によって。
この出所は山頂の方より流れている靄でわかる。そこに何かがあるのだ。
もう日が暮れ森を暗闇が襲おうとも俺にとってはこっちの方が『好都合』で本職の時間だからなんともない。この夜目が利く目は俺の商売道具なのだから。
森の中を進むと、植物は弱り、動物は辛うじて息はしているものの動けず、呼吸がかなり苦しいようで浅い息を吐き続けている。
一刻も早く瘴気の原因となる物をどうにかしなければ、この森は死んでしまう。
そんなことは絶対にさせない!動植物に罪はない。
『罪』は人間が作り出すことだからだ。
作り出した人間に『罰』を与えるのも人間だ。ならば、この瘴気の原因が人為的ならば俺はそいつらに『罰』を与えてもいいよな?
俺には確信がある。この瘴気は人為的であると。
瘴気の色が自然に出来たものではないのだ。これは人が作り出した色だ。
瘴気には自然に発生した物と人為的に発生させた物が存在する。
自然に発生した瘴気には様々な色がある。ただ、言えることは自然の色に黒を混ぜた色になるということだ。なかなか説明は難しいのだが、自然的にできた瘴気の原因が『水』であった場合は、水色に黒が混じるのだ。
しかし、人為的に発生した物には『黒』一色なのだ。
目的地に近づくにつれ、流れる川の色が毒により汚され瘴気を発生していることがわかった。この毒は『水銀』だなと検討をつけるが、含まれる水銀量が多い。多分、何らかの術で量を増やし、水に溶け込ませているのだろう。人の『罪』が作り出した瘴気は多少なりとも『呪い』が加わっている。『呪い』を解呪するのは簡単なことではないのだ。通常、専門家が行い、呪いが強ければ強いほど、強力な術者が何名も必要となるのだ。だが、現代の『忍び』は自分の許容範囲内の呪いならば一人で解呪を行える。副作用を怖がらなければの話だが。
水が湧き出ている箇所に辿り着くと、瘴気が濃く充満し、生命を絶たれた草木や動物が腐り、瘴気に臭いを絡めてしまっている。
常人ならば死んでもおかしくない『毒』が充満したこの場は、毒耐性を身につけている俺でも気分が良い物ではなく、吐き気を伴う。
水源は毒々しい色に変わり果て、これがこの森中に巡っていると考えると、居たたまれない。
「すぐに解放してやるからな」
こちらの世界で使えるのかわからない。が、俺は『忍び』でも特殊な人間だから。だから、大丈夫。と、多大な期待と不安を心にとどめながら術を解放する。
浄霊清流
『霊』とついているが、意味的には呪いを祓い、清く流れるという俺だけが使える術式だ。
これを広範囲で行うと、とんでもない副作用が現れて大変なのだ。今回もそれが現れるであろうな~~と、頭の隅で考え、蓋をし、川の色を見ると、澄みきった美しい水がゆったりと流れている。
これで水は一安心だが、この森で弱り切っている動植物を助けなければならない。
俺は息があり、自力で立てない動物を同術で治し、その者たちの力を借りて、この森で動けないモノたちを森の中心にある泉に運んでくれるよう頼んだ。命を助けられた動物たちは嬉々として俺の指示に従ってくれた。彼らが連れてきてくれる間に、俺は植物の再生にかかる。これはかなりの広範囲になるため、簡易的な治療をするだけに止めた。それに俺の力が混じった綺麗な水が森中に届けば、すぐに再生する。だから、動物たちにほとんどの力を使う。
そして、集められた彼らに術を施して、漸く一息を入れる。
と、少し先に煙が上がっている場所があるのがわかった。
そこには湯が沸いており、これは幸いと思い、石で湯を囲み即席の温泉を造りあげた。その中に俺が作った特性の薬剤を垂らすと、湯は乳白色に染まった。
着替えも拭うタオルもないが、副作用が差し迫っているので、そんなことは湯に浸かってから考えたら良い。
服を脱ぎ捨て、一時の極楽を手に入れたのだ。
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