リアル

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翌朝、俺は6時に目が覚めた。 

再び記事を見つめる。

富士八は、ここで十の災いと現実に起きた事件を結びつけていたのだ。

そんなファンタジーな仮説を立てると、大の大人が無作為に妄想を信じ、現実と結びつけるものだろうかという答えにいきついた。

それにもし、富士八が俺だとすれば、結びつけられる理由は何処かにあるはずだ。

頭を捻っていた時だった。

ーーピンポーン

チャイムが鳴り、俺はギクリとした。

ーーピンポーン ピンポーン

眠っていた富澤の目が、徐々に開いていく。

「ったく、うっせぇなぁ」

「誰か来てますよ」

出るべきか戸惑っている俺の横を、不機嫌な顔をした富澤が通り過ぎる。

ガチャリとドアを開けると同時に、富澤が怒鳴った。

「何時だと思ってるんだよ!馬鹿野郎!!」

「ひぃぃ!す、すみません!」

富澤の迫力に押された相手が、悲鳴のような声をあげる。

「この前も言っただろうが!勤務時間にだけ俺に会いに来いって!」

「だって富澤さん、昨日の朝以来、全然連絡くれなかったじゃないですか。電話しても出ないし」

「だからって、朝の・・・何時や?」

「7時18分です」

「はぁぁぁ?!」

富澤の知り合いのようで、少しホッとしながら、遠巻きに玄関の様子を見る。

訪れた男は、センター分けした眼鏡にスーツと典型的な生真面目そうなタイプだ。

「分かってますよ、早いのは。でも、そうでもしないと富澤さんと会えないじゃないですか」

話の流れから、彼は富澤の同僚だろう。

「まあいい、入れ」

招き入れられた男は、俺を見てペコリと頭を下げた。

「一ノ瀬一です」

二宮雅人にのみやまさとです」


互いに自己紹介をしたものの、それ以上言葉が見つからず、気まずい空気が流れる。

「二宮、調べは終わったのか?」

「あ!そうですよ!だから来たんですよ」

そういうと、胸ポケットから手帳を取り出した。

「いきますよ。しっかり聞いてくださいね」

前置きした二宮は、深く息を吸うと口を開く。

「富士八さんの近くで亡くなっていたのは、七隈勲ななくまいさお、65歳。家族の話では、数日前から外出が増えて様子がおかしかったそうです。事件の前夜に、分かったぞと言いながら家を飛び出し、翌日、死体となって発見されるまでの行動は不明との事でしたが、晴れて私が捜査したところ、七隈は家を出てから死ぬまでずっと、金森川の河川敷にいたようです。あ、これは、周囲の監視カメラの映像から実証済みです」

捲し立てるように、一気に吐き出した。



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