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9. シルフィーさん
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「アイリーン。お待ちなさい」
授業を終え、教室に戻ろうとした私を呼び止めたのはカールセンさんだった。
「今日の活躍、素晴らしかったわ」
「いえいえ。足手まといは嫌だったので。カールセンさんの足元にも及びませんが」
「そうね。私からすれば、ちんちくりんのひよこちゃんだけれども頑張っていたわ。三位に入れたのはアイリーンのおかげよ。ありがとう」
褒めているのか貶されているのか分からなかったが、私はお礼を述べた。
「それから、私の名前はシルフィーよ」
「えっと……存じ上げております……?」
「もう! 本当におにぶちゃんね。シルフィーとお呼びなさいと言ってるの」
「シルフィー様?」
「様はやめなさいと、この間に言ったばかりでしょう」
シルフィーさんの鼻息がだんだんと荒くなってくる。
「シルフィーさん」
「そうよ。それでいいの。さぁ、一緒に教室に戻りましょう」
シルフィーさんは、「ふふん」と笑って歩き出した。
少しは仲良くなれたのかな?
私はシルフィーさんの後に続いて歩き出した。
シルフィーさんと組んで行った実技の授業から数日。
私とシルフィーさんは毎日行動を共にしていた。
最初はシルフィーさんの子分にされたのかと思ったが、どうやら取り巻きくらいの立ち位置にはいるようだ。
それからシルフィーさんと行動を共にして分かった事は、どうやらシルフィーさんもそれとなくクラスメイトから距離を置かれているようだ。
理由は学年で唯一の貴族令嬢だからだろう。
「あー! もう、我慢の限界よ。アイリーン。あなたの幼馴染に物申して来るわ」
先程まで楽しく話していたのにいきなり怒り出したシルフィーさん。
ジーン、逃げて。何故だか分からないけど、シルフィーさんが怒っている。
いったい何をしたのよー。
自分がボロを出すなとか、必要以上に関わるなとか言っていたのに……困った幼馴染を助ける為に、私は慌ててシルフィーさんを追いかけたのだった。
授業を終え、教室に戻ろうとした私を呼び止めたのはカールセンさんだった。
「今日の活躍、素晴らしかったわ」
「いえいえ。足手まといは嫌だったので。カールセンさんの足元にも及びませんが」
「そうね。私からすれば、ちんちくりんのひよこちゃんだけれども頑張っていたわ。三位に入れたのはアイリーンのおかげよ。ありがとう」
褒めているのか貶されているのか分からなかったが、私はお礼を述べた。
「それから、私の名前はシルフィーよ」
「えっと……存じ上げております……?」
「もう! 本当におにぶちゃんね。シルフィーとお呼びなさいと言ってるの」
「シルフィー様?」
「様はやめなさいと、この間に言ったばかりでしょう」
シルフィーさんの鼻息がだんだんと荒くなってくる。
「シルフィーさん」
「そうよ。それでいいの。さぁ、一緒に教室に戻りましょう」
シルフィーさんは、「ふふん」と笑って歩き出した。
少しは仲良くなれたのかな?
私はシルフィーさんの後に続いて歩き出した。
シルフィーさんと組んで行った実技の授業から数日。
私とシルフィーさんは毎日行動を共にしていた。
最初はシルフィーさんの子分にされたのかと思ったが、どうやら取り巻きくらいの立ち位置にはいるようだ。
それからシルフィーさんと行動を共にして分かった事は、どうやらシルフィーさんもそれとなくクラスメイトから距離を置かれているようだ。
理由は学年で唯一の貴族令嬢だからだろう。
「あー! もう、我慢の限界よ。アイリーン。あなたの幼馴染に物申して来るわ」
先程まで楽しく話していたのにいきなり怒り出したシルフィーさん。
ジーン、逃げて。何故だか分からないけど、シルフィーさんが怒っている。
いったい何をしたのよー。
自分がボロを出すなとか、必要以上に関わるなとか言っていたのに……困った幼馴染を助ける為に、私は慌ててシルフィーさんを追いかけたのだった。
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