エルーシアの物語

ねむ太朗

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  次の日になり、私達は東の領地を観光していた。

「ふ、ふーん」

「少し落ち着いてくれないか。恥ずかしいんだが」

  町の中を跳び跳ねて歩いていた私に、ディリック様が声を掛けてきた。

「いいじゃないですか。楽しいんですから。ベルノーさんも恥ずかしいですか?」

「いいえ、気にならないですよ」

「さっすがですね!  お優しいベルノーさん」

  ベルノーさんはいつもの微笑みを見せてくれた。

「で、何処に行くんだ」

「どこに行きます?  町、川、山、さあ、どこに行きましょう」

「エルーシアは何処に行きたいんだ」

「私?  私の意見は必要ないですよ。ここはライングドール王国なんですよ。お二人が行きたい所に行きましょう」

  ディリック様は考え込んでいた。

「ベルノーは何処かあるか」

「いえ、私はディリック様について行きます」

「ふむ……」

「まさか、ないとか言わないですよね」

「「……」」

  仕方がない!  私が案内をしますかね。この領地……私も観光をした事が無いけれど。まっ、なんとかなるわね。

「では、町の散策をしましょう」

  私達は町の中を進んで行った。

「何か気になる所とかありますか」

「あれは何だ?」

「あれは、勉強小屋ですね」

「庶民が学ぶ場か?」

「そうです。町の子ども達を集めて、定期的に読み書きを教えています」

「ふむ」

  私達は町の中を進んで行く。

「あれは、教会か?」

「そうです。行きますか?」

「ああ」

  教会の中には人が誰もいなかった。

「この国はあまり宗教が盛んではありません」

「何故だ」

「王家の方々があまり好んでいないのです」

「何故だ」

「さぁー?」

「さぁーって……」

「けれど嫌っている訳ではないのです。教会に寄付をしていますし、結婚式も教会にお世話になりますよ。なぜでしょうね……プラメル家も教会に寄付に行きますが、すぐに帰りますね。国民性なのかもしれませんね」

「なるほど。この教会は何を崇拝しているんだ?」

「女神様ですね、いや、精霊様だったかな」

「しっかりしてくれ。あの絵がそうか」

「すみません……本当に盛んではないんです」

  ディリック様が教会の中の入り口近くにある絵を見ていた。

「そうですよ。銀色の髪の毛で赤い瞳の美しい女性ですよね」

「ああ。綺麗だな」

「そろそろ、次に行きますか」

  私達は教会で祈りを捧げてから、町の中を歩きはじめた。

  それから、食べ歩きをした。
  串に刺さった肉にかぶりついた。

「うーん!  美味しいですね」

「本当に伯爵令嬢なのか」

「立派な庶民見習いですよ」

「そうだったな」

  ディリック様はククッと笑っていた。
  さて、どうしようかな……

「どこに行きましょうか」

  二人共悩んでしまっている。
  私達は悩みながら歩き続け、野原に出た。
  野原の奥には、森も見えた。

「うわぁー、広いですね」

「そうだな」

「そうですね」

「お昼寝がしたくなりますよね」

「はっ?」

  私は野原に寝そべった。

「おい……寝るのか」

「どこか行きたい所がありますか」

「いや、ないな」

「なら寝ましょうよ。気持ちいいですよ。今日はお昼寝日和ですね」

  ディリック様とベルノーさんも近くに寝そべった。

「本当だ気持ち良いな」

「ベルノーさんはどうですか」

「気持ち良く眠れそうです」

  私達は三人で昼寝をした。

「おい。起きろ!  エルーシア、起きるんだ」

「はひ?」

「はひ、じゃなくて起きてくれ」

  誰かが私の身体を揺すっていた。
  ディリック様だった。

「おはようございます」

「もう夕方だぞ」

「えー!」

  私達は慌てて町に戻り、夕食を食べて宿屋に戻った。
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