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56 ミリウェイン子爵令嬢の話
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「あーくん、いますか?」
「呼んだか小娘」
「エドガー青年の元婚約者さんって亡くなっていますか?」
「くっくっくッ。そうだ。エドガー青年の後を追うように亡くなった……」
ローサとフレデリクは、何とも言えない顔であーくんを見た。
「あーくんが殺したの?」
「人聞きが悪い事を言うでない。勝手に死んだのだ」
「えっと……ミリウェイン子爵令嬢はどうして亡くなったの?」
「体調が悪く寝込んでいた時に訃報が入った。あまりのショックで食事が取れなくなり、弱っていっただけだ」
ローサはエドガー青年が生きていたら、ミリウェイン子爵令嬢も亡くならないよね。それって、やっぱりあーくんが殺したんじゃ……と思った。
「ちなみにエドガー青年が生きていたら、ミリウェイン子爵令嬢はどうなっていたの? 確か……婚約が解消されたって言っていたよね?」
「元々エドガー青年とミリウェイン子爵令嬢は、付き合ってから婚約をした」
「まあ、素敵! 両思いなのね」
「しかし、エドガー青年は馬車の事故に巻き込まれ両足を失う。二人は想い合っていたが、両家の親に結婚を反対され、エドガー青年も最後はミリウェイン子爵令嬢の事を諦めた。ミリウェイン子爵令嬢は、両親が決めた結婚相手と結婚をさせられ、嫡子を出産後に行方不明になる」
「えっ、誘拐をされたの?」
ローサは驚いた顔をして、質問をした。
「そんな訳なかろう」
「義務を果たして逃げ出したんだ」
「エドガー青年の所に?」
「いや、名前を偽って全く別の人間として生きていく事にしたらしい」
「……そう。エドガー青年の所には行かなかったのね」
ずっと黙っていたフレデリクが口を開いた。
「行かなかったんじゃなくて、行けなかったんじゃないかな?」
「どうしてですか? 好きなのに」
「好きだからだよ。ミリウェイン子爵令嬢は別の人と結婚をしたんだろう? 私なら会いに行けないな」
「……そう」
ローサは、私には分からないくらいの複雑な感情があるんだろうな。と思った。
「……やはりミリウェイン子爵令嬢の中には、別の人間が入っているみたいだね」
フレデリクが話を戻した。
「あっ! そう。それなんですけど。私の聞き方悪かったのかもしれません。日本じゃなくて、ジャパンって知っていますか? と聞かなくてはいけなかったかもしれません」
「それってどう言う事?」
「私がいた国は日本と言う国なんですけど、日本は日本語なんです。けれど、世界共通語は英語と言って、日本と言う単語を英語にするとジャパンになります」
「なるほど! では、ローサさんと同じ世界から来た人だけど、別の国から来た可能性があると言う事かな?」
「そうです」
あーくんはローサとフレデリクが話すのをしばらく聞いていたが、そろそろ自分に話が振られそうになって来たので逃げる事にした。
「では、私はそろそろ失礼する」
「あーくん、待って」
ローサの声を聞く前にあーくんは消えた。
「……次に会長に会えるのはいつか分からないですが、会った時に聞いてみます」
「分かった。今度は話が通じるといいね」
「ええ、そうですね」
「悪魔さんが関わった人間が、もうすでに二人も死んでいる。ローサさん……気をつけて」
「ふふ。大丈夫ですよ」
この時フレデリクは胸騒ぎがしたが、何も出来なかった。
「呼んだか小娘」
「エドガー青年の元婚約者さんって亡くなっていますか?」
「くっくっくッ。そうだ。エドガー青年の後を追うように亡くなった……」
ローサとフレデリクは、何とも言えない顔であーくんを見た。
「あーくんが殺したの?」
「人聞きが悪い事を言うでない。勝手に死んだのだ」
「えっと……ミリウェイン子爵令嬢はどうして亡くなったの?」
「体調が悪く寝込んでいた時に訃報が入った。あまりのショックで食事が取れなくなり、弱っていっただけだ」
ローサはエドガー青年が生きていたら、ミリウェイン子爵令嬢も亡くならないよね。それって、やっぱりあーくんが殺したんじゃ……と思った。
「ちなみにエドガー青年が生きていたら、ミリウェイン子爵令嬢はどうなっていたの? 確か……婚約が解消されたって言っていたよね?」
「元々エドガー青年とミリウェイン子爵令嬢は、付き合ってから婚約をした」
「まあ、素敵! 両思いなのね」
「しかし、エドガー青年は馬車の事故に巻き込まれ両足を失う。二人は想い合っていたが、両家の親に結婚を反対され、エドガー青年も最後はミリウェイン子爵令嬢の事を諦めた。ミリウェイン子爵令嬢は、両親が決めた結婚相手と結婚をさせられ、嫡子を出産後に行方不明になる」
「えっ、誘拐をされたの?」
ローサは驚いた顔をして、質問をした。
「そんな訳なかろう」
「義務を果たして逃げ出したんだ」
「エドガー青年の所に?」
「いや、名前を偽って全く別の人間として生きていく事にしたらしい」
「……そう。エドガー青年の所には行かなかったのね」
ずっと黙っていたフレデリクが口を開いた。
「行かなかったんじゃなくて、行けなかったんじゃないかな?」
「どうしてですか? 好きなのに」
「好きだからだよ。ミリウェイン子爵令嬢は別の人と結婚をしたんだろう? 私なら会いに行けないな」
「……そう」
ローサは、私には分からないくらいの複雑な感情があるんだろうな。と思った。
「……やはりミリウェイン子爵令嬢の中には、別の人間が入っているみたいだね」
フレデリクが話を戻した。
「あっ! そう。それなんですけど。私の聞き方悪かったのかもしれません。日本じゃなくて、ジャパンって知っていますか? と聞かなくてはいけなかったかもしれません」
「それってどう言う事?」
「私がいた国は日本と言う国なんですけど、日本は日本語なんです。けれど、世界共通語は英語と言って、日本と言う単語を英語にするとジャパンになります」
「なるほど! では、ローサさんと同じ世界から来た人だけど、別の国から来た可能性があると言う事かな?」
「そうです」
あーくんはローサとフレデリクが話すのをしばらく聞いていたが、そろそろ自分に話が振られそうになって来たので逃げる事にした。
「では、私はそろそろ失礼する」
「あーくん、待って」
ローサの声を聞く前にあーくんは消えた。
「……次に会長に会えるのはいつか分からないですが、会った時に聞いてみます」
「分かった。今度は話が通じるといいね」
「ええ、そうですね」
「悪魔さんが関わった人間が、もうすでに二人も死んでいる。ローサさん……気をつけて」
「ふふ。大丈夫ですよ」
この時フレデリクは胸騒ぎがしたが、何も出来なかった。
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