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23 フレデリク、頭を抱える
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時を遡る事少し前。ローサとの婚約破棄直後に、フレデリクは陛下に呼ばれた。
陛下に事情を聞かれたので、起こった事を淡々と伝え、どうしてこうなったのかは分からない。と答える事しか出来なかった。
フレデリクは陛下に謹慎を言い渡され、会って良いのは従者などの最低限の人物とされた。
今部屋に居るのは、フレデリクと友人兼従者のレイドリックだ。
レイドリックはフェルテオリ侯爵の三男で、フレデリクの同級生だ。
「おい、フレデリク……どうしたんだよ。最近のお前、本当におかしいぞ」
「私も良く分からないんだ」
「分からないって、自分の事なのに?」
「ああ。ローサとの婚約はなくなってしまうだろうか」
「当たり前だろう! 自分で婚約破棄をしたのだから」
フレデリクは項垂れた。
「フレデリク……オルブライト公爵令嬢の事をまだ好きだったのか?」
「当たり前だろう! 私にはローサだけだ」
「けどさ、この間はそんな事を言っていなかっただろう?」
「……私はなんと言っていた?」
「ファウスト伯爵令嬢はオルブライト公爵令嬢より、優しくて素敵な女性だ。だったかな? だから、てっきりファウスト伯爵令嬢の事を好きになったのかと思っていた」
「いや。違うんだ。どうしてファウスト伯爵令嬢と仲良くしていたのか分からないんだ……」
「それ、どういう事だよ」
レイドリックは、大きな声を上げた。
「そのままの意味だ。私はローサが好きなのに、ファウスト伯爵令嬢と仲良くしていた。しかし、ローサとの婚約破棄後には正気に戻った……と言う所だろうか」
「なんかそれ、訳わからないな」
「ああ、本当に。レイドリック、ファウスト伯爵令嬢を調べてくれないか? 怪しい様子があれば、すぐに伝えて欲しい」
「分かった。その間フレデリクは、オルブライト公爵令嬢への謝罪の言葉でも考えておきな」
「ああ。そうだな。もう、会ってくれないかもしれないが……はあ……」
「しっかりしろよ!」
「ああ、すまない」
「とにかく、俺はファウスト伯爵令嬢とファウスト伯爵家を調べてくるから」
「頼んだ」
レイドリックが帰った後も、フレデリクはため息をついていた。
謹慎が解けて、フレデリクはすぐにローサに謝罪に行った。
その次の日には、レティシア・ファウスト伯爵令嬢に会った。
「私と別れて欲しい。本当に申し訳なかった」
「えっ、えっと」
「頼む」
「あ……はい」
フレデリクに頭を下げられたレティシアは、ただ頷く事しか出来なかった。
そして、フレデリクの事をただ唖然と見ていた。
「では、失礼する」
レティシアと二人きりでいる所を見られたくなかったフレデリクは、急ぎ足で去って行く。
レティシアは、ただその場に立ち尽くす事しか出来なかった。
フレデリクはその後すぐにレイドリックに会った。
「レイドリック、ファウスト伯爵令嬢の話だが、何か分かったか?」
「いや、ファウスト伯爵もファウスト伯爵令嬢も怪しい所は特になかった」
「そうか。今別れてきたが、すがりつかれる事もなかった。私が見た限りでも怪しい様子はなかったが、引き続き調査を頼む。別れた直後は動きがあるかもしれない」
「分かった」
レイドリックを含む数名の者は、しばらくファウスト伯爵令嬢とファウスト伯爵を偵察していたが、怪しい動きは見られなかった。
陛下に事情を聞かれたので、起こった事を淡々と伝え、どうしてこうなったのかは分からない。と答える事しか出来なかった。
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今部屋に居るのは、フレデリクと友人兼従者のレイドリックだ。
レイドリックはフェルテオリ侯爵の三男で、フレデリクの同級生だ。
「おい、フレデリク……どうしたんだよ。最近のお前、本当におかしいぞ」
「私も良く分からないんだ」
「分からないって、自分の事なのに?」
「ああ。ローサとの婚約はなくなってしまうだろうか」
「当たり前だろう! 自分で婚約破棄をしたのだから」
フレデリクは項垂れた。
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「いや。違うんだ。どうしてファウスト伯爵令嬢と仲良くしていたのか分からないんだ……」
「それ、どういう事だよ」
レイドリックは、大きな声を上げた。
「そのままの意味だ。私はローサが好きなのに、ファウスト伯爵令嬢と仲良くしていた。しかし、ローサとの婚約破棄後には正気に戻った……と言う所だろうか」
「なんかそれ、訳わからないな」
「ああ、本当に。レイドリック、ファウスト伯爵令嬢を調べてくれないか? 怪しい様子があれば、すぐに伝えて欲しい」
「分かった。その間フレデリクは、オルブライト公爵令嬢への謝罪の言葉でも考えておきな」
「ああ。そうだな。もう、会ってくれないかもしれないが……はあ……」
「しっかりしろよ!」
「ああ、すまない」
「とにかく、俺はファウスト伯爵令嬢とファウスト伯爵家を調べてくるから」
「頼んだ」
レイドリックが帰った後も、フレデリクはため息をついていた。
謹慎が解けて、フレデリクはすぐにローサに謝罪に行った。
その次の日には、レティシア・ファウスト伯爵令嬢に会った。
「私と別れて欲しい。本当に申し訳なかった」
「えっ、えっと」
「頼む」
「あ……はい」
フレデリクに頭を下げられたレティシアは、ただ頷く事しか出来なかった。
そして、フレデリクの事をただ唖然と見ていた。
「では、失礼する」
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レティシアは、ただその場に立ち尽くす事しか出来なかった。
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「いや、ファウスト伯爵もファウスト伯爵令嬢も怪しい所は特になかった」
「そうか。今別れてきたが、すがりつかれる事もなかった。私が見た限りでも怪しい様子はなかったが、引き続き調査を頼む。別れた直後は動きがあるかもしれない」
「分かった」
レイドリックを含む数名の者は、しばらくファウスト伯爵令嬢とファウスト伯爵を偵察していたが、怪しい動きは見られなかった。
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