治療と称していただきます

茜菫

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第一部

心を支える言葉(16)*

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 レイモンドは前の薄布を左右に開かき、胸の少し下に唇を寄せる。軽い音をたてながら何度も唇を寄せ、少しずつ下へとおろしていき、同時に手は脇腹を撫で、腿へと伝わせた。

 下腹部にキスをしたレイモンドは、彼女の両脚をぐっと押し開く。下着は透けて、もう十分すぎる程に濡れていて、下着なんてあってないようなものだ。

「…やらしい」

「レイモンド、好きでしょう?」

「別に…」

 レイモンドは曖昧に返して、躊躇なく下着の上から舌を這わせた。

「んっ…」

 あってないようなものとはいいつつも、下着越し故にもどかしい刺激にエレノーラは身体が疼いた。彼女が腰が揺らすと、レイモンドは下着をずらし、指で割れ目をなぞり、ゆっくりと中へと入りこむ。

「は、ん…」

 彼のふしくれだった指が奥へと入り込み、中を擦る。エレノーラは外の突起をぐりぐりと親指で押し潰されて喘いだ。その反応をよしとしてか、レイモンドは指を増やし、彼女の反応を見ながら気持ちいいところを何度も擦る。

「レイモンド、もう、はやく…!」

 気持ちいいけれど物足りないと、エレノーラは我慢しかねて声を上げた。彼を押し倒し、跨って腰を振らないだけ、我慢はしている。レイモンドが割れ目に先端を押し当て軽く擦り付けると、彼女は自ら腰を動かしてそれを咥え込みたくなった。

(だめ…我慢!)

 エレノーラは腰を動かしそうになったのをなんとか堪える。漸く、望んでいた彼の剛直が挿入され、ぐっと奥まで押し入られて、恍惚に息を吐く。レイモンドは短く息を吐き、少し眉根を寄せて快感に耐えていた。彼女は彼のその表情が堪らなくて、満ち足りた気持ちになる。

「あぁ…レイモンド…!」

「っ…エレノーラ…」

 エレノーラはゆっくりと抽挿されて、レイモンドのその背に手を這わせる。動く度に吐く息と共に漏れる彼の声にぞくぞくしながら、お互いに深く求めあった。

 暫くはゆっくりだったが、レイモンドの余裕は少しずつ無くなり、彼女の腰を掴んで激しく腰をうちつけはじめる。それに合わせて、エレノーラが搾り取る気で締めつけると、小さく喘いだ彼がぐっと奥を突いた。彼女がそのまま脚を彼の腰に絡めると、中に収まっている彼の陰茎がびくびくと震え、最奥に吐精する。

 夫婦になって、初めて。エレノーラはそう思うだけで、幸せな気持ちが溢れる。彼女はこのまま最後の一滴まで逃さないと、脚を絡めたまま抱きしめた。

「レイモンド…」

 そのまま抱き合っていたが、レイモンドは彼女唇に軽くキスをして離れる。

「エレノーラ、我慢しなくていい」

「えっ」

「好きにしているエレノーラも……僕は、好きだし…」

 最後の方の声がとても小さくなっていたが、エレノーラには確かに聞こえた。彼女が目を瞬かせてレイモンドを見つめると、彼は少し目をそらす。顔を赤くしているレイモンドを見ながら、エレノーラにやりと頬が緩んだ。
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