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第一部
今だから出来ること(9)
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周りに花屋が多いのは、噴水の水面に花びらを浮かべる行為が定番だからだろう。ならば、花を売っている者らこの行為の意味を詳しく知っているのかもしれない。
「…聞いてみるか」
「うんうん、そうしましょう?」
二人は一番近くにある花屋に向かい、声をかけた。店主らしき女性は腕を組んでやってきた二人を見てにっこりと笑うと、赤い花を手に取る。
「恋人さんたちね!なら、赤をお求めかしら?」
彼女の言葉に、レイモンドは首を傾げ、エレノーラは困ったように眉尻を下げる。
「…あの、噴水に花びらを浮かべるのは、なにか意味があるんですか?実は私たち、ここに来るのが初めて…」
「まあ、そうなんですね!」
彼女はそれは嬉しそうに、噴水と花について説明しはじめる。流石、これを商売にしているだけあってとてもわかりやすく、思わず買おうとなるようなものだったのだが、話が長くてレイモンドは少し疲れたようだ。
簡素にまとめると、花を一輪、花びらを一枚ずつ噴水に浮かべるのは願掛けのようなものだ。きっちり一輪分、それより多くても少なくても叶わなくなると言われている。一人で、恋人で、夫婦で、友人で、家族で、それぞれの関係性で、花びらの色の意味が変わる。恋人や夫婦なら、赤は二人の関係が末永く続くことを祈るものだ。今の二人にはぴったりだろう。
「ね、レイモンド。私たちもやりましょう?」
「ああ。…じゃあ、この花を、一輪」
「ありがとうございます!」
明るい声で女性は花を差し出し、エレノーラはそれを受け取って微笑んだ。二人は再び噴水の前に向かうと、花びらを一枚ずつ摘んで水面に浮かべていく。お互いに、ずっと一緒にいられるように願いながら。
「私たち…普通の、恋人同士みたいね」
エレノーラはぽつりと呟いて、幸せそうに笑った。彼女はその笑顔のまま、ゆらゆらと浮かぶ赤い花びらを眺める。
「…私、欲深くなっちゃったな」
「…また、二人で来よう」
レイモンドの言葉に、エレノーラは目を丸くした。彼女は国に保護されていて、こうして二人で出かけることは、滅多にないだろう。彼女は少し考えた後、笑って頷いた。
「ね、レイモンドを他の露店も覗いてみましょうよ」
「ああ、そうだな」
レイモンドが頷くと、エレノーラは彼の手を引いた。レイモンドはこのまま彼女が笑っていられる時間を一秒でも長く続かせたいと、頷いてそれに従った。
「…聞いてみるか」
「うんうん、そうしましょう?」
二人は一番近くにある花屋に向かい、声をかけた。店主らしき女性は腕を組んでやってきた二人を見てにっこりと笑うと、赤い花を手に取る。
「恋人さんたちね!なら、赤をお求めかしら?」
彼女の言葉に、レイモンドは首を傾げ、エレノーラは困ったように眉尻を下げる。
「…あの、噴水に花びらを浮かべるのは、なにか意味があるんですか?実は私たち、ここに来るのが初めて…」
「まあ、そうなんですね!」
彼女はそれは嬉しそうに、噴水と花について説明しはじめる。流石、これを商売にしているだけあってとてもわかりやすく、思わず買おうとなるようなものだったのだが、話が長くてレイモンドは少し疲れたようだ。
簡素にまとめると、花を一輪、花びらを一枚ずつ噴水に浮かべるのは願掛けのようなものだ。きっちり一輪分、それより多くても少なくても叶わなくなると言われている。一人で、恋人で、夫婦で、友人で、家族で、それぞれの関係性で、花びらの色の意味が変わる。恋人や夫婦なら、赤は二人の関係が末永く続くことを祈るものだ。今の二人にはぴったりだろう。
「ね、レイモンド。私たちもやりましょう?」
「ああ。…じゃあ、この花を、一輪」
「ありがとうございます!」
明るい声で女性は花を差し出し、エレノーラはそれを受け取って微笑んだ。二人は再び噴水の前に向かうと、花びらを一枚ずつ摘んで水面に浮かべていく。お互いに、ずっと一緒にいられるように願いながら。
「私たち…普通の、恋人同士みたいね」
エレノーラはぽつりと呟いて、幸せそうに笑った。彼女はその笑顔のまま、ゆらゆらと浮かぶ赤い花びらを眺める。
「…私、欲深くなっちゃったな」
「…また、二人で来よう」
レイモンドの言葉に、エレノーラは目を丸くした。彼女は国に保護されていて、こうして二人で出かけることは、滅多にないだろう。彼女は少し考えた後、笑って頷いた。
「ね、レイモンドを他の露店も覗いてみましょうよ」
「ああ、そうだな」
レイモンドが頷くと、エレノーラは彼の手を引いた。レイモンドはこのまま彼女が笑っていられる時間を一秒でも長く続かせたいと、頷いてそれに従った。
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