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本編
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「騎士さま、私が魔法で上に連れていけるよ」
「えっ、ほ、本当ですか!?」
「うん、行ってみる?」
ヴィヴィアンヌの提案にオリヴィエは驚きの声を上げる。オリヴィエにとっては闇夜の灯火、先行きが不安な中で見えた希望の光だ。すぐにも飛びつきたいが、その衝動を抑えて少し考え込む。
(……ヴィヴィアンヌに負担ばかりを掛けていては……)
オリヴィエは食料、寝床、介抱に治癒魔法と、さまざまなことでヴィヴィアンヌの世話になり、負担となっている自覚があった。ヴィヴィアンヌはそのことについてなにも言わないが、とても心苦しい。
(……いや、負担を解消するためにも……早く終わらせなければ)
オリヴィエはここでさらに負担をかけるのは心苦しいが、このままここに長く居座るわけにはいかないと思っている。長くいればいる分、負担をかけ続けることになる。いまここで負担をかけてしまうことになるが、これからのことを考えれば協力を得てできるだけ早く調査を進め、続く負担を終える方が良い。
「……では、申し訳ありませんがお願いできますか?」
「うん!」
ヴィヴィアンヌは頼られたことがうれしくて満面の笑みを浮かべた。その笑顔にやられたオリヴィエはヴィヴィアンヌを抱きしめたい気持ちで胸がいっぱいになり、胸を押さえて気持ちを抑える。
「ちょっと待ってね!」
そんなことで悶えているとは知らずに、ヴィヴィアンヌは小さな声で魔法を成すための呪文を詠唱しはじめた。それが終わると二人、ではなくヴィヴィアンヌだけがふわりと宙に浮く。
「あっ、あれ?」
「……ヴィヴィアンヌ?」
「ちょっとまってね、騎士さま。もう一回、やり直すから」
ヴィヴィアンヌは魔法を解除して地に降りた。再び呪文を詠唱して魔法をなすと、次こそ二人、ではなくオリヴィエだけが宙に浮く。
「……あれえ?」
ヴィヴィアンヌは眉をしかめた。浮遊の魔法を複数同時に使ったことがなく、うまく制御できない。
「……ううん……」
「運ぶのは私だけでも……」
「この魔法、私から離れると切れちゃうから……それだとたぶん、騎士さまが途中で落ちちゃう」
「…………それは、かなり困りますね」
以前にこの崖を落ちたことを思い出したのか、オリヴィエはぶるりと体を震わせた。仕方なくヴィヴィアンヌはオリヴィエを地におろし、魔法を解除する。
「どうしよう……」
ヴィヴィアンヌは二人同時に魔法をかけることができなかった。かといってオリヴィエを一人上げようとして途中で落としてしまってはたいへんだ。ヴィヴィアンヌは腕を組み、どうすればよいのか必死で頭を悩ませる。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう。難しければ無理に……」
「……あっ、いいこと思いついた!」
オリヴィエが断りを入れる前にヴィヴィアンヌはなにかをひらめいたようだ。編みかごの持ち手に腕を通すと、両腕を広げてオリヴィエに抱きつく。
「え……っ!?」
突然の抱擁にオリヴィエは驚きの声を上げて顔を赤くした。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの背に腕を回してぴったりと体を寄せ、顔を上げて笑顔で声をかける。
「これならいけそうな気がする。ね、騎士さまも腕を回して?」
「えっ、あっ、……あぁ」
オリヴィエは恐る恐るといったように右腕を回した。それを確認し、ヴィヴィアンヌはオリヴィエの胸に自分の頬をぴったりとくっつける。小さな体が自分の腕の中にある、そう思うとオリヴィエはどくどくと胸が高鳴る。しかしその体の細さを認識すると、少し心配になった。
(……やっぱり、小さくて……細いな)
こんな森の中で一人きり、当然、食環境は良いとは言えない。ヴィヴィアンヌは食が細く、小さな畑で育てている繁殖力の強い根菜か森で採れる木の実や山菜ばかり食べていて、栄養面も不十分だ。鳥の卵や樹液から作ったシロップをよろこんで食べているときもあるが、それも稀だ。
「じゃあ、行くね」
オリヴィエは考えを中断し、うなずいた。ヴィヴィアンヌのことは気になるが、いまはやるべきことをやらなければならない。
「……お願いします」
ヴィヴィアンヌが再び魔法を使うと、遂に二人は共に宙へと浮きあがる。支えとなっていた地がなくなり、ヴィヴィアンヌはオリヴィエに回した腕に力を入れてさらに密着した。
「やった! できたよ、騎士さま! よーし、このまま上まで行くね」
「……っ、はい……」
ヴィヴィアンヌははしゃいでいるが、オリヴィエはそれどころではなかった。生まれてこの方交際した相手などなく女性と手を握ったことすらなかった童貞が、気になっている女性から抱きつかれて平静でいられるわけがない。散々裸どころか大事なものを見られたり触られたりしているものの、そこは気持ちの問題だ。
(……ああ、左腕が動けば抱き締めるのに……)
オリヴィエはヴィヴィアンヌを両腕で抱きしめる妄想を頭の中に広げた。二人ぴったりと体を寄せ合い、抱き合って世にも珍しい空中散歩。オリヴィエがヴィヴィアンヌを呼ぶと、彼女は腕の中から彼を見上げてほほ笑む。
『……へへ、オリヴィエ……』
少し恥ずかしそうに笑うヴィヴィアンヌが名を呼びかえした。オリヴィエは抱きしめたまま、その額にそっと唇を寄せる。
(……そういえば、僕……名前、呼ばれたことないな……)
そこまで妄想したところで悲しい現実に気づいてしまい、オリヴィエの妄想は終わった。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの様子など気にせずに魔法に集中している。おかげで二人は途中で落ちることもなく、無事に崖の上まで移動した。
(よかった、ちゃんとできた!)
ヴィヴィアンヌは両足を地につけると、浮遊の魔法を解いた。オリヴィエも無事に両足を地におろし、ほっと胸をなでおろす。ヴィヴィアンヌは集中を解いて安堵に体の力を抜いたところで、ふとあることに気づいた。
(……わ。騎士さまの中、どきどきしている!)
魔法の維持に全神経を向けていた間は気づかなかったが、密着させた耳からオリヴィエの心音を聞き取る。ヴィヴィアンヌはとくとくと響くその音を聞いていると、不思議と安心感を得た。鼓動の音に好奇心が湧いたヴィヴィアンヌはもうくっつく必要がなくなったというのに、ぴったりと体を寄せたまま離れなかった。
「……あの、ヴィヴィアンヌ?」
オリヴィエとしてはおおよろこびな状況だが、彼になんの感情も抱いていないと思われるヴィヴィアンヌの行動に疑問を抱き、声をかける。ヴィヴィアンヌは声をかけられても離れず、じっとオリヴィエの心音を聞いていた。
「……騎士さまの中、どきどきしているね」
「えっ、それは……その……ヴィヴィアンヌがくっついているから……」
「私がくっつくと、どきどきするの?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエに抱きついたまま、まばたきして彼を見上げて問いかける。オリヴィエはそれにどう答えるべきか、おおいに悩んだ。
(いま、気持ちを伝えたって……)
ヴィヴィアンヌは純粋な好奇心と疑問だけでオリヴィエにたずねている。おそらくオリヴィエが恋や愛を語ったとしても、理解できないだろう。
「……そうです。僕が、君を好きだから。こうしていると、もっと先のことを考えて、どきどきするんだ」
それでも、オリヴィエは自分の気持ちをはっきりと伝えることを選んだ。ヴィヴィアンヌは理解できずに首をかしげる。
「……先のこと?」
ヴィヴィアンヌも好きや嫌いといった感情は知っている。しかしそれを祖母以外の人に向けたことはない。もちろんその感情の先のことも、ヴィヴィアンヌは知らなかった。
「えっ、ほ、本当ですか!?」
「うん、行ってみる?」
ヴィヴィアンヌの提案にオリヴィエは驚きの声を上げる。オリヴィエにとっては闇夜の灯火、先行きが不安な中で見えた希望の光だ。すぐにも飛びつきたいが、その衝動を抑えて少し考え込む。
(……ヴィヴィアンヌに負担ばかりを掛けていては……)
オリヴィエは食料、寝床、介抱に治癒魔法と、さまざまなことでヴィヴィアンヌの世話になり、負担となっている自覚があった。ヴィヴィアンヌはそのことについてなにも言わないが、とても心苦しい。
(……いや、負担を解消するためにも……早く終わらせなければ)
オリヴィエはここでさらに負担をかけるのは心苦しいが、このままここに長く居座るわけにはいかないと思っている。長くいればいる分、負担をかけ続けることになる。いまここで負担をかけてしまうことになるが、これからのことを考えれば協力を得てできるだけ早く調査を進め、続く負担を終える方が良い。
「……では、申し訳ありませんがお願いできますか?」
「うん!」
ヴィヴィアンヌは頼られたことがうれしくて満面の笑みを浮かべた。その笑顔にやられたオリヴィエはヴィヴィアンヌを抱きしめたい気持ちで胸がいっぱいになり、胸を押さえて気持ちを抑える。
「ちょっと待ってね!」
そんなことで悶えているとは知らずに、ヴィヴィアンヌは小さな声で魔法を成すための呪文を詠唱しはじめた。それが終わると二人、ではなくヴィヴィアンヌだけがふわりと宙に浮く。
「あっ、あれ?」
「……ヴィヴィアンヌ?」
「ちょっとまってね、騎士さま。もう一回、やり直すから」
ヴィヴィアンヌは魔法を解除して地に降りた。再び呪文を詠唱して魔法をなすと、次こそ二人、ではなくオリヴィエだけが宙に浮く。
「……あれえ?」
ヴィヴィアンヌは眉をしかめた。浮遊の魔法を複数同時に使ったことがなく、うまく制御できない。
「……ううん……」
「運ぶのは私だけでも……」
「この魔法、私から離れると切れちゃうから……それだとたぶん、騎士さまが途中で落ちちゃう」
「…………それは、かなり困りますね」
以前にこの崖を落ちたことを思い出したのか、オリヴィエはぶるりと体を震わせた。仕方なくヴィヴィアンヌはオリヴィエを地におろし、魔法を解除する。
「どうしよう……」
ヴィヴィアンヌは二人同時に魔法をかけることができなかった。かといってオリヴィエを一人上げようとして途中で落としてしまってはたいへんだ。ヴィヴィアンヌは腕を組み、どうすればよいのか必死で頭を悩ませる。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう。難しければ無理に……」
「……あっ、いいこと思いついた!」
オリヴィエが断りを入れる前にヴィヴィアンヌはなにかをひらめいたようだ。編みかごの持ち手に腕を通すと、両腕を広げてオリヴィエに抱きつく。
「え……っ!?」
突然の抱擁にオリヴィエは驚きの声を上げて顔を赤くした。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの背に腕を回してぴったりと体を寄せ、顔を上げて笑顔で声をかける。
「これならいけそうな気がする。ね、騎士さまも腕を回して?」
「えっ、あっ、……あぁ」
オリヴィエは恐る恐るといったように右腕を回した。それを確認し、ヴィヴィアンヌはオリヴィエの胸に自分の頬をぴったりとくっつける。小さな体が自分の腕の中にある、そう思うとオリヴィエはどくどくと胸が高鳴る。しかしその体の細さを認識すると、少し心配になった。
(……やっぱり、小さくて……細いな)
こんな森の中で一人きり、当然、食環境は良いとは言えない。ヴィヴィアンヌは食が細く、小さな畑で育てている繁殖力の強い根菜か森で採れる木の実や山菜ばかり食べていて、栄養面も不十分だ。鳥の卵や樹液から作ったシロップをよろこんで食べているときもあるが、それも稀だ。
「じゃあ、行くね」
オリヴィエは考えを中断し、うなずいた。ヴィヴィアンヌのことは気になるが、いまはやるべきことをやらなければならない。
「……お願いします」
ヴィヴィアンヌが再び魔法を使うと、遂に二人は共に宙へと浮きあがる。支えとなっていた地がなくなり、ヴィヴィアンヌはオリヴィエに回した腕に力を入れてさらに密着した。
「やった! できたよ、騎士さま! よーし、このまま上まで行くね」
「……っ、はい……」
ヴィヴィアンヌははしゃいでいるが、オリヴィエはそれどころではなかった。生まれてこの方交際した相手などなく女性と手を握ったことすらなかった童貞が、気になっている女性から抱きつかれて平静でいられるわけがない。散々裸どころか大事なものを見られたり触られたりしているものの、そこは気持ちの問題だ。
(……ああ、左腕が動けば抱き締めるのに……)
オリヴィエはヴィヴィアンヌを両腕で抱きしめる妄想を頭の中に広げた。二人ぴったりと体を寄せ合い、抱き合って世にも珍しい空中散歩。オリヴィエがヴィヴィアンヌを呼ぶと、彼女は腕の中から彼を見上げてほほ笑む。
『……へへ、オリヴィエ……』
少し恥ずかしそうに笑うヴィヴィアンヌが名を呼びかえした。オリヴィエは抱きしめたまま、その額にそっと唇を寄せる。
(……そういえば、僕……名前、呼ばれたことないな……)
そこまで妄想したところで悲しい現実に気づいてしまい、オリヴィエの妄想は終わった。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの様子など気にせずに魔法に集中している。おかげで二人は途中で落ちることもなく、無事に崖の上まで移動した。
(よかった、ちゃんとできた!)
ヴィヴィアンヌは両足を地につけると、浮遊の魔法を解いた。オリヴィエも無事に両足を地におろし、ほっと胸をなでおろす。ヴィヴィアンヌは集中を解いて安堵に体の力を抜いたところで、ふとあることに気づいた。
(……わ。騎士さまの中、どきどきしている!)
魔法の維持に全神経を向けていた間は気づかなかったが、密着させた耳からオリヴィエの心音を聞き取る。ヴィヴィアンヌはとくとくと響くその音を聞いていると、不思議と安心感を得た。鼓動の音に好奇心が湧いたヴィヴィアンヌはもうくっつく必要がなくなったというのに、ぴったりと体を寄せたまま離れなかった。
「……あの、ヴィヴィアンヌ?」
オリヴィエとしてはおおよろこびな状況だが、彼になんの感情も抱いていないと思われるヴィヴィアンヌの行動に疑問を抱き、声をかける。ヴィヴィアンヌは声をかけられても離れず、じっとオリヴィエの心音を聞いていた。
「……騎士さまの中、どきどきしているね」
「えっ、それは……その……ヴィヴィアンヌがくっついているから……」
「私がくっつくと、どきどきするの?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエに抱きついたまま、まばたきして彼を見上げて問いかける。オリヴィエはそれにどう答えるべきか、おおいに悩んだ。
(いま、気持ちを伝えたって……)
ヴィヴィアンヌは純粋な好奇心と疑問だけでオリヴィエにたずねている。おそらくオリヴィエが恋や愛を語ったとしても、理解できないだろう。
「……そうです。僕が、君を好きだから。こうしていると、もっと先のことを考えて、どきどきするんだ」
それでも、オリヴィエは自分の気持ちをはっきりと伝えることを選んだ。ヴィヴィアンヌは理解できずに首をかしげる。
「……先のこと?」
ヴィヴィアンヌも好きや嫌いといった感情は知っている。しかしそれを祖母以外の人に向けたことはない。もちろんその感情の先のことも、ヴィヴィアンヌは知らなかった。
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