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ィヴィアンヌが薬を調合している間、オリヴィエは静かだった。上がってきた熱のせいで頭が回らず、体は重くてだるい。オリヴィエはしゃべるのも億劫で、けれども眠れもせず、ただぼんやりとヴィヴィアンヌの背を眺めていた。
「騎士さま、できたよ。起き上がれる?」
「ん……、はい……」
オリヴィエは返事をしたものの、なかなか動き出さなかった。ヴィヴィアンヌがオリヴィエの背に腕を差し入れて補助すると、ようやく彼はゆっくりと上体を起こす。
「はい、どうぞ」
「……うっ」
ヴィヴィアンヌが差し出した器には、作りたての少なくない薬が入っている。深い緑色のそれは見た目からして苦そうで、匂いは青臭い。オリヴィエはヴィヴィアンヌの善意と体のためにそれを飲み干さなければと思うものの、気が進まず、手も進まなかった。
「騎士さま、苦いけどがんばって!」
「……はい」
ヴィヴィアンヌはベッドの縁に腰掛け、薬を入れた器をオリヴィエの口元に当てる。オリヴィエが観念したように口を開くと、ヴィヴィアンヌはゆっくりと器を傾けて注いでいった。それが舌に触れた途端、オリヴィエは眉をひそめる。
(……苦い……うぅ、まずい……)
オリヴィエは吐き出したくなるようなにがみをなんとか堪えるため、息を止めた。そのままそれを飲み込んでいき、すべて飲み干した後数秒おいて再び呼吸を始める。呼吸を始めた途端口の中いっぱいに広がったにがみにオリヴィエは涙目になった。
(……はぁ……つらい……)
オリヴィエがそれを隠すようにうつむくと、ヴィヴィアンヌは立ち上がってベッドから離れた。ヴィヴィアンヌは机においてある瓶を手に取ると、再びベッドの縁に腰掛ける。
「騎士さま、口を開けて」
オリヴィエは言われるがままに口を開き、ヴィヴィアンヌは開かれたそこに自分の指を差し入れた。オリヴィエは頭が回らず、なにが口に入ったのかわからないまま、その指をなめる。
(甘い……)
口の中に甘い味が広がり、さきほどの薬のにがみを忘れたオリヴィエは僅かに頬を緩めた。しかしそこでようやく自分がなにをなめているのかに気づき、声を上げる。
「…………へ、えっ!?」
オリヴィエは口を大きく開いて体を後ろに引き、バランスを崩してそのままベッドに沈み込んだ。胸をばくばくと高鳴らせたオリヴィエは呆然とヴィヴィアンヌを見上げる。ヴィヴィアンヌは悪びれた様子もなく、ただにこにことほほ笑んでいるだけだった。
「ご褒美のシロップ。おばあちゃんが薬を飲めたら、えらいってくれたの。苦いの、ふっとぶでしょ?」
「……えっ、あ…………いや、……えっ!?」
「まだ、ご褒美いる?」
ヴィヴィアンヌは驚くオリヴィエに目をまばたかせ、再び瓶に指を差し入れてシロップをすくう。彼女はそのままシロップにぬれた人差し指を差し出すが、オリヴィエはぶんぶんと首を横に振った。
「っ、いえ、いえ! 大丈夫です!」
「……そう?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの様子を不思議に思いながら自分の人差し指をなめる。ヴィヴィアンヌが指の根元まで垂れた粘度の高いシロップをなめ取る仕草に、オリヴィエは思わず生唾を飲み込んだ。
(……はっ、だ、だめだ!)
オリヴィエは再び首を横に振って、自分の中に湧き上がったものを振り払おうとした。この森にやってくる前の、ある男の嫌味な言葉とその表情をおもいだす。そのときの苛立ちや怒りを思い出し、湧き上がったものが体に表れる前にそれらの感情で塗りつぶした。
そうしてオリヴィエが悶々としている間に、ヴィヴィアンヌはベッドから離れて瓶を片づけていた。再びオリヴィエに近づくと、顔を近づけて額を合わせ、熱を確認する。
「熱いなぁ……うん。薬は飲めたし……騎士さま、あとはゆっくり休んでね」
ヴィヴィアンヌは額を離し、オリヴィエにかけた上掛けを正した。そのまま離れていくヴィヴィアンヌをオリヴィエは赤い顔のまま目で追う。
「……はい」
オリヴィエはヴィヴィアンヌの背を眺めながら、ぼんやりと彼女のことを考えていた。ヴィヴィアンヌの突拍子もない行動に振り回されてばかりだが、その行動には悪意がなく、すべて善意によるものだ。
(祖母しか知らず、一人きりでこんな森の中に……寂しくないのだろうか)
そんな感情をまったく感じさせないヴィヴィアンヌの笑顔を思い出しながら、オリヴィエはそっと目を閉じる。ヴィヴィアンヌが調合に使った道具を片づけて後ろを振り返ると、オリヴィエは目を閉じ、眠りにつこうとしているところだった。
「私、小屋の外にいるから、なにかあったら呼んでね」
「……はい」
採集した薬草と編みかごや布を手に取ると、ヴィヴィアンヌは小屋を出た。普段なら小屋の中で作業をするが、魔法を使うためオリヴィエの見える範囲を避ける。
ヴィヴィアンヌは祖母に、けっして森の外に出てはいけないと言い聞かされていた。それと同じくらい、人に出会ったとしても魔法を使うところをけっして見られてはいけないとも。ヴィヴィアンヌはその理由までは聞かされていないが、彼女の狭い世界では祖母の言うことは絶対だった。
「よし、早く終わらせちゃおう」
ヴィヴィアンヌは庭に出ると、そでを捲って気合を入れて薬草を分類しはじめた。魔法も、薬草の見分け方も、薬の調合の仕方も、すべて祖母から教わったものだ。ヴィヴィアンヌはこの森の中で祖母と二人きり、祖母がなくなってからは一人きりで暮らしている間は祖母から教わった知識だけで十分であった。
薬草の分類を終えると、ヴィヴィアンヌは鮮度の高さが必要なものに一つずつ魔法をかけていく。鮮度を保ち、長持ちさせるための魔法だ。今回オリヴィエに飲ませた薬に必要な薬草も含まれている。ヴィヴィアンヌは日が高いうちに作業を始めたが、それらがすべてが終わる頃には日が傾いていた。
(あっ、騎士さま、大丈夫かな?)
ヴィヴィアンヌが作業している間、小屋の中から声が届くことはなく、物音一つなかった。一度様子を確認するため音を立てないように小屋に入ると変わった様子はなく、オリヴィエはベッドで静かに寝息を立てて眠っていた。
「……よかった、ちゃんと眠れてる」
ヴィヴィアンヌは眠っているオリヴィエの額に額を合わせ、熱を確認した。まだ熱は下がっていないが、表情に苦しそうな様子はなく穏やかだ。
「きれいな色。いいなぁ……」
ヴィヴィアンヌはそっと眠ったオリヴィエの髪に触れる。金色の髪は少し固めだ。ヴィヴィアンヌの世界にはなかった髪色、目の色、姿に声、それらは彼女の好奇心を刺激し、世界を広げようとしている。
「……あ。結局、あれのこと聞けてない」
ヴィヴィアンヌはふとオリヴィエの股間のあたりに目を向けた。下着の話や熱の件で騒いだため、オリヴィエは質問に答えていない。
「……気になる……見ていいかな?」
答えがわからないままヴィヴィアンヌの好奇心はふくらんでいた。上掛けに手を伸ばしかけたが、ふと考え直して手を引っ込める。
(……気持ちよさそうに寝ているし、やめておいたほうがいいよね)
熱が高くなったときの苦しさをヴィヴィアンヌは知っている。なかなか寝つけず祖母に眠れるまで手をつないでもらったことを思い出し、その眠りを邪魔してはいけないと自分に言い聞かせた。
「よし! 明日頼んで、見せてもらってなにか教えてもらおう」
とんでもないことを言っているヴィヴィアンヌだが、いまの彼女に制止をかける人間はこの場にいなかった。ヴィヴィアンヌは明日が楽しみだとうきうきしながら小屋の外に出ていく。ヴィヴィアンヌが上機嫌に歌う鼻歌が小屋の中にも届き、それを聞きながらオリヴィエは薄っすらと目を開いた。
「……た……っ、助かった……」
実は起きていたオリヴィエが冷や汗をかいていたことなど、ヴィヴィアンヌは知らなかった。一方オリヴィエもまだ助かったとは到底言えない状況であることに、見られなかったことに気がいって気づいていなかった。
「騎士さま、できたよ。起き上がれる?」
「ん……、はい……」
オリヴィエは返事をしたものの、なかなか動き出さなかった。ヴィヴィアンヌがオリヴィエの背に腕を差し入れて補助すると、ようやく彼はゆっくりと上体を起こす。
「はい、どうぞ」
「……うっ」
ヴィヴィアンヌが差し出した器には、作りたての少なくない薬が入っている。深い緑色のそれは見た目からして苦そうで、匂いは青臭い。オリヴィエはヴィヴィアンヌの善意と体のためにそれを飲み干さなければと思うものの、気が進まず、手も進まなかった。
「騎士さま、苦いけどがんばって!」
「……はい」
ヴィヴィアンヌはベッドの縁に腰掛け、薬を入れた器をオリヴィエの口元に当てる。オリヴィエが観念したように口を開くと、ヴィヴィアンヌはゆっくりと器を傾けて注いでいった。それが舌に触れた途端、オリヴィエは眉をひそめる。
(……苦い……うぅ、まずい……)
オリヴィエは吐き出したくなるようなにがみをなんとか堪えるため、息を止めた。そのままそれを飲み込んでいき、すべて飲み干した後数秒おいて再び呼吸を始める。呼吸を始めた途端口の中いっぱいに広がったにがみにオリヴィエは涙目になった。
(……はぁ……つらい……)
オリヴィエがそれを隠すようにうつむくと、ヴィヴィアンヌは立ち上がってベッドから離れた。ヴィヴィアンヌは机においてある瓶を手に取ると、再びベッドの縁に腰掛ける。
「騎士さま、口を開けて」
オリヴィエは言われるがままに口を開き、ヴィヴィアンヌは開かれたそこに自分の指を差し入れた。オリヴィエは頭が回らず、なにが口に入ったのかわからないまま、その指をなめる。
(甘い……)
口の中に甘い味が広がり、さきほどの薬のにがみを忘れたオリヴィエは僅かに頬を緩めた。しかしそこでようやく自分がなにをなめているのかに気づき、声を上げる。
「…………へ、えっ!?」
オリヴィエは口を大きく開いて体を後ろに引き、バランスを崩してそのままベッドに沈み込んだ。胸をばくばくと高鳴らせたオリヴィエは呆然とヴィヴィアンヌを見上げる。ヴィヴィアンヌは悪びれた様子もなく、ただにこにことほほ笑んでいるだけだった。
「ご褒美のシロップ。おばあちゃんが薬を飲めたら、えらいってくれたの。苦いの、ふっとぶでしょ?」
「……えっ、あ…………いや、……えっ!?」
「まだ、ご褒美いる?」
ヴィヴィアンヌは驚くオリヴィエに目をまばたかせ、再び瓶に指を差し入れてシロップをすくう。彼女はそのままシロップにぬれた人差し指を差し出すが、オリヴィエはぶんぶんと首を横に振った。
「っ、いえ、いえ! 大丈夫です!」
「……そう?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの様子を不思議に思いながら自分の人差し指をなめる。ヴィヴィアンヌが指の根元まで垂れた粘度の高いシロップをなめ取る仕草に、オリヴィエは思わず生唾を飲み込んだ。
(……はっ、だ、だめだ!)
オリヴィエは再び首を横に振って、自分の中に湧き上がったものを振り払おうとした。この森にやってくる前の、ある男の嫌味な言葉とその表情をおもいだす。そのときの苛立ちや怒りを思い出し、湧き上がったものが体に表れる前にそれらの感情で塗りつぶした。
そうしてオリヴィエが悶々としている間に、ヴィヴィアンヌはベッドから離れて瓶を片づけていた。再びオリヴィエに近づくと、顔を近づけて額を合わせ、熱を確認する。
「熱いなぁ……うん。薬は飲めたし……騎士さま、あとはゆっくり休んでね」
ヴィヴィアンヌは額を離し、オリヴィエにかけた上掛けを正した。そのまま離れていくヴィヴィアンヌをオリヴィエは赤い顔のまま目で追う。
「……はい」
オリヴィエはヴィヴィアンヌの背を眺めながら、ぼんやりと彼女のことを考えていた。ヴィヴィアンヌの突拍子もない行動に振り回されてばかりだが、その行動には悪意がなく、すべて善意によるものだ。
(祖母しか知らず、一人きりでこんな森の中に……寂しくないのだろうか)
そんな感情をまったく感じさせないヴィヴィアンヌの笑顔を思い出しながら、オリヴィエはそっと目を閉じる。ヴィヴィアンヌが調合に使った道具を片づけて後ろを振り返ると、オリヴィエは目を閉じ、眠りにつこうとしているところだった。
「私、小屋の外にいるから、なにかあったら呼んでね」
「……はい」
採集した薬草と編みかごや布を手に取ると、ヴィヴィアンヌは小屋を出た。普段なら小屋の中で作業をするが、魔法を使うためオリヴィエの見える範囲を避ける。
ヴィヴィアンヌは祖母に、けっして森の外に出てはいけないと言い聞かされていた。それと同じくらい、人に出会ったとしても魔法を使うところをけっして見られてはいけないとも。ヴィヴィアンヌはその理由までは聞かされていないが、彼女の狭い世界では祖母の言うことは絶対だった。
「よし、早く終わらせちゃおう」
ヴィヴィアンヌは庭に出ると、そでを捲って気合を入れて薬草を分類しはじめた。魔法も、薬草の見分け方も、薬の調合の仕方も、すべて祖母から教わったものだ。ヴィヴィアンヌはこの森の中で祖母と二人きり、祖母がなくなってからは一人きりで暮らしている間は祖母から教わった知識だけで十分であった。
薬草の分類を終えると、ヴィヴィアンヌは鮮度の高さが必要なものに一つずつ魔法をかけていく。鮮度を保ち、長持ちさせるための魔法だ。今回オリヴィエに飲ませた薬に必要な薬草も含まれている。ヴィヴィアンヌは日が高いうちに作業を始めたが、それらがすべてが終わる頃には日が傾いていた。
(あっ、騎士さま、大丈夫かな?)
ヴィヴィアンヌが作業している間、小屋の中から声が届くことはなく、物音一つなかった。一度様子を確認するため音を立てないように小屋に入ると変わった様子はなく、オリヴィエはベッドで静かに寝息を立てて眠っていた。
「……よかった、ちゃんと眠れてる」
ヴィヴィアンヌは眠っているオリヴィエの額に額を合わせ、熱を確認した。まだ熱は下がっていないが、表情に苦しそうな様子はなく穏やかだ。
「きれいな色。いいなぁ……」
ヴィヴィアンヌはそっと眠ったオリヴィエの髪に触れる。金色の髪は少し固めだ。ヴィヴィアンヌの世界にはなかった髪色、目の色、姿に声、それらは彼女の好奇心を刺激し、世界を広げようとしている。
「……あ。結局、あれのこと聞けてない」
ヴィヴィアンヌはふとオリヴィエの股間のあたりに目を向けた。下着の話や熱の件で騒いだため、オリヴィエは質問に答えていない。
「……気になる……見ていいかな?」
答えがわからないままヴィヴィアンヌの好奇心はふくらんでいた。上掛けに手を伸ばしかけたが、ふと考え直して手を引っ込める。
(……気持ちよさそうに寝ているし、やめておいたほうがいいよね)
熱が高くなったときの苦しさをヴィヴィアンヌは知っている。なかなか寝つけず祖母に眠れるまで手をつないでもらったことを思い出し、その眠りを邪魔してはいけないと自分に言い聞かせた。
「よし! 明日頼んで、見せてもらってなにか教えてもらおう」
とんでもないことを言っているヴィヴィアンヌだが、いまの彼女に制止をかける人間はこの場にいなかった。ヴィヴィアンヌは明日が楽しみだとうきうきしながら小屋の外に出ていく。ヴィヴィアンヌが上機嫌に歌う鼻歌が小屋の中にも届き、それを聞きながらオリヴィエは薄っすらと目を開いた。
「……た……っ、助かった……」
実は起きていたオリヴィエが冷や汗をかいていたことなど、ヴィヴィアンヌは知らなかった。一方オリヴィエもまだ助かったとは到底言えない状況であることに、見られなかったことに気がいって気づいていなかった。
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