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「…」
「…」
耐え難い
何が悲しくてむさ苦しいおっさんと見つめ合わないといけないんだ
見つめ合うならナツ一択だ
目の前のゴリゴリマッチョの壮年のおっさんと俺は概ね1時間ほどこの状態である
特に拘束などはされていない
椅子の上にちょこんと座った俺と、壁にもたれ掛かるマッチョ
今夏じゃなくて良かった
なんかちょっとトイレ行きたくなってきた
俺、今オムツだけど
正直オムツは恥ずかしいけど足のリーチの関係上致し方ない
無論自分で脱ぎ履きしている
足のリーチと共に早く脱オムツしたい
まぁ脱おねしょは大変だけども
「…」
「…」
どうしたらいいんだ
「…あの」
「…なんだ」
ファーストコンタクトは大切だ
こっちには敵意がないことを示しつつ、俺を連れ去った原因をつきとめ速やかに解放していただく
このビジュアルにおける、俺の最適解は
「抱っこを所望する」
間違えた
もう嫌
なんで俺はいつも思ったようにお口が動かないのか
ごめんごめんおっさん近寄って来ないで
俺が全部悪いから
南無阿弥陀仏
神さま仏さま、後、後誰でもいいから徳が高そうな偉い人!
助けて!!
ああ、じ、地面から持ち上げ―
「…へ?」
抱っこである
おしりの辺りをポンポンされる
そう、まるで母親が赤子をあやす様に
待て待て待て
「…」
「…」
絵面がシュール
「…ありがとう、ごじゃいます…?」
動揺しすぎて噛んだ
「…」
なんか言えよ
恥ずかしいだろ
「…ビビは…」
俺は思わずビクッとした
ビビのことを知ってるってことは中々危険な状況なのでは?
「…知らない」
「…ああ、その、お前の母さんの事だ」
親子関係バレてんのかよ
「…」
「…」
逃げた方がいいのか
いいよな
俺は降りようとジタバタする
おっさんは慌てて俺をがっしり捕まえる
「ごめんな」
俺は食べても美味しくありません
王位も何もいらんから離してくれ!!
切実に王位は要らないんだ
革命の旗頭とかなんかは別を当ってくれ!
俺はただのベイビーで、無力なんだ
何の役にも立たないんだぜ?
「…思い出させちまって」
ピタリと俺は動きを止める
「…」
「…」
もしかして俺の思ってた誘拐とは違うのか?
いや、これも俺を欺くためかもしれない
「…坊主、名前は?」
「…」
名前、知られていない可能性もあるか
生まれてまもなく城から消えたのだし
偽名にするか…
いや、でもビビと親子とバレているのだし隠しても無駄か
「…レオ
レオナルド」
「レオ、か」
「うん」
「…」
いや、名乗れよ
人に名前を聞くなら自分から名乗れって言いたいのを我慢して教えてやったんだぞ
決して巨体に怯んで言わなかった訳では無い
「…あの…」
「…なんだ」
「…おっさんは?」
しまった
おっさんって言ってしまった
まだビジュアルは可愛いらしいベイビーで無邪気に乗り切ろうと思ったのに
「…やっぱりビビの息子だな」
俺が暴れるのをやめたのでおっさんは再び危なげなく俺を抱っこしていたが、頭を撫でられる
「俺はリック
ビビの兄だ」
え、お兄さんいたの?
言えよビビ
「お前たちを迎えに来たんだが」
リックは悲しそうに目を伏せる
だが俺は一つ言いたい
だったら誘拐まがいの連れ去り方はやめろ
「…」
耐え難い
何が悲しくてむさ苦しいおっさんと見つめ合わないといけないんだ
見つめ合うならナツ一択だ
目の前のゴリゴリマッチョの壮年のおっさんと俺は概ね1時間ほどこの状態である
特に拘束などはされていない
椅子の上にちょこんと座った俺と、壁にもたれ掛かるマッチョ
今夏じゃなくて良かった
なんかちょっとトイレ行きたくなってきた
俺、今オムツだけど
正直オムツは恥ずかしいけど足のリーチの関係上致し方ない
無論自分で脱ぎ履きしている
足のリーチと共に早く脱オムツしたい
まぁ脱おねしょは大変だけども
「…」
「…」
どうしたらいいんだ
「…あの」
「…なんだ」
ファーストコンタクトは大切だ
こっちには敵意がないことを示しつつ、俺を連れ去った原因をつきとめ速やかに解放していただく
このビジュアルにおける、俺の最適解は
「抱っこを所望する」
間違えた
もう嫌
なんで俺はいつも思ったようにお口が動かないのか
ごめんごめんおっさん近寄って来ないで
俺が全部悪いから
南無阿弥陀仏
神さま仏さま、後、後誰でもいいから徳が高そうな偉い人!
助けて!!
ああ、じ、地面から持ち上げ―
「…へ?」
抱っこである
おしりの辺りをポンポンされる
そう、まるで母親が赤子をあやす様に
待て待て待て
「…」
「…」
絵面がシュール
「…ありがとう、ごじゃいます…?」
動揺しすぎて噛んだ
「…」
なんか言えよ
恥ずかしいだろ
「…ビビは…」
俺は思わずビクッとした
ビビのことを知ってるってことは中々危険な状況なのでは?
「…知らない」
「…ああ、その、お前の母さんの事だ」
親子関係バレてんのかよ
「…」
「…」
逃げた方がいいのか
いいよな
俺は降りようとジタバタする
おっさんは慌てて俺をがっしり捕まえる
「ごめんな」
俺は食べても美味しくありません
王位も何もいらんから離してくれ!!
切実に王位は要らないんだ
革命の旗頭とかなんかは別を当ってくれ!
俺はただのベイビーで、無力なんだ
何の役にも立たないんだぜ?
「…思い出させちまって」
ピタリと俺は動きを止める
「…」
「…」
もしかして俺の思ってた誘拐とは違うのか?
いや、これも俺を欺くためかもしれない
「…坊主、名前は?」
「…」
名前、知られていない可能性もあるか
生まれてまもなく城から消えたのだし
偽名にするか…
いや、でもビビと親子とバレているのだし隠しても無駄か
「…レオ
レオナルド」
「レオ、か」
「うん」
「…」
いや、名乗れよ
人に名前を聞くなら自分から名乗れって言いたいのを我慢して教えてやったんだぞ
決して巨体に怯んで言わなかった訳では無い
「…あの…」
「…なんだ」
「…おっさんは?」
しまった
おっさんって言ってしまった
まだビジュアルは可愛いらしいベイビーで無邪気に乗り切ろうと思ったのに
「…やっぱりビビの息子だな」
俺が暴れるのをやめたのでおっさんは再び危なげなく俺を抱っこしていたが、頭を撫でられる
「俺はリック
ビビの兄だ」
え、お兄さんいたの?
言えよビビ
「お前たちを迎えに来たんだが」
リックは悲しそうに目を伏せる
だが俺は一つ言いたい
だったら誘拐まがいの連れ去り方はやめろ
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