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「お!
1人前に鼻の下伸ばしてるじゃないの
血は争えないってね」
「…ビビ」
母親のお出ましだ
「奥様
用事は終わられたのですか?」
「んー
本命はまだね」
じゃあ何してたんだよ今まで
「そうですか
こちらはユーリ
私と同じ地区で育っており、幼い頃から知っておりますが信用に足りますのでご安心を」
「そう
で、レオ一目惚れしちゃったの?」
「ち、違う!!」
一目惚れじゃない
前の世界の時からずっと好きだ
10年越しの想いだ
舐めないでほしい
いや、最初に見た時から可愛かったけども
「ええ!
私振られたの?
悲しい!」
ケラケラと笑うナツ
むしろ先に俺が振られ―
「ああああああああぁぁぁ!!!」
突然叫んだ俺を3人の視線が突き刺す
しかしそれどころでは無い
ナツにちょっと…とか言われてなかった?!
いや厳密に言えばユーリだけど!
顔が一緒なだけじゃなくて絶対ナツだと思うんだけど、ここではユーリで…
いや、そんなことどうでもいいんだ
そんなに俺ダメなんだろうか
ちょっと…の先なんてナシに決まってるだろ!
え
もしかして俺と無理に付き合ってくれてたんだろうか
それとも、あちらの世界でもナシからアリになったのか?
これぞ愛の力か?
「ど、どうしたのレオ
頭ぶつけた?
それとも成長速度に着いて来れなくて発狂したの?」
ビビが俺を覗き込む
「お、俺…ちょっとって…」
視界が霞んできた
目が熱い
男たるもの、惚れた女の前でだけでは目から汗を出す訳には行かない
顔に力を込める
「やめなさい、レオ
顔のパーツが中央に集まってとてもブサイクよ
そういう跡がついてブサイクになったらどうするの」
とても母親とは思えない言い様だが、それすらもどうでもいい
彼女に好かれないなら顔の造形など取るに足らない問題だ
「あ、さっきのこと?」
ナツが大きな目を見開いたかと思うと笑い転げる
「さっきって何なの?」
エルザがナツに窘めながら問いただす
「あのね、さっきナンパの人みたいなこと言われたから
ちょっと…って答えたの
そのこと?」
ナツは堪えきれないようにクスクスと笑う
「あんたもうナンパしたの?
やっぱり血は争えないわね」
変態と称される男と一緒にするな
会ったことも無いけどどうせロクな男ではない
「ナンパじゃねぇ…」
「ごめんって
からかっただけよ」
「レオ様をからかうなんて…」
エルザがため息をつく
「だって面白かったんだもん
ごめんね、王子様」
「王子様って、言うな」
呼び方は気に食わないけど彼女が笑っているのならそれでいいかとも思う
向こうの世界のナツはあんまり笑わなかったから
「そりゃ、さすがに今そういう風になったら犯罪として私が捕まっちゃうじゃない?
まぁ私も未成年なんだけどさ」
「…」
「大きくなったらめちゃくちゃタイプかもしれないんだから泣かないでよ」
「泣いてない」
年の差は14歳だもんな、この世界では
「あんた大人びてて気持ち悪いと思ったこともあったけど、ちゃんと男の子なのねぇ」
おい、ビビ
気持ち悪いとは何だ
頭をグリグリと撫でてくる母親を睨んでから、もう一度彼女を見る
一遍の曇りもない、明るい表情をしている
本来の彼女はこういう風なのだろうか
兄を亡くしたり、色々な出来事が彼女の顔を曇らせているのだろう
出来ることなら、ナツに幸せそうに笑っていて欲しい
早く魔王を倒して彼女の元に戻るんだ
俺は決意を新たにしつつビビとエルザと共に帰路に着いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…奥様、やはりまだ見つかりませんか」
「ええ…」
二人の会話を聞き逃すくらいにナツのことばかり考えていたので、帰った後ビビとエルザがこっそり話していることにも気づかずに自室で本を読みふけっていた
1人前に鼻の下伸ばしてるじゃないの
血は争えないってね」
「…ビビ」
母親のお出ましだ
「奥様
用事は終わられたのですか?」
「んー
本命はまだね」
じゃあ何してたんだよ今まで
「そうですか
こちらはユーリ
私と同じ地区で育っており、幼い頃から知っておりますが信用に足りますのでご安心を」
「そう
で、レオ一目惚れしちゃったの?」
「ち、違う!!」
一目惚れじゃない
前の世界の時からずっと好きだ
10年越しの想いだ
舐めないでほしい
いや、最初に見た時から可愛かったけども
「ええ!
私振られたの?
悲しい!」
ケラケラと笑うナツ
むしろ先に俺が振られ―
「ああああああああぁぁぁ!!!」
突然叫んだ俺を3人の視線が突き刺す
しかしそれどころでは無い
ナツにちょっと…とか言われてなかった?!
いや厳密に言えばユーリだけど!
顔が一緒なだけじゃなくて絶対ナツだと思うんだけど、ここではユーリで…
いや、そんなことどうでもいいんだ
そんなに俺ダメなんだろうか
ちょっと…の先なんてナシに決まってるだろ!
え
もしかして俺と無理に付き合ってくれてたんだろうか
それとも、あちらの世界でもナシからアリになったのか?
これぞ愛の力か?
「ど、どうしたのレオ
頭ぶつけた?
それとも成長速度に着いて来れなくて発狂したの?」
ビビが俺を覗き込む
「お、俺…ちょっとって…」
視界が霞んできた
目が熱い
男たるもの、惚れた女の前でだけでは目から汗を出す訳には行かない
顔に力を込める
「やめなさい、レオ
顔のパーツが中央に集まってとてもブサイクよ
そういう跡がついてブサイクになったらどうするの」
とても母親とは思えない言い様だが、それすらもどうでもいい
彼女に好かれないなら顔の造形など取るに足らない問題だ
「あ、さっきのこと?」
ナツが大きな目を見開いたかと思うと笑い転げる
「さっきって何なの?」
エルザがナツに窘めながら問いただす
「あのね、さっきナンパの人みたいなこと言われたから
ちょっと…って答えたの
そのこと?」
ナツは堪えきれないようにクスクスと笑う
「あんたもうナンパしたの?
やっぱり血は争えないわね」
変態と称される男と一緒にするな
会ったことも無いけどどうせロクな男ではない
「ナンパじゃねぇ…」
「ごめんって
からかっただけよ」
「レオ様をからかうなんて…」
エルザがため息をつく
「だって面白かったんだもん
ごめんね、王子様」
「王子様って、言うな」
呼び方は気に食わないけど彼女が笑っているのならそれでいいかとも思う
向こうの世界のナツはあんまり笑わなかったから
「そりゃ、さすがに今そういう風になったら犯罪として私が捕まっちゃうじゃない?
まぁ私も未成年なんだけどさ」
「…」
「大きくなったらめちゃくちゃタイプかもしれないんだから泣かないでよ」
「泣いてない」
年の差は14歳だもんな、この世界では
「あんた大人びてて気持ち悪いと思ったこともあったけど、ちゃんと男の子なのねぇ」
おい、ビビ
気持ち悪いとは何だ
頭をグリグリと撫でてくる母親を睨んでから、もう一度彼女を見る
一遍の曇りもない、明るい表情をしている
本来の彼女はこういう風なのだろうか
兄を亡くしたり、色々な出来事が彼女の顔を曇らせているのだろう
出来ることなら、ナツに幸せそうに笑っていて欲しい
早く魔王を倒して彼女の元に戻るんだ
俺は決意を新たにしつつビビとエルザと共に帰路に着いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…奥様、やはりまだ見つかりませんか」
「ええ…」
二人の会話を聞き逃すくらいにナツのことばかり考えていたので、帰った後ビビとエルザがこっそり話していることにも気づかずに自室で本を読みふけっていた
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