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最後の数分を新幹線で駆け抜けた俺たちは、きっとあれが出来ると思う
残像だ
っていうあれ
この世界にこのギャグがあるのかどうか知らないが
あの速度で数分だから東京から品川くらいの距離があったんだろうか
いや、さすがにもう少し短いか
「ジルが下水道の道まで把握していて助かったわ」
「脱出の際たまに使っていたので
でもあのタイミングでは咄嗟に出てきませんでしたのでレオ様のお手柄ですね」
何だこの完璧な男は
サラッと目上(恐らく)に花を持たせるとは
こういうやつだな、社会で世渡り上手いやつ
「さて、僕たちの仕事はここまでです」
「ええ、ありがとう
報酬を渡すからもう少し着いてきてくれる?」
「…分かりました」
エルザと俺とジャイルズは大きな建物の裏から地上に出ると、そのまま大きな建物の中に入った
かなり古い建物のようで、あまり手入れもされているとは言い難い
「ご苦労さま」
3階の奥の部屋までたどり着くと、茶髪に茶色い瞳のとんでもない美人が座っていた
茶髪と言ってもほぼ金に近いくらいに透き通った色だ
「ただ今戻りました」
「レオ…よく無事で…」
その美人が近づいてきて俺を抱き上げた
ナツ、これは浮気じゃないぞ
不可抗力というやつだ
ひとしきり抱きしめられたあと、美人は顔を顰めた
「それにしてもあなた達酷い匂いね」
「申し訳ありません
下水道を通ってきたものですから」
エルザが頭を下げる
「まぁ!
下水道ですって?
すぐに湯を浴びてきなさい
あなたもよ」
「いえ、僕は
報酬を頂きましたら失礼します
ご不快にさせてしまい申し訳ありませんでした」
「せめて服は変えなさい
レオの恩人だもの
それくらいはさせて欲しいわ」
「折角ですが…」
いつになくジャイルズが固辞する
珍しくないか?
いや、会って数時間の仲だけど、この男なら断るにしてももっと柔らかく言いそうなものだ
「そう
引き止めて悪かったわね
これが報酬よ」
多分下水道の臭気を放っているだろう俺をそれでも離さず、部屋の隅の引き出しまで行くと小さな袋を取りだした
そしてジャイルズに渡す
チャリッと音がしたから中身は金貨とかそういうやつだろう
ジャイルズは中を確認すると
「確かに」
と言うと1度も振り向かずに部屋を出ていった
「何か気に触ることをしてしまったかしら」
「いえ、普通だったと思いますが」
エルザも首を傾げる
「とにかくレオを無事にここまで連れてきてくれてありがとう」
「いえ
私の身には余る幸せな時間を頂きました
私が赤ちゃんを抱っこさせて貰える日が来るなど…
あまつさえお世話までさせて頂けるなど…」
「エルザ…」
エルザにもなにかあるんだろうな
そして、茶髪美人はこの流れだと俺の母だな、今度こそ
「まーま!」
と呼んでみる
「おかえりなさい、レオ」
うるうるした瞳で見られる
やはり当たったか
今度こそ母親のようだ
私のことが分かるのねみたいに感激されたけど、ごめん
当てずっぽうだ
1度エルザを母親と間違えてるからね、俺は既に
「では、私は汚れと匂いを落として参ります」
エルザが一礼して部屋を出ていった
その後、俺も母親に連れられて頭の先からつま先までしっかり洗われた
そして、その後の食事は引き続き哺乳瓶だった
解せぬ
いや、別に哺乳瓶でも問題は無いんだけどさ
何か真の母親が降臨したら違うかもなって思うじゃんか
まぁこの世界に来てから1度も俺の思いどおりになったことなんてないけどね
俺は暖かい毛布に包まれて眠りについた
残像だ
っていうあれ
この世界にこのギャグがあるのかどうか知らないが
あの速度で数分だから東京から品川くらいの距離があったんだろうか
いや、さすがにもう少し短いか
「ジルが下水道の道まで把握していて助かったわ」
「脱出の際たまに使っていたので
でもあのタイミングでは咄嗟に出てきませんでしたのでレオ様のお手柄ですね」
何だこの完璧な男は
サラッと目上(恐らく)に花を持たせるとは
こういうやつだな、社会で世渡り上手いやつ
「さて、僕たちの仕事はここまでです」
「ええ、ありがとう
報酬を渡すからもう少し着いてきてくれる?」
「…分かりました」
エルザと俺とジャイルズは大きな建物の裏から地上に出ると、そのまま大きな建物の中に入った
かなり古い建物のようで、あまり手入れもされているとは言い難い
「ご苦労さま」
3階の奥の部屋までたどり着くと、茶髪に茶色い瞳のとんでもない美人が座っていた
茶髪と言ってもほぼ金に近いくらいに透き通った色だ
「ただ今戻りました」
「レオ…よく無事で…」
その美人が近づいてきて俺を抱き上げた
ナツ、これは浮気じゃないぞ
不可抗力というやつだ
ひとしきり抱きしめられたあと、美人は顔を顰めた
「それにしてもあなた達酷い匂いね」
「申し訳ありません
下水道を通ってきたものですから」
エルザが頭を下げる
「まぁ!
下水道ですって?
すぐに湯を浴びてきなさい
あなたもよ」
「いえ、僕は
報酬を頂きましたら失礼します
ご不快にさせてしまい申し訳ありませんでした」
「せめて服は変えなさい
レオの恩人だもの
それくらいはさせて欲しいわ」
「折角ですが…」
いつになくジャイルズが固辞する
珍しくないか?
いや、会って数時間の仲だけど、この男なら断るにしてももっと柔らかく言いそうなものだ
「そう
引き止めて悪かったわね
これが報酬よ」
多分下水道の臭気を放っているだろう俺をそれでも離さず、部屋の隅の引き出しまで行くと小さな袋を取りだした
そしてジャイルズに渡す
チャリッと音がしたから中身は金貨とかそういうやつだろう
ジャイルズは中を確認すると
「確かに」
と言うと1度も振り向かずに部屋を出ていった
「何か気に触ることをしてしまったかしら」
「いえ、普通だったと思いますが」
エルザも首を傾げる
「とにかくレオを無事にここまで連れてきてくれてありがとう」
「いえ
私の身には余る幸せな時間を頂きました
私が赤ちゃんを抱っこさせて貰える日が来るなど…
あまつさえお世話までさせて頂けるなど…」
「エルザ…」
エルザにもなにかあるんだろうな
そして、茶髪美人はこの流れだと俺の母だな、今度こそ
「まーま!」
と呼んでみる
「おかえりなさい、レオ」
うるうるした瞳で見られる
やはり当たったか
今度こそ母親のようだ
私のことが分かるのねみたいに感激されたけど、ごめん
当てずっぽうだ
1度エルザを母親と間違えてるからね、俺は既に
「では、私は汚れと匂いを落として参ります」
エルザが一礼して部屋を出ていった
その後、俺も母親に連れられて頭の先からつま先までしっかり洗われた
そして、その後の食事は引き続き哺乳瓶だった
解せぬ
いや、別に哺乳瓶でも問題は無いんだけどさ
何か真の母親が降臨したら違うかもなって思うじゃんか
まぁこの世界に来てから1度も俺の思いどおりになったことなんてないけどね
俺は暖かい毛布に包まれて眠りについた
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