これは腐れ縁だと主張したい

E.L.L

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「ねぇ、起きて」

不機嫌そうな声にハッとする
見慣れない天井

「…」

汗びっしょりでシャツも前髪も張り付いていて気持ち悪い

「うなされていたよ」

「…ああ」

「シャワー浴びてきたら?」

「うん
…あのさ」

女が振り返る

「死ぬなよ」

「え、何それ
私が死ぬ夢でも見たの?」

「いや…」

「気持ち悪」

まだ出会って1日しか経っていないが、この女の口の悪さはだんだん理解してきた
俺は張り付いた前髪を払うと雑念も払うべくシャワーを浴びた
それでも思考はぐるぐる回る
今回はいつもより先まで進んだ
仮面の人物を探して探して探した
争いが終わっても
でも俺は死ぬまで探してもそいつに会えなかった

「そう言えばさ
私にメリットが無いんだよね」

「は?」

コーヒーを飲んでいたら唐突に言い出す

「いやね
君と私は目標は同じだけど、持ってる情報量も総合的なポテンシャルも私の方が高いと思うの」

俺だって弱くねぇし馬鹿じゃねぇよ
でも確かにそうだ

「…何が欲しいんだよ」

「うーん…
じゃあ交換条件にしよう」

何を言い渡されるか分からないが、とりあえず俺に断る選択肢はないということだ

「…何だよ」

「私を守らないで」

「は?」

「今までの結果として、それが一番上手く行ったんだ」

誰にも守られないことが上手くいった時だったのだろうか 
何と言うか今まで見たどんな恋愛ドラマでも見たことの無いタイプの女である
ラブコメだったとしてもいない
そもそもキュンとかそういうのをさせるために作るのだからこんな可愛くない女出てこないか
ただ、こんなに華奢な体でいくつの修羅場をくぐり抜けてきたのかは分からないが、何だか少し切ない気がした

「でも―」

「絶対そうして
そうじゃなかったら通報して君を強制的に外す」

「でもそしたら君も捕まるぞ」

「私を誰だと思ってるの?
今まで私を捕まえられた人なんている?」

痛いところを突きやがる

「とにかくそれが条件
危険が迫ろうと、どれだけ私が困ろうと、私を助けようとしないで」
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