728 / 846
第十六章
高周波スピア
しおりを挟む
「でやあああ!」
抜刀した橋本晶が、緑のスパイダーに切りかかっていった。
だが、九九式の加速機能を使っているにも関わらず、スパイダーの動きについていけない。
スパイダーは素早く後退して橋本晶の刃を避けると同時に、ネットを撃ち出す。
「なんの! これしき!」
橋本晶は愛刀を左右に素早くふるい、空中で広がって多い被さってくるネットを切り裂く。
一方、カルルは……
「イリーナ。俺は海斗の相手をする。森田芽依は君が相手してくれ」
「エステス様。やはり、女は攻撃したくないのですか?」
「そうじゃなくて……女をネットで拘束したりしたら、また海斗に変態呼ばわりされそうなので……」
ううむ……その作戦は読まれていたか……
そんな二人に、芽依ちゃんがショットガンを向ける。
「死になさい! 消えなさい! くたばりなさい!」
戦乙女にチェンジする呪文を叫びながら、芽依ちゃんはショットガンを乱射。
しかし、素早く動き回るスパイダーに全く当たらない。
弾を撃ち切ってマガジンを交換している隙に、青いスパイダーがネットを発射。
「きゃ!」
芽依ちゃんの九九式が緑色のネットで覆われる。
「ほほほ! 良いざまね、メイ・モリタ。もう動く事もできないでしょう。九九式の怪力でも、パラアラミド繊維のネットは引き千切れないわよ」
「く……その口ぶり。私に何か恨みでも?」
「はあ? まさか忘れたんじゃないでしょうね?」
「ええっと……どちら様でしたっけ?」
「私はイリーナ……イリーナ・ミハルコフ」
イリーナ……なんか聞いたような……
「イリーナさん? ああ! 先日、私が人じ……いやいや、保護した人でしたね」
「保護じゃなくて、人質でしょうが!」
「そうとも言いますね。あはは……」
「笑って誤魔化すな! とにかく、あの時の屈辱のお礼、たっぷりとさせてもらうわ」
「いえいえ、礼にはおよびません」
「遠慮する事ないわ」
「そうは言っても、スパイダー搭載の機銃では九九式の装甲を貫通できませんよ」
「そうね。でも、スパイダーのマニュピレーターは、いろんなオプションを使えるのよ」
イリーナの機体は、蟹ハサミのようなマニュピレーターで一本の槍を掴んだ。
槍からヴィイイイン! という機械音が鳴り響く。
「これは貴女に復讐するために、特別に用意した武器よ」
「それは!」
「高周波スピア。刃先が超高速で振動してどんな硬い物でも貫ける武器。九九式の装甲だって、これの前には紙のような物よ。まあ、音が五月蠅いのが難点だけど」
「……」
「安心して。一撃で殺したりはしないわ。急所は外して、何度もチクチクと刺してやるわよ」
怖えええ! エラ並のサディスト!
と、この様子を僕はボーっと見ていたわけではない。
カルルの放つネットを避けながら、ショットガンやワイヤーガンで攻撃を続けていたのだ。
しかし、スパイダーの動きは素早く、僕の攻撃はさっぱり当たらない。
橋本晶の方も、緑の機体との戦いで手一杯のようだ。
このままでは芽依ちゃんが危ない。
どうすれば……
抜刀した橋本晶が、緑のスパイダーに切りかかっていった。
だが、九九式の加速機能を使っているにも関わらず、スパイダーの動きについていけない。
スパイダーは素早く後退して橋本晶の刃を避けると同時に、ネットを撃ち出す。
「なんの! これしき!」
橋本晶は愛刀を左右に素早くふるい、空中で広がって多い被さってくるネットを切り裂く。
一方、カルルは……
「イリーナ。俺は海斗の相手をする。森田芽依は君が相手してくれ」
「エステス様。やはり、女は攻撃したくないのですか?」
「そうじゃなくて……女をネットで拘束したりしたら、また海斗に変態呼ばわりされそうなので……」
ううむ……その作戦は読まれていたか……
そんな二人に、芽依ちゃんがショットガンを向ける。
「死になさい! 消えなさい! くたばりなさい!」
戦乙女にチェンジする呪文を叫びながら、芽依ちゃんはショットガンを乱射。
しかし、素早く動き回るスパイダーに全く当たらない。
弾を撃ち切ってマガジンを交換している隙に、青いスパイダーがネットを発射。
「きゃ!」
芽依ちゃんの九九式が緑色のネットで覆われる。
「ほほほ! 良いざまね、メイ・モリタ。もう動く事もできないでしょう。九九式の怪力でも、パラアラミド繊維のネットは引き千切れないわよ」
「く……その口ぶり。私に何か恨みでも?」
「はあ? まさか忘れたんじゃないでしょうね?」
「ええっと……どちら様でしたっけ?」
「私はイリーナ……イリーナ・ミハルコフ」
イリーナ……なんか聞いたような……
「イリーナさん? ああ! 先日、私が人じ……いやいや、保護した人でしたね」
「保護じゃなくて、人質でしょうが!」
「そうとも言いますね。あはは……」
「笑って誤魔化すな! とにかく、あの時の屈辱のお礼、たっぷりとさせてもらうわ」
「いえいえ、礼にはおよびません」
「遠慮する事ないわ」
「そうは言っても、スパイダー搭載の機銃では九九式の装甲を貫通できませんよ」
「そうね。でも、スパイダーのマニュピレーターは、いろんなオプションを使えるのよ」
イリーナの機体は、蟹ハサミのようなマニュピレーターで一本の槍を掴んだ。
槍からヴィイイイン! という機械音が鳴り響く。
「これは貴女に復讐するために、特別に用意した武器よ」
「それは!」
「高周波スピア。刃先が超高速で振動してどんな硬い物でも貫ける武器。九九式の装甲だって、これの前には紙のような物よ。まあ、音が五月蠅いのが難点だけど」
「……」
「安心して。一撃で殺したりはしないわ。急所は外して、何度もチクチクと刺してやるわよ」
怖えええ! エラ並のサディスト!
と、この様子を僕はボーっと見ていたわけではない。
カルルの放つネットを避けながら、ショットガンやワイヤーガンで攻撃を続けていたのだ。
しかし、スパイダーの動きは素早く、僕の攻撃はさっぱり当たらない。
橋本晶の方も、緑の機体との戦いで手一杯のようだ。
このままでは芽依ちゃんが危ない。
どうすれば……
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
乾坤一擲
響 恭也
SF
織田信長には片腕と頼む弟がいた。喜六郎秀隆である。事故死したはずの弟が目覚めたとき、この世にありえぬ知識も同時によみがえっていたのである。
これは兄弟二人が手を取り合って戦国の世を綱渡りのように歩いてゆく物語である。
思い付きのため不定期連載です。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる