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第十六章
山頂基地の異変
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しかし、これは困ったことになったな。
キラは修行中で、恋愛禁止だったはず。今まで、ミールは見て見ぬふりをしていてくれたが……
「ミール」
ミールの分身体を一人捕まえてみると……
「カイトさん。なんでしょう? ミールは今、とても忙しくて周囲の事には何も気が付いていません。キラがミーチャを誘惑したなんて、聞こえてもいませんよ」
ミールはまだ、見て見ぬふりをしてくれるようだ。
しかし、姫の方はそうはいかないようだな。
「妾はミーチャの姉として、可愛い弟にかようなセクハラをする女を近づけるわけにはいかぬ」
「セクハラとは心外な。そもそも、ミーチャは私からそのような事をされても嫌がってはおりません」
「おまえがそう思っているだけで、ミーチャは嫌がっていたのではないのか?」
「そんな事はありません。それを言うなら、マルガリータ様だって、ミーチャの嫌がる事をしていたではないですか!」
「何を言っている? 妾がミーチャの嫌がることをしたじゃと? 妾は、天涯孤独だったミーチャを幸せにしてやったが、嫌がる事をした覚えはないぞ」
「ミーチャに、女物の服を着せていたそうですね」
「そうじゃ。それがなにか?」
「なぜ、そんな事をしたのです?」
「可愛いからじゃ」
「ミーチャは、それをすごく嫌がっていたのです」
「何を言っている? あんな可愛い姿になって、嫌なわけないじゃろう」
「ミーチャは男の子です! 嫌に決まっているでしょ!」
「妾の兄上は、喜んで女装するぞ」
とんでもない兄上だな。
「それは、マルガリータ様の兄上が変態だからです」
「なに!? 妾の兄上を変態呼ばわりするか! 許さん」
「何と言おうと、普通の男性は女装などしません」
「ふん! 普通の男性じゃと? 不細工な男の間違えじゃろう。妾の兄上は美男子じゃ。女装をすると、妾が嫉妬するほど美しくなる。だが、キラ。おぬしの兄は、とても我らの血筋とは思えぬほどのブサメンじゃな。あんな不細工が女装したら、犯罪以外の何ものでもないわ」
「それに関しては、同意いたします」
「ちょっと待て! おまえ自分の兄が侮辱されているのに……」
「私は兄が嫌いなのですよ。兄を侮辱したいのなら、好きなだけどうぞ」
「お……おまえの兄が、哀れに思えてきたぞ」
「兄の事はどうでもいいです。とにかく普通の男性は女装など嫌がります」
「だから、それは女装が似合わない不細工な男の話であって……」
「現にミーチャは、女装を嫌がっていました。だから、転属願いを出していたのです」
「なに!? 転属願い」
「まさか、その結果、エラ・アレンスキーの部下になるとは予想もしていなかったのでしょう。だが、ミーチャが転属願いを、再三にわたって出していたというのは事実です」
「そんな……妾は、良かれと思ってミーチャに可愛い服を着せていたというのに、嫌がられていたとは……」
ようやく、ミーチャが嫌がっていた事を納得したようだな。
まあ、悪気があってやったわけじゃないのは分かるが……
不意に姫は僕に視線を向けた。
「なあ、カイト・キタムラ。おまえだって女装は……」
「しません」
「しないのか? でも、やりたいとは……」
「思いません。つーか、絶対嫌です」
まだ、納得していなかったのか。自分の兄を基準にしないでほしいな。
「そうか。そうじゃったのか。普通の男は、女装などしないのか」
今度こそ、納得したか。
「で……では、キラ……」
どうしたのだろう?
「もう、女装はさせないと約束する。だから、妾にミーチャを返してくれ」
「それは……う!」
不意にキラの動きが硬直した。
そのままキラの分身体は光の粒子となって消滅。
周囲を見回すと、ミールの分身体もすべて消滅していた。
山頂基地で、何かがあったな。
キラは修行中で、恋愛禁止だったはず。今まで、ミールは見て見ぬふりをしていてくれたが……
「ミール」
ミールの分身体を一人捕まえてみると……
「カイトさん。なんでしょう? ミールは今、とても忙しくて周囲の事には何も気が付いていません。キラがミーチャを誘惑したなんて、聞こえてもいませんよ」
ミールはまだ、見て見ぬふりをしてくれるようだ。
しかし、姫の方はそうはいかないようだな。
「妾はミーチャの姉として、可愛い弟にかようなセクハラをする女を近づけるわけにはいかぬ」
「セクハラとは心外な。そもそも、ミーチャは私からそのような事をされても嫌がってはおりません」
「おまえがそう思っているだけで、ミーチャは嫌がっていたのではないのか?」
「そんな事はありません。それを言うなら、マルガリータ様だって、ミーチャの嫌がる事をしていたではないですか!」
「何を言っている? 妾がミーチャの嫌がることをしたじゃと? 妾は、天涯孤独だったミーチャを幸せにしてやったが、嫌がる事をした覚えはないぞ」
「ミーチャに、女物の服を着せていたそうですね」
「そうじゃ。それがなにか?」
「なぜ、そんな事をしたのです?」
「可愛いからじゃ」
「ミーチャは、それをすごく嫌がっていたのです」
「何を言っている? あんな可愛い姿になって、嫌なわけないじゃろう」
「ミーチャは男の子です! 嫌に決まっているでしょ!」
「妾の兄上は、喜んで女装するぞ」
とんでもない兄上だな。
「それは、マルガリータ様の兄上が変態だからです」
「なに!? 妾の兄上を変態呼ばわりするか! 許さん」
「何と言おうと、普通の男性は女装などしません」
「ふん! 普通の男性じゃと? 不細工な男の間違えじゃろう。妾の兄上は美男子じゃ。女装をすると、妾が嫉妬するほど美しくなる。だが、キラ。おぬしの兄は、とても我らの血筋とは思えぬほどのブサメンじゃな。あんな不細工が女装したら、犯罪以外の何ものでもないわ」
「それに関しては、同意いたします」
「ちょっと待て! おまえ自分の兄が侮辱されているのに……」
「私は兄が嫌いなのですよ。兄を侮辱したいのなら、好きなだけどうぞ」
「お……おまえの兄が、哀れに思えてきたぞ」
「兄の事はどうでもいいです。とにかく普通の男性は女装など嫌がります」
「だから、それは女装が似合わない不細工な男の話であって……」
「現にミーチャは、女装を嫌がっていました。だから、転属願いを出していたのです」
「なに!? 転属願い」
「まさか、その結果、エラ・アレンスキーの部下になるとは予想もしていなかったのでしょう。だが、ミーチャが転属願いを、再三にわたって出していたというのは事実です」
「そんな……妾は、良かれと思ってミーチャに可愛い服を着せていたというのに、嫌がられていたとは……」
ようやく、ミーチャが嫌がっていた事を納得したようだな。
まあ、悪気があってやったわけじゃないのは分かるが……
不意に姫は僕に視線を向けた。
「なあ、カイト・キタムラ。おまえだって女装は……」
「しません」
「しないのか? でも、やりたいとは……」
「思いません。つーか、絶対嫌です」
まだ、納得していなかったのか。自分の兄を基準にしないでほしいな。
「そうか。そうじゃったのか。普通の男は、女装などしないのか」
今度こそ、納得したか。
「で……では、キラ……」
どうしたのだろう?
「もう、女装はさせないと約束する。だから、妾にミーチャを返してくれ」
「それは……う!」
不意にキラの動きが硬直した。
そのままキラの分身体は光の粒子となって消滅。
周囲を見回すと、ミールの分身体もすべて消滅していた。
山頂基地で、何かがあったな。
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