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第五章
怪しい奴
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まずいな。
バイザーに、ドローンからのデータを表示させてみたところ、屋敷を出た赤外線源が五つ、ナーモ族のいるところへ向かっている。
この速度だと、僕より先に到着する。
最短コースを取れば先回りできるが、途中には八つの赤外線源が。
迂回していたら間に合わない。
強硬突破するか。
茂みをかき分け、最短コースに入った。
途中、ちょっとした崖を登り、小川を飛び越え問題の場所に到着した。
なんだ。
赤外線源は、馬だったのか。
杭に繋がれた馬が七頭いる……七頭? 一頭少ない!
「動くな! そこの怪しい奴!」
背後から、かん高い声で呼び止められた。
ちちい……人間も一人いたのか。
「怪しい奴? どこだ! どこにいるんだ」
周囲をキョロキョロ見回す。
「お前だ。お前」
その時、初めて声の主を見た。
女性兵士?
鎧は着けていたが、兜は被っていないので二十歳前後のブロンド髪の女だとわかった。
女は銃を僕に向けている。
「ちょっと待ってくれ。僕は決して怪しい奴ではない」
「ふざけるな! その姿のどこが怪しくないというのだ!」
ううむ……確かにロボットスーツ姿って怪しいよね。
しかし、困った。人殺しに抵抗はなくなってきたが、やはり相手が女だとやりにくい。
「悪いけど、先を急いでるんだ。また、今度にしてくれないかな」
「そうか。それでは仕方ないな」
女は、銃を下ろした。
「ありがとう、それじゃあ。また」
女に、手を振りながら通り過ぎようとした。
「んなわけあるかあ!」
やっぱし!
銃声が響く。
背中に衝撃。
『銃撃を受けました。第一層貫通されました。第二層で食い止めました』
磁性流体装甲の第一層を貫通された?
「その銃は?」
振り向くと女は、まだ銃を構えていた。
「外れたか? 運のいい奴め」
外れたと思ってるのか? 直撃だったぞ。
「おっと、一発撃ったから、もう弾がないと思うなよ。これはAK47と言って連射可能な銃だ」
「カラシニコフだと?」
よく見ると、湾曲した弾倉が着いてる自動小銃だ。
なんでこの女、こんな近代的に武器を持っているんだ?
「ほう。カラシニコフという愛称を知っているか。これは皇帝陛下より賜った特製の銃だ」
まだ、マテリアルカートリッジが残っている時に作った物が残っていたのだろうか?
まずいな。さっきは、第二層で食い止めたけど、こんな至近距離でカラシニコフの連射なんか食らったら磁性流体装甲だって、もつか分からないぞ。
「分かった。降参する」
僕は両手を上げた。
「潔いな。では、その変な鎧を脱げ」
待ってました。
「複雑な鎧なので脱ぐのに手間がかかる。まず、背嚢から外すが、大きな音がするけど驚いて撃たないでくれよ」
「いいから、早くしろ」
「バッテリーパージ」
外部電源が外れて、ゴトっと音を立てて地面に落ちる。
「大して大きな音ではないではないか。このぐらい驚くか」
残時間 三百秒。
「アクセレレーション」
「え?」
次の瞬間、僕は彼女のカラシニコフを奪い取っていた。
「い……いつの間に……?」
「今度は、驚いたかい?」
「おのれ!」
彼女は眼にも止まらぬ速さで拳銃を抜いた。
『銃撃を受けました。貫通なし、損傷なし』
ガッ。
拳銃を叩き落として、彼女を抱え上げた。
残時間 二百九十秒
「放せ! 私をどうする気だ?」
「水浴びでも、しててくれ」
さっき飛び越えた小川まで引き換えし、彼女を投げ込んだ。
溺れるような深さじゃないから大丈夫だろ。
残時間 二百八十秒
「覚えていろ! 私を殺さなかった事を、必ず後悔させてやる」
「すまん。僕は忘れっぽいんだ。それに、君のような美女を殺した方が、後悔すると思う」
バイザーに、ドローンからのデータを表示させてみたところ、屋敷を出た赤外線源が五つ、ナーモ族のいるところへ向かっている。
この速度だと、僕より先に到着する。
最短コースを取れば先回りできるが、途中には八つの赤外線源が。
迂回していたら間に合わない。
強硬突破するか。
茂みをかき分け、最短コースに入った。
途中、ちょっとした崖を登り、小川を飛び越え問題の場所に到着した。
なんだ。
赤外線源は、馬だったのか。
杭に繋がれた馬が七頭いる……七頭? 一頭少ない!
「動くな! そこの怪しい奴!」
背後から、かん高い声で呼び止められた。
ちちい……人間も一人いたのか。
「怪しい奴? どこだ! どこにいるんだ」
周囲をキョロキョロ見回す。
「お前だ。お前」
その時、初めて声の主を見た。
女性兵士?
鎧は着けていたが、兜は被っていないので二十歳前後のブロンド髪の女だとわかった。
女は銃を僕に向けている。
「ちょっと待ってくれ。僕は決して怪しい奴ではない」
「ふざけるな! その姿のどこが怪しくないというのだ!」
ううむ……確かにロボットスーツ姿って怪しいよね。
しかし、困った。人殺しに抵抗はなくなってきたが、やはり相手が女だとやりにくい。
「悪いけど、先を急いでるんだ。また、今度にしてくれないかな」
「そうか。それでは仕方ないな」
女は、銃を下ろした。
「ありがとう、それじゃあ。また」
女に、手を振りながら通り過ぎようとした。
「んなわけあるかあ!」
やっぱし!
銃声が響く。
背中に衝撃。
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磁性流体装甲の第一層を貫通された?
「その銃は?」
振り向くと女は、まだ銃を構えていた。
「外れたか? 運のいい奴め」
外れたと思ってるのか? 直撃だったぞ。
「おっと、一発撃ったから、もう弾がないと思うなよ。これはAK47と言って連射可能な銃だ」
「カラシニコフだと?」
よく見ると、湾曲した弾倉が着いてる自動小銃だ。
なんでこの女、こんな近代的に武器を持っているんだ?
「ほう。カラシニコフという愛称を知っているか。これは皇帝陛下より賜った特製の銃だ」
まだ、マテリアルカートリッジが残っている時に作った物が残っていたのだろうか?
まずいな。さっきは、第二層で食い止めたけど、こんな至近距離でカラシニコフの連射なんか食らったら磁性流体装甲だって、もつか分からないぞ。
「分かった。降参する」
僕は両手を上げた。
「潔いな。では、その変な鎧を脱げ」
待ってました。
「複雑な鎧なので脱ぐのに手間がかかる。まず、背嚢から外すが、大きな音がするけど驚いて撃たないでくれよ」
「いいから、早くしろ」
「バッテリーパージ」
外部電源が外れて、ゴトっと音を立てて地面に落ちる。
「大して大きな音ではないではないか。このぐらい驚くか」
残時間 三百秒。
「アクセレレーション」
「え?」
次の瞬間、僕は彼女のカラシニコフを奪い取っていた。
「い……いつの間に……?」
「今度は、驚いたかい?」
「おのれ!」
彼女は眼にも止まらぬ速さで拳銃を抜いた。
『銃撃を受けました。貫通なし、損傷なし』
ガッ。
拳銃を叩き落として、彼女を抱え上げた。
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「放せ! 私をどうする気だ?」
「水浴びでも、しててくれ」
さっき飛び越えた小川まで引き換えし、彼女を投げ込んだ。
溺れるような深さじゃないから大丈夫だろ。
残時間 二百八十秒
「覚えていろ! 私を殺さなかった事を、必ず後悔させてやる」
「すまん。僕は忘れっぽいんだ。それに、君のような美女を殺した方が、後悔すると思う」
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