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第十六章

ゼロ部隊発進!

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 ベイス島から十分に離れた海域で、《海龍》《水龍》は並んで浮上した。

 僕と芽依ちゃんが《海龍》に移乗して九九式を脱着し終えてから甲板に出ると、装甲が左右に開いて主砲がゆっくりとせり上がってきている。

 これから艦砲射撃をやろうと言うのではない。

 ここから主砲を撃って、ベイス島に届かないわけではないが、撃てばこっちの位置もばれる。

 今まで相手していた帝国軍と違い、地球の兵器を持っている帝国軍相手に位置がばれるのは|けた方がいい。

 フーファイターはあれから出てこなくなったが、ジェットドローンでも潜水艦にとっては驚異だ。

 では、主砲を出してどうするのかというと、この砲身の上にはドローン用の射出機カタパルトがついている。

 垂直離着陸できないタイプのドローンを運用するのに使うものだ。

 今回使うドローンはプロペラ機で、名称はゼロ。

 ゼロは、一度カタパルトから発進したら、滑走路の無いところには降りられない。

 その分、航続距離は長いが、今回は帰還を想定していない神風ミッションだ。

 カタパルトの横にいたPちゃんが、僕と芽依ちゃんに気が付いて振り返った。

「ご主人様。芽依様。ゼロの発進準備、整いました」
「お疲れさん」

 総勢十機のゼロが、蒼空そうくうへ消えて行くのを見送ってから、僕たちは発令所に戻っていった。

「潜行開始」

 フローティングアンテナを海面に残して、《海龍》《水龍》は深く潜行していく。

 発令所のモニターには、展開中の各ドローンが光点で表示されていた。

 先ほど発進した十機のゼロを示す光点の進行方向に、五つの光点が待機している。

 これは菊花を釣り下げた飛行船ドローン。

 ゼロ部隊が合流したら、菊花を発進させる予定。

 今のところ、ベイス島から迎撃機が上がってくる様子はないが、上がってきたら菊花が応戦して、その隙にゼロが地上を攻撃する作戦だ。

 作戦開始まで時間があるので、それまで各自休憩を取るように言ってから、僕は発令所を出た。

「カイトさん」

 ミールに呼び止められたのは、僕の部屋の扉を開いた時。

「どうした? ミール」
「ちょっと、お話したい事が」

 とりあえず、ミールを部屋の中に入れた。Pちゃんに見つかったら、また五月蠅うるさいだろうな。


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