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第十三章

ハイド島上陸

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 二十分後、僕と芽衣ちゃんのロボットスーツが《海龍》から飛び立った。

 同時に《海龍》と《水龍》からモーターボートが一隻ずつ離れる。《海龍》のボートはミールとキラ、アーニャが乗っていて、《水龍》のボートにはレイホーとナージャそしてエラが乗っていた。

 上陸したのは、ハイド島東岸。反対側の西岸には、フーファイターがいる。

 上陸すると僕たちはすぐに木々の間に隠れ、ボートの方はアーニャとレイホーが操縦してそれぞれの潜水艦に戻っていった。
 

 鬱蒼うっそうとした森の中を僕と芽衣ちゃんは進んでいた。
 
 フーファイターのいる方向には、常に対レーザーシールドを構えて。

 ロボットスーツは、すでにフーファイターの地上レーダーに捉えられているはずだ。

 だが、フーファイターを見張っているドローン三号機・七号機から送られてくる映像にはまだ変化は無かった。

 おそらく、森の中を何かが動いているのは分かったけど、それが何者か分からないので攻撃を躊躇ちゅうちょしているのだろう。

 僕たちが気を引いている間に、ミール、キラ、ナージャそしてエラがフーファイターを破壊する準備を進めているはずだ。

 僕と芽衣ちゃんの役割は、その準備が終わるまで森の中を歩き回って矢納課長の注意を引くこと…… 

「北村さん」

 不意に後を歩いていた芽衣ちゃんに呼び止められた。

「通信用ケーブルが引っかかってしまいました」

 敵に無線を傍受されないように、ミール達とは有線で連絡を取り合っていたのだが、やはり森の中では使いにくいな。

 芽衣ちゃんの指さす先で、ケーブルが木に絡まっていた。

「ほどくので、少し待ってもらっていいですか?」
「ああ。もちろんだ」

 僕はフーファイターと芽衣ちゃんの軸線上に入り対レーザーシールドを構えた。

「さあ。今の内に盾を手放してケーブルをほどいて」
「ありがとうございます」

 芽衣ちゃんは盾を地面に置いてケーブルをほどきにかかった。

「このケーブルが、ずっとほどけなければ良いのにな」
「え?」

 芽衣ちゃん……いったい何を……

「あ! いえ! 何でもありません。忘れて下さい」

 忘れてと言われても……忘れた方がいいのかな?

 通信機の呼び出し音が鳴ったのはその時。

 通信相手はミールだった。

『カイトさん。罠の準備は整いました』
「ご苦労さん」
『ナージャさんの狙撃準備もほぼ整いました』

 ナージャにはフッ化重水素レーザー銃持ってきてもらってきていた。フーファイターに対しては実体弾による狙撃より、レーザーによる狙撃の方が確実と判断したからだ。

『後は、射線上にある邪魔な木を一本切り倒せば撃てます。木の側ではキラの分身体が待機中です。あたしの合図でいつでも始められます』
「分かった。では、今から六十秒後に開始してくれ」
『はーい』

 通信を切った。直後にまた通信が入った。

 今度はPちゃん!?

『ご主人様。未確認飛行物体がハイド島に向かっています』

 もう来たか……
  
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