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第十二章
おとなしくしろ!
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以前《マカロフ》攻撃の時にもレーザー攪乱幕を使ったが、今回はあのときよりも遙かに金属箔が濃密になっている。
レイホーは『大盤振る舞い』と言っていたが、振る舞い過ぎだ! レーザーどころか視界まで遮られているぞ。おかげで敵の姿も見えない。
しかし、居場所は分かった。
なぜ分かるかというと、さっきからレーザーをでたらめな方向へ撃ちまくっていたから……
本来見えるはずのないレーザーだが、攪乱幕の金属箔や微粒子にレーザーが当たると白熱するために見えてしまうのだ。
「芽依ちゃん」
呼びかけたが返事がない。
まずいな。電波も遮られている。
左を見ると桜色のロボットスーツがうっすらと見えた。
ホバーを使って近づき、芽依ちゃんの腕を掴む。
こっちへ振り向いた芽依ちゃんに、有線通信用のケーブルを差し出した。
芽依ちゃんは受け取ると、首にあるコネクタに接続する。
「芽依ちゃん、聞こえるかい?」
『はい。聞こえます』
「攪乱幕が濃すぎた」
『ええ。これはちょっと想定外でした。それよりあの人』
芽依ちゃんはレーザーを撃ちまくっている奴を指さした。
『完全にパニックに陥っていますね』
「逆にチャンスだ。視界が遮られているから囮役はいらない。二人で背後から近づいて一気に押さえつけよう」
『了解です』
ホバー機能を使って奴の背後に回り込んだ。
小柄な奴だな。子供か? とにかく……
「おとなしくしろ!」
右腕を僕が、左腕を芽依ちゃんが押さえつけた。そのまま、手首を軽くひねり上げてレーザー銃を取り上げる。
「うわ! なに!? あんたたち!」
え? こいつ、女の子?
レーザーを撃っていたのは十代前半ぐらいの女の子だった。
うわ! 拳銃を抜いてきた。
よせ! フッ化重水素レーザー銃に弾が当たったら、大惨事だぞ!
「やめなさい!」
女の子が引き金を引く前に、芽依ちゃんが拳銃をたたき落とした。
女の子は痛そうに、叩かれた手を押さえる。
「痛てて……うわ!」
芽依ちゃんはさらに女の子の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「あなたねえ、フッ化水素レーザー銃に向かって銃撃するなんて、なに考えるかですか!? 馬鹿ですか!? 死ぬのですか!?」
ううん……普段怒らない人を怒らせると怖いと聞いていたが、芽依ちゃんも怒らせると怖いな……
「え? え? え? なに? あたい、何かまずいこと……した?」
女の子は状況が飲み込めないでおろおろしていた。
「分かってないのですか? 自分がなにをしようとしたか」
いかん!
「芽依ちゃん、落ち着いて、落ち着いて」
芽依ちゃんが振り上げた拳を、寸前で押さえつけた。
「は! 私ったら、つい……カッとなって、すみません」
冷静さを取り戻したが、女の子を押さえる手は放さない。
まあ、とりあえず、レーザーは止めた事だし……
「ミク。レーザーは止めた。出てきて大丈夫だ」
『うん。分かった』
程なくして、金色に輝く竜に乗ってミクが降りてくる。
「出よ! 式神」
アクロを召還したが……
「ミク。アクロは役所の中に入れるのか?」
「大丈夫だよ」
アクロはみるみる小さくなっていった。
小さいと言っても身長二メートルはあるけど……便利なものだな。
ミールの分身体も小さくなったから、ミクの式神もできるのではないかと思っていたが……
「じゃあ、お兄ちゃん。行ってくるね」
アクロを連れて、ミクは屋敷の中に入っていく。
レイホーは『大盤振る舞い』と言っていたが、振る舞い過ぎだ! レーザーどころか視界まで遮られているぞ。おかげで敵の姿も見えない。
しかし、居場所は分かった。
なぜ分かるかというと、さっきからレーザーをでたらめな方向へ撃ちまくっていたから……
本来見えるはずのないレーザーだが、攪乱幕の金属箔や微粒子にレーザーが当たると白熱するために見えてしまうのだ。
「芽依ちゃん」
呼びかけたが返事がない。
まずいな。電波も遮られている。
左を見ると桜色のロボットスーツがうっすらと見えた。
ホバーを使って近づき、芽依ちゃんの腕を掴む。
こっちへ振り向いた芽依ちゃんに、有線通信用のケーブルを差し出した。
芽依ちゃんは受け取ると、首にあるコネクタに接続する。
「芽依ちゃん、聞こえるかい?」
『はい。聞こえます』
「攪乱幕が濃すぎた」
『ええ。これはちょっと想定外でした。それよりあの人』
芽依ちゃんはレーザーを撃ちまくっている奴を指さした。
『完全にパニックに陥っていますね』
「逆にチャンスだ。視界が遮られているから囮役はいらない。二人で背後から近づいて一気に押さえつけよう」
『了解です』
ホバー機能を使って奴の背後に回り込んだ。
小柄な奴だな。子供か? とにかく……
「おとなしくしろ!」
右腕を僕が、左腕を芽依ちゃんが押さえつけた。そのまま、手首を軽くひねり上げてレーザー銃を取り上げる。
「うわ! なに!? あんたたち!」
え? こいつ、女の子?
レーザーを撃っていたのは十代前半ぐらいの女の子だった。
うわ! 拳銃を抜いてきた。
よせ! フッ化重水素レーザー銃に弾が当たったら、大惨事だぞ!
「やめなさい!」
女の子が引き金を引く前に、芽依ちゃんが拳銃をたたき落とした。
女の子は痛そうに、叩かれた手を押さえる。
「痛てて……うわ!」
芽依ちゃんはさらに女の子の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「あなたねえ、フッ化水素レーザー銃に向かって銃撃するなんて、なに考えるかですか!? 馬鹿ですか!? 死ぬのですか!?」
ううん……普段怒らない人を怒らせると怖いと聞いていたが、芽依ちゃんも怒らせると怖いな……
「え? え? え? なに? あたい、何かまずいこと……した?」
女の子は状況が飲み込めないでおろおろしていた。
「分かってないのですか? 自分がなにをしようとしたか」
いかん!
「芽依ちゃん、落ち着いて、落ち着いて」
芽依ちゃんが振り上げた拳を、寸前で押さえつけた。
「は! 私ったら、つい……カッとなって、すみません」
冷静さを取り戻したが、女の子を押さえる手は放さない。
まあ、とりあえず、レーザーは止めた事だし……
「ミク。レーザーは止めた。出てきて大丈夫だ」
『うん。分かった』
程なくして、金色に輝く竜に乗ってミクが降りてくる。
「出よ! 式神」
アクロを召還したが……
「ミク。アクロは役所の中に入れるのか?」
「大丈夫だよ」
アクロはみるみる小さくなっていった。
小さいと言っても身長二メートルはあるけど……便利なものだな。
ミールの分身体も小さくなったから、ミクの式神もできるのではないかと思っていたが……
「じゃあ、お兄ちゃん。行ってくるね」
アクロを連れて、ミクは屋敷の中に入っていく。
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