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第十二章
司令官さん、呼んでいますよ
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菓子に夢中になっているミクを伴って発令所に入ると、アーニャ・マレンコフが待っていた。
「カルカに援軍要請を出しましたけど、到着は明後日になるわ」
「それは、仕方ないですね。明日の攻撃は、僕達だけで防ぐしかないでしょう」
「ロータスの戦力は聞いてきたの?」
「町長の話では民兵三百、奴隷兵百。ただ、武器が足りないそうです。帝国式のフリントロック銃とカルカ式ライフルを合わせて六十あるかないか」
「それじゃあ、五千の盗賊団が押し寄せてきたら一溜まりもないわね」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん。そんなのアクロを呼び出せば……」
「いや、アクロでも五千はきついだろう。それにミクには、他にやってほしい事があるんだ」
「なあに?」
「向こうには、エラ・アレンスキーがいる」
「ええ!?」
「あいつと互角に戦えるのはミクだけだ。だから、ミクにはオボロを召還してもらって、空中からエラを探し出して叩いてほしい」
「分かったよ。お兄ちゃん。それは、あたしにしかできないことなんだね?」
「そうだよ。ミクにしかできない」
キラがミーチャと一緒に発令所に入ってきたのはその時。
「カイト殿。それで、奴はいたのか?」
キラの腰に、ミーチャがしがみついていた。すっかり、キラに懐いてしまったようだな。
「奴って、エラの事か?」
無言で頷いたキラに経緯を話した。
「竜車の中で鉢合わせ!?」
ややこしくなるから、ホテルの事は黙っていよう。
「ところで、キラ。エラが八人いる事を、君は帝国にいる時から知っていたのか?」
「いや、まったく知らなかった。今でも、信じられないぐらいだ」
そうだろうな。
「それで、カイト殿。さっき通信機でカミラ・マイスキーについて問い合わせられたが、彼女がどうかしたのか?」
「ああ、それは……」……ん? さっき、通信機でカミラの事を問い合わせたのは、新聞か何かで事件のあらましを知っていないかと思ってやったのだが……この様子……もしかして……
「キラ。カミラ・マイスキーと面識があるのか?」
「ある」
なに?
「私が軍の施設に入れられた頃、時々施設にやってきては私に何かの薬を飲ませていた。病気でもないのに何で薬を? と思っていたが、今にして思うと、魔法回復薬のテストだったのではないかな?」
治験を受けさせられていたのか。
「思えば、あの人も可哀相な人だ」
可哀相? なんで?
「美人であったがゆえに、最悪の男につきまとわれるはめになったのだから……」
兄弟子の事か……
「キラ。その最悪の男の事を、何か知っているのか?」
「知っているも何も、私の兄だ」
僕とミールは同時にこけた。
「ん? カイト殿。師匠。どうかしましたか?」
ああああ……世の中、広いようで狭い。
「キラ……お兄さんがいたの?」
キラはミールの質問に頷いた。
「いました」
「お兄さんがいるのに、帝国を捨てちゃって良かったの?」
ん? キラの奴、何か怒りに震えているみたいだが……
「兄がいるからこそ……私は帝国を捨てたかったのです」
なんか……複雑な事情があるみたいだな。
まあ、兄弟姉妹が必ずしも仲がよいものと限らない。
僕にも姉さんがいた。決して、姉さんを嫌っていた分けではないが、何と口やかましい姉さんを少々ウザいとは思っていた。
しかし、キラの様子を見るとその程度じゃないようだ。
事情を聞こうか? 今はそっとしておこうか? と迷っているときに、Pちゃんが馬艦長とレイホーと一緒に発令所に入ってくる。
それを見て、アーニャ・マレンコフが僕の肩を叩いた。
「それじゃあ、全員揃ったようですし、作戦会議を始めましょうか。司令官殿」
司令官さん、呼んでいますよ……あ! 僕の事か……
「カルカに援軍要請を出しましたけど、到着は明後日になるわ」
「それは、仕方ないですね。明日の攻撃は、僕達だけで防ぐしかないでしょう」
「ロータスの戦力は聞いてきたの?」
「町長の話では民兵三百、奴隷兵百。ただ、武器が足りないそうです。帝国式のフリントロック銃とカルカ式ライフルを合わせて六十あるかないか」
「それじゃあ、五千の盗賊団が押し寄せてきたら一溜まりもないわね」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん。そんなのアクロを呼び出せば……」
「いや、アクロでも五千はきついだろう。それにミクには、他にやってほしい事があるんだ」
「なあに?」
「向こうには、エラ・アレンスキーがいる」
「ええ!?」
「あいつと互角に戦えるのはミクだけだ。だから、ミクにはオボロを召還してもらって、空中からエラを探し出して叩いてほしい」
「分かったよ。お兄ちゃん。それは、あたしにしかできないことなんだね?」
「そうだよ。ミクにしかできない」
キラがミーチャと一緒に発令所に入ってきたのはその時。
「カイト殿。それで、奴はいたのか?」
キラの腰に、ミーチャがしがみついていた。すっかり、キラに懐いてしまったようだな。
「奴って、エラの事か?」
無言で頷いたキラに経緯を話した。
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ややこしくなるから、ホテルの事は黙っていよう。
「ところで、キラ。エラが八人いる事を、君は帝国にいる時から知っていたのか?」
「いや、まったく知らなかった。今でも、信じられないぐらいだ」
そうだろうな。
「それで、カイト殿。さっき通信機でカミラ・マイスキーについて問い合わせられたが、彼女がどうかしたのか?」
「ああ、それは……」……ん? さっき、通信機でカミラの事を問い合わせたのは、新聞か何かで事件のあらましを知っていないかと思ってやったのだが……この様子……もしかして……
「キラ。カミラ・マイスキーと面識があるのか?」
「ある」
なに?
「私が軍の施設に入れられた頃、時々施設にやってきては私に何かの薬を飲ませていた。病気でもないのに何で薬を? と思っていたが、今にして思うと、魔法回復薬のテストだったのではないかな?」
治験を受けさせられていたのか。
「思えば、あの人も可哀相な人だ」
可哀相? なんで?
「美人であったがゆえに、最悪の男につきまとわれるはめになったのだから……」
兄弟子の事か……
「キラ。その最悪の男の事を、何か知っているのか?」
「知っているも何も、私の兄だ」
僕とミールは同時にこけた。
「ん? カイト殿。師匠。どうかしましたか?」
ああああ……世の中、広いようで狭い。
「キラ……お兄さんがいたの?」
キラはミールの質問に頷いた。
「いました」
「お兄さんがいるのに、帝国を捨てちゃって良かったの?」
ん? キラの奴、何か怒りに震えているみたいだが……
「兄がいるからこそ……私は帝国を捨てたかったのです」
なんか……複雑な事情があるみたいだな。
まあ、兄弟姉妹が必ずしも仲がよいものと限らない。
僕にも姉さんがいた。決して、姉さんを嫌っていた分けではないが、何と口やかましい姉さんを少々ウザいとは思っていた。
しかし、キラの様子を見るとその程度じゃないようだ。
事情を聞こうか? 今はそっとしておこうか? と迷っているときに、Pちゃんが馬艦長とレイホーと一緒に発令所に入ってくる。
それを見て、アーニャ・マレンコフが僕の肩を叩いた。
「それじゃあ、全員揃ったようですし、作戦会議を始めましょうか。司令官殿」
司令官さん、呼んでいますよ……あ! 僕の事か……
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