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第十一章
戦闘用宇宙機2(天竜過去編)
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追い出されるように僕は医務室から出て、指示された部屋へ行った。
そこにいたのは……
「なんで、楊さんがここにいるのです?」
「私もこの計画のスタッフだからな」
「この計画って、何の計画です?」
「マトリョーシカ号からの戦闘用宇宙機が、こっちへ向っているのは知っているな?」
「ええ。船内ニュースで」
「その迎撃計画だ」
「計画? こういうのは、作戦とか言うのでは?」
「名称などどうでもいい。とにかく《天竜》に敵が迫っている。《天竜》は軍艦ではないし、私達は軍人ではないが、生き延びるためには戦わなければならない。そのために白龍君にも協力してほしい」
「僕は、何をすればいいのですか?」
「戦闘用宇宙機の遠隔操作オペレーター。アーニャの持ってきたデータから出力した機体なのだけどね、BMIが旧式なせいか適合できる人が少ない」
「でも、電脳空間の人たちに操作してもらえれば……」
「それができたら苦労しない。戦闘用宇宙機を操作できる距離は、二万キロが限界。ところが、接近中の宇宙機の中に有効射程五万キロのグレーザー砲を装備している機体があった」
「五万キロ!」
「だから、オペレーターを乗せた宇宙機母船を出力して《天竜》から十万キロ離れたところで迎撃することになった。ただ、その母船のコンピューターでは容量が足りなくて電脳空間の疑似人格は入らない。コンピューターを付け替えている時間もない。だから、生きている人間のオペレーターを乗せる事になった」
「あの、遠隔操作だから、オペレーターには危険はないと聞いたのですけど、それだと母船が狙われるのでは?」
「その可能性は大きい。怖いか?」
「そ……そんな事は……」
そんなの怖くないわけない。 でも……
「怖いのなら、オペレーターを断ってもいい」
断りたい……でも……
「《天竜》にいたら、安全なのですか?」
「ん? まあ、迎撃に行くよりは安全だ」
「でも、迎撃に行った人達が負けちゃったら……」
「そうなったら《天竜》には、攻撃を防ぐ手段がない」
防ぐ手段がない? そうだろうね。こっちの攻撃が届かない遙か遠方から攻撃してくるのだから……
「だから、この計画は絶対に失敗できない。しかし、白龍君は子供だ。断っても誰も非難はしない」
僕は未来ちゃんの写真を出して眺めた。
子供か。子供だから、断っても許される。でも……
「僕……行きます」
「いいのか? 怖くないのか?」
「そんなの……怖いに決まっているでしょ! でも、六年後《イサナ》が来て、未来ちゃんと会ったときに、僕がこの時に《天竜》の中でガタガタ震えていたなんて言ったら、嫌われちゃうじゃないですか!」
楊さんは暫くの間、口をポカーンと開けて僕を見つめていた。
「分かってますよ。僕はふられたと言いたいのでしょ。でも、嫌われたわけじゃない。僕は……」
「分かった、わかった。皆まで言わんでいい。とにかく、白龍君はオペレーターを引き受けてくれるというのだな」
「そうです。引き受けます」
後で分かったけど、この時の検査でBMIと適合できた人は僕を含めて三十人いたらしい。でも、そのうち十一人はオペレーターを拒否したそうだ。それも、拒否したのはみんな大人ばかり……
そこにいたのは……
「なんで、楊さんがここにいるのです?」
「私もこの計画のスタッフだからな」
「この計画って、何の計画です?」
「マトリョーシカ号からの戦闘用宇宙機が、こっちへ向っているのは知っているな?」
「ええ。船内ニュースで」
「その迎撃計画だ」
「計画? こういうのは、作戦とか言うのでは?」
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「五万キロ!」
「だから、オペレーターを乗せた宇宙機母船を出力して《天竜》から十万キロ離れたところで迎撃することになった。ただ、その母船のコンピューターでは容量が足りなくて電脳空間の疑似人格は入らない。コンピューターを付け替えている時間もない。だから、生きている人間のオペレーターを乗せる事になった」
「あの、遠隔操作だから、オペレーターには危険はないと聞いたのですけど、それだと母船が狙われるのでは?」
「その可能性は大きい。怖いか?」
「そ……そんな事は……」
そんなの怖くないわけない。 でも……
「怖いのなら、オペレーターを断ってもいい」
断りたい……でも……
「《天竜》にいたら、安全なのですか?」
「ん? まあ、迎撃に行くよりは安全だ」
「でも、迎撃に行った人達が負けちゃったら……」
「そうなったら《天竜》には、攻撃を防ぐ手段がない」
防ぐ手段がない? そうだろうね。こっちの攻撃が届かない遙か遠方から攻撃してくるのだから……
「だから、この計画は絶対に失敗できない。しかし、白龍君は子供だ。断っても誰も非難はしない」
僕は未来ちゃんの写真を出して眺めた。
子供か。子供だから、断っても許される。でも……
「僕……行きます」
「いいのか? 怖くないのか?」
「そんなの……怖いに決まっているでしょ! でも、六年後《イサナ》が来て、未来ちゃんと会ったときに、僕がこの時に《天竜》の中でガタガタ震えていたなんて言ったら、嫌われちゃうじゃないですか!」
楊さんは暫くの間、口をポカーンと開けて僕を見つめていた。
「分かってますよ。僕はふられたと言いたいのでしょ。でも、嫌われたわけじゃない。僕は……」
「分かった、わかった。皆まで言わんでいい。とにかく、白龍君はオペレーターを引き受けてくれるというのだな」
「そうです。引き受けます」
後で分かったけど、この時の検査でBMIと適合できた人は僕を含めて三十人いたらしい。でも、そのうち十一人はオペレーターを拒否したそうだ。それも、拒否したのはみんな大人ばかり……
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