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第十一章

戦闘用宇宙機(天竜過去編)

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 会議のすぐ後に、太陽系方向に向けて無人作業宇宙機が送り出された。
 通信を妨害している宇宙機を見つけ出して破壊するために……
 アーニャの持ってきたデータによれば、ジャミング用宇宙機は、ステルス性はあるが戦闘能力は皆無。機動性も低い。見つけてしまえば、無人作業宇宙機でも破壊は可能だった。

 まあ、見つけるのが難しいからステルスなんだけど……

 でも活動するには、どうしてもエネルギーが必要。わずかだが、赤外線を放出しているはず。それを根気よく探せば、いずれ宇宙機は発見できる。
 
 偵察隊が送り出されたのは、それから三日後。
 マトリョーシカ号がいる惑星までは、まだ十光時以上離れているので、到着まで数十日は待たなきゃならない。

 送り出すのに三日もかかったのは、アーニャの持ってきたデータからプリンターで作った物だからだ。使用法もよく分からないし、使って本当に安全かも分からない。チェックをするだけで、それだけの時間がかかったわけだ。

 そして、偵察隊から最初の報告が入ったのは十日後の事だった。
 ただし、到着の報告ではない。
 《天竜》の方へ向かう宇宙機の群れとすれ違ったというのだ。
 送られてきた映像にあった宇宙機は、アーニャのデータと照合した結果、戦闘用宇宙機と分かった。

 こういう事を、僕はずっと自室で船内ニュースを通して見聞きしていた。その間、僕はどこか他人事のような気でいた。他人事ではなくなったのは、偵察隊の報告が届いた二日後の事……

チャン 白竜パイロン 合格」

 僕がそう言われたのは、医務室での事。看護師が僕の頭に取り付けられた機械を外しながら医師に意見した。

「先生。まだ子供ですよ」
「そうだな」
「不合格ということに、してしまいましょうよ」
「それはできん」
「しかし……これって徴兵検査みたいなものですよ。こんな子供に戦えというのですか?」
「戦うと言っても、遠隔操作のオペレーターだ。本人に危険はない」

 いったい何の話だろう? 危険だとか、徴兵検査とか。

「あの……これは、いったいなんの検査ですか?」

 医師が振り向いた。

「ブレイン マシン インターフィスの適合試験だ」
「はあ?」

 ブレイン マシン インターフィス……通称BMIって言ったら、人間の考えた事を機械に伝えるというあれだよね。ゲームとかでいつも使っているし……

「今さらBMIなんかで何を?」
「このBMIは、ゲーム用のちゃちな機械ではない。軍事用だ」
「軍事用?」
「ゲーム用のBMIは、脳から機械に情報を送るだけだ。機械からの情報は、データスーツやゴーグルを通して人間に送っている。ところが、このBMIは、情報を直接人間の脳に送り込むものだ。人によっては精神障害を起こす危険がある。そういう人は事前に検査すれば分かる。これはそのための検査だ」
「はあ……という事は、僕は軍事用のBMIを使うのですか?」
「そういう事になる。詳しくは別室で聞いてくれ」

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