秘密兵器猫壱号

津嶋朋靖(つしまともやす)

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第三章

小公女の部屋に幸せを運ぶ者

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 あたし達は飛行甲板に連行された。
 そこではビデオカメラとかマイクとか撮影機材の設置作業が行われている。
 そして甲板の真ん中では人が蹲っていた。
「糸魚川君!!」
「やあ、美樹本さん」
 糸魚川君の顔は腫れ上がっていた。
 ひどい!! あたしを人質にとって、抵抗できないのを良い事に……彼はその気になれば、こんな奴ら皆殺しにだってできるのに……
「なんなの? 奴らここで何をする気なの?」
「僕とリアルを戦わせようとしてるんだ」
「ええ!? なんのために?」
「日本の工作員である僕の手でリアルを殺させ、その映像を世界中に流そうという魂胆さ」
「糸魚川君。リアルを殺さないで」
「やらないと君が殺される。残念だけど今の僕には、そこのオバさんの隙をついて君を助ける余力がない」
「そんな」
 悔しい……あたしさえ、奴らに捕まらなければ……
「だが、心配ない。もう少しさ。もう少しで小公女の部屋に幸せは来る」
 え? 小公女の部屋?
 どういう意味?
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