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第二章
エアロスクラフト
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「ん?」
ふと見上げると夕暮れの空に、銀色に輝く巨大な円盤のような物体が浮いていた。
「な……なにあれ!? UFO?」
「どうかしたの?」
糸魚川君があたしの指さす先に目を向けた。
「エアロスクラフトか。初めて見た」
「え? UFOじゃないの?」
「まさか。あれはエアロスクラフト……通称エアロスと言ってアメリカで開発された新型の飛行船だよ。普通の飛行船は係留塔や係留柱などの地上装置がないと離着陸できないけど、あれはヘリコプターのように単独で離着陸できるんだ」
「でも、なんでこんなところにいるんだろ?」
「さあ? 米軍が飛ばしてるのかな?」
糸魚川君は双眼鏡を飛行船に向ける。
「違った。民間の飛行船だ」
あたしも双眼鏡を借りて見た。本当だ。スポーツ用品メーカーのロゴが入っている。
「でも、凄い低空飛行だけど、大丈夫かな?」
「そうだね。あの高さは明らかに航空法違反」
「法律はわかんないけど。落ちたりしない?」
「まあ、エアロスの性能なら、それは問題ないよ。こういう街中に工作員を下ろしたりもできるから、内調でも導入の動きがあったけどね。事業仕分けで頓挫した」
「ええ!? 内調の装備まで仕分けされたの?」
「報道はされなかったけどね」
そりゃあそうだろう。
でも、内調の本部に仕分人がのりこんで『エアロスじゃなきゃダメなんですか? 気球じゃダメなんですか?』とか言ってる姿を見たかったような……
ふと見上げると夕暮れの空に、銀色に輝く巨大な円盤のような物体が浮いていた。
「な……なにあれ!? UFO?」
「どうかしたの?」
糸魚川君があたしの指さす先に目を向けた。
「エアロスクラフトか。初めて見た」
「え? UFOじゃないの?」
「まさか。あれはエアロスクラフト……通称エアロスと言ってアメリカで開発された新型の飛行船だよ。普通の飛行船は係留塔や係留柱などの地上装置がないと離着陸できないけど、あれはヘリコプターのように単独で離着陸できるんだ」
「でも、なんでこんなところにいるんだろ?」
「さあ? 米軍が飛ばしてるのかな?」
糸魚川君は双眼鏡を飛行船に向ける。
「違った。民間の飛行船だ」
あたしも双眼鏡を借りて見た。本当だ。スポーツ用品メーカーのロゴが入っている。
「でも、凄い低空飛行だけど、大丈夫かな?」
「そうだね。あの高さは明らかに航空法違反」
「法律はわかんないけど。落ちたりしない?」
「まあ、エアロスの性能なら、それは問題ないよ。こういう街中に工作員を下ろしたりもできるから、内調でも導入の動きがあったけどね。事業仕分けで頓挫した」
「ええ!? 内調の装備まで仕分けされたの?」
「報道はされなかったけどね」
そりゃあそうだろう。
でも、内調の本部に仕分人がのりこんで『エアロスじゃなきゃダメなんですか? 気球じゃダメなんですか?』とか言ってる姿を見たかったような……
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