秘密兵器猫壱号

津嶋朋靖(つしまともやす)

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第二章

「気づかれなかったかな?」

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「気づかれなかったかな?」
「わからない。念のためここから逃げる準備だけはしておいた方がいいな」
「ねえ。なんでハミルトンみたいな外人が、日本のスパイやってるの?」
「え? ああ、そのことか。あいつらは正規のエージェントじゃないんだ。ていうか、このミッションには、正規のエージェントは投入されていない」
「にゃ!? 俺も舐められたもんだぜ。猫一匹捕まえるのに、正規のエージェントなんかもったいなくて出せないってか」
「違うよ。正規のエージェントを使わない理由は、内調内部の人間が信用できないからさ」
「おい、それって俺を逃がしたのが、内調内部の人間だってばれてるからか?」
「ばれてないと思ってたのか?」
「それは……」
「内調内部の協力なしに、君達が逃げられるはずがない。だから、誰か手を貸した奴がいる事ぐらい容易に推測できる」
「確かに」
「だが、誰がやったかはわかってないから、安心していいよ。とにかく、そんなわけで正規のエージェントが信用できないので、僕みたいな見習いか、あるいは探偵とか、外部のエージェントに依頼していたんだ」
「ハミルトン達も?」
「あれが正規のエージェントだったら、僕みたいなペーペーが勝てるわけないよ。もっとも、あの中に村井がいたのでちょっとビビったけど」
「村井? 瑠璃華の父さんに化けてた奴か?」
「ああ。奴は内調の元エージェントさ。五年前に問題を起こしてクビになったらしい」
「知り合い?」
「写真で見ただけだよ」
「ねえ、糸魚川君は信用されていたの? いくら養成所の生徒と言っても、内調内部の人間みたいなものじゃないの?」
「まあ、そうだけど、今回のミッションは中学生と接触する必要があったからね。大人のエージェントを出すわけにはいかないので」
「接触する中学生って、あたしの事?」
「いいや。石動だよ」
「ええ!? なんであいつと」
「そもそものきっかけは、インターネットに『喋る猫を見た』という書き込みがあったから。石動という中学生が書き込んだのはすぐにわかった。どうせ、ガセだと思ったけど、念のために僕が送られてきたってわけさ」
「あいつ、そんな事書き込んでたんだ」
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