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第二章
これって不法侵入じゃ?
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「こっちだ」
糸魚川君に案内されて、ついたのは木造モルタル二階建てのありふれた住宅。
隠れ家って言うぐらいだから、てっきり忍者屋敷みたいなのを想像していたのに。
「この家はなんなの?」
糸魚川君は慣れた手つきで裏口に掛かっていた鍵を開けた。
「電気、ガス、水道は止められているけど、身を隠すぐらいの事はできるよ」
入口の横に置いてあったLEDランタンを灯してそれを持って中に入っていく。
あたしもリアルを抱いてその後から上がり込んでいった。
「いや、あたしが言いたいのは」
糸魚川君はリビングに入ると、床に置いてあったカセットガスストーブに点火した。
「これって不法侵入じゃないの?」
「心配ないよ」
「そうなの?」
「ここの住民が刑務所に服役中という事は調査済みさ。帰ってくる心配はないよ」
「そうなんだ。それなら……ちょっと待って!! やっぱり不法侵入じゃないの!?」
「まあ、そうだけど。しばらく身を隠さなきゃならないし」
「瑠璃華。別にこの家の物を盗む訳じゃないし、休むぐらいいいんじゃないか」
「そうかな……え?」
あたしは慌ててリアルの口をふさいだ。
「美樹本さん。僕はリアルが喋れる事を知ってるよ。今更そんな事はしなくていいって」
「そうだったわね」
あたしはリアルの口から手を離した。
「いつから俺が知性化猫って気づいていた?」
「図書室で美樹本さんから、君の名前を聞いた時。て、言うか本気で隠れる気があるなら、名前ぐらい変えたらどうだ?」
「それは……」
「首輪も上からカバーかけるぐらいして、カモフラージュしていると思っていた。まさか、そのままだったとはな。逆に罠じゃないかと思ったよ」
言われてみれば迂闊だったかも。
バイクのエンジン音が近づいてきた。
あたし達は緊張して押し黙る。
バイクは何事もなく通り過ぎていく。
「瑠璃華。俺を下ろしてくれ」
「え? 大丈夫なの?」
「ちょっと頭をぶつけただけだ。もう大丈夫だよ」
糸魚川君に案内されて、ついたのは木造モルタル二階建てのありふれた住宅。
隠れ家って言うぐらいだから、てっきり忍者屋敷みたいなのを想像していたのに。
「この家はなんなの?」
糸魚川君は慣れた手つきで裏口に掛かっていた鍵を開けた。
「電気、ガス、水道は止められているけど、身を隠すぐらいの事はできるよ」
入口の横に置いてあったLEDランタンを灯してそれを持って中に入っていく。
あたしもリアルを抱いてその後から上がり込んでいった。
「いや、あたしが言いたいのは」
糸魚川君はリビングに入ると、床に置いてあったカセットガスストーブに点火した。
「これって不法侵入じゃないの?」
「心配ないよ」
「そうなの?」
「ここの住民が刑務所に服役中という事は調査済みさ。帰ってくる心配はないよ」
「そうなんだ。それなら……ちょっと待って!! やっぱり不法侵入じゃないの!?」
「まあ、そうだけど。しばらく身を隠さなきゃならないし」
「瑠璃華。別にこの家の物を盗む訳じゃないし、休むぐらいいいんじゃないか」
「そうかな……え?」
あたしは慌ててリアルの口をふさいだ。
「美樹本さん。僕はリアルが喋れる事を知ってるよ。今更そんな事はしなくていいって」
「そうだったわね」
あたしはリアルの口から手を離した。
「いつから俺が知性化猫って気づいていた?」
「図書室で美樹本さんから、君の名前を聞いた時。て、言うか本気で隠れる気があるなら、名前ぐらい変えたらどうだ?」
「それは……」
「首輪も上からカバーかけるぐらいして、カモフラージュしていると思っていた。まさか、そのままだったとはな。逆に罠じゃないかと思ったよ」
言われてみれば迂闊だったかも。
バイクのエンジン音が近づいてきた。
あたし達は緊張して押し黙る。
バイクは何事もなく通り過ぎていく。
「瑠璃華。俺を下ろしてくれ」
「え? 大丈夫なの?」
「ちょっと頭をぶつけただけだ。もう大丈夫だよ」
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