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第二章

これはビンゴかもね

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 なんで多摩川に行くことになったかというと、あの映像に出てきた塀のような物は川の土手だったから。
 つまりサッカー場は河川敷にあるわけ。
 もしかすると、多摩川の河川敷かも。
 そう思って多摩川に行くことにしたの。
 もちろん、河川敷にあるサッカー場なんて日本中にいくらでもあるけど、その中の一つが自転車で行ける場所にあるなら外れだとしても似たような景色を見たら、リアルだって何か思い出すかも……ん?
「リアル。あんた多摩川を見たことあるの?」
「んにゃ? 見たことないよ」
「じゃあ、この川を見てなんで多摩川より小さいと思ったの?」
「あれれ? なんでだろう?」
「それ、人間の時の記憶じゃないのかな?」
「ううんにゃ。そうなのかな?」
「きっと、そうよ! リアルは人間の時に多摩川を見てるんだわ」
 これはビンゴかもね。
 リアルは人間の時に多摩川を見ていたなら、さっきのサッカー場は多摩川の可能性が高い。
 あたしは自転車をこぐ足にいっそう力を込めた。
 程なくして、あたし達は浅川と多摩川の合流点を過ぎる。
 テニスコートを横目に走っていくと、やがてサッカー場が見えてきた。
 あたしは土手の上に自転車を止めて、サッカー場の方へ降りる。
 どこかの高校の女子チームが練習しているので、邪魔にならない程度の距離に近づいた。
「ねえ、リアル。見覚えある?」
 リュックから顔を出しているリアルから良く見えるように、あたしはサッカー場に背中を向けた。
「ううん……あるような、ないような」
 無理もないか。サッカー場なんてどこも似たようなもんだし……
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