55 / 158
第二章
これはビンゴかもね
しおりを挟む
なんで多摩川に行くことになったかというと、あの映像に出てきた塀のような物は川の土手だったから。
つまりサッカー場は河川敷にあるわけ。
もしかすると、多摩川の河川敷かも。
そう思って多摩川に行くことにしたの。
もちろん、河川敷にあるサッカー場なんて日本中にいくらでもあるけど、その中の一つが自転車で行ける場所にあるなら外れだとしても似たような景色を見たら、リアルだって何か思い出すかも……ん?
「リアル。あんた多摩川を見たことあるの?」
「んにゃ? 見たことないよ」
「じゃあ、この川を見てなんで多摩川より小さいと思ったの?」
「あれれ? なんでだろう?」
「それ、人間の時の記憶じゃないのかな?」
「ううんにゃ。そうなのかな?」
「きっと、そうよ! リアルは人間の時に多摩川を見てるんだわ」
これはビンゴかもね。
リアルは人間の時に多摩川を見ていたなら、さっきのサッカー場は多摩川の可能性が高い。
あたしは自転車をこぐ足にいっそう力を込めた。
程なくして、あたし達は浅川と多摩川の合流点を過ぎる。
テニスコートを横目に走っていくと、やがてサッカー場が見えてきた。
あたしは土手の上に自転車を止めて、サッカー場の方へ降りる。
どこかの高校の女子チームが練習しているので、邪魔にならない程度の距離に近づいた。
「ねえ、リアル。見覚えある?」
リュックから顔を出しているリアルから良く見えるように、あたしはサッカー場に背中を向けた。
「ううん……あるような、ないような」
無理もないか。サッカー場なんてどこも似たようなもんだし……
つまりサッカー場は河川敷にあるわけ。
もしかすると、多摩川の河川敷かも。
そう思って多摩川に行くことにしたの。
もちろん、河川敷にあるサッカー場なんて日本中にいくらでもあるけど、その中の一つが自転車で行ける場所にあるなら外れだとしても似たような景色を見たら、リアルだって何か思い出すかも……ん?
「リアル。あんた多摩川を見たことあるの?」
「んにゃ? 見たことないよ」
「じゃあ、この川を見てなんで多摩川より小さいと思ったの?」
「あれれ? なんでだろう?」
「それ、人間の時の記憶じゃないのかな?」
「ううんにゃ。そうなのかな?」
「きっと、そうよ! リアルは人間の時に多摩川を見てるんだわ」
これはビンゴかもね。
リアルは人間の時に多摩川を見ていたなら、さっきのサッカー場は多摩川の可能性が高い。
あたしは自転車をこぐ足にいっそう力を込めた。
程なくして、あたし達は浅川と多摩川の合流点を過ぎる。
テニスコートを横目に走っていくと、やがてサッカー場が見えてきた。
あたしは土手の上に自転車を止めて、サッカー場の方へ降りる。
どこかの高校の女子チームが練習しているので、邪魔にならない程度の距離に近づいた。
「ねえ、リアル。見覚えある?」
リュックから顔を出しているリアルから良く見えるように、あたしはサッカー場に背中を向けた。
「ううん……あるような、ないような」
無理もないか。サッカー場なんてどこも似たようなもんだし……
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
デッドエンド・シンフォニー
はじめアキラ
キャラ文芸
「六丁目のお化け屋敷って、姉ちゃん知ってる?」
弟・逢知のその言葉が、全ての始まりだった。
友人達と近所の廃屋(?)に遊びに行ってしまったまま、帰ってこなかった逢知。姉の逢花は弟を探して一人、そのお化け屋敷に向かうことに。
まさかそれが、恐ろしいデスゲームの始まりだったなどと、一体誰が予想していたことだろうか。
パートナーと共に知恵を絞り、与えられた異能力と勇気で謎の空間から脱出せよ!
これは弟想いの少女の、絆と愛の物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる