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ナノ魔神

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「わはははははは! よくぞ、あたしの封印を解いてくれたなの!」
「な……なんだ! この幼女ガキは? いきなり壷の中から、出てきやがって」
「聞いて驚くなの。あたしはナノ魔神ましんなの」
「魔神? というと、アラジンの魔法のランプから出てきた……」
「あれは、あたしのお兄ちゃんなの」
「壷から出してくれた漁師を殺そうとした……」
「あれは。あたしのおじさんなの。あたしはナノ魔神なの」
「どうでもいいが……言葉使いおかしくないか? 『なの』というのは語尾につける単語で、『魔神』の前につけるのは……」
「違うなの。ナノ魔神は、ナノ魔神という名前の魔神なの」
「そ……そうなのか? 変わった魔神だな」
「変わってない魔神なんていないなの」
「それもそうか。しかし、魔神というには可愛らしい姿をしているな」
「そうなの。ナノ魔神は可愛い魔神なの。でも、おまえの何十倍も年上なの」
「つまり……ロリババア?」
「ロリババア言うななの! そんな事よりおまえ、早く願いを言うなの」
「願い?」
「そうなの。ナノ魔神の封印を解いてくれたお礼に、願いを叶えてあげるなの」
「そうか魔神って、願いを三つ叶えてくれるんだったな」
「違うなの。叶えられる願いは一つだけなの」
「一つだけ?」
「大魔神は大きいから、三つ願いを叶えられるけど、ナノ魔神は小さいから一つしか叶えられないなの」
「一つだけか。ううん……何にするか? そうだ! 残りの願いの……」
「願いの数を増やす願いはNGなの」
「だめか。せめて、三つにならないか?」
「ナノ魔神が、大魔神にバージョンアップしない限り無理なの」
「しょうがない。二~三日考えさせてくれ」
「早く願いを言わないと、おまえが困った事になるなの」
「なんで?」
「願いを言わない限り、あたしはおまえの後から付いて回るなの」
「別にいいよ。可愛いし」
「おまえロリコンなの?」
「ち……違う。別におまえにつきまとわれても、困らんと言っているだけで……」
「いいや、困ることになるなの。彼女いない歴=年齢のむさ苦しい独身男が、可愛い幼女を連れ回していたら、絶対に事案になっておまえは困ることになるなの」
「う……それは確かに困る」
「だから、早く願いを言うなの」
「せめて二つに増えないか?」
「しつこいなの。大魔神にならない限り増えないなの」
「くそ……いや、待てよ……ナノ魔神。願いが決まったぞ」
「早く言うなの」
「ナノ魔神よ。大魔神になれ」
「その願い、聞き届けたりなの。どーん!」
「うわわわわわ! 何しやがる!」
「わははははは。あたしはナノ魔神から大魔神にバージョンアップしたなの。よって、願いは、三つ叶えられるなの」
「何が、バージョンアップだ! 人の家を壊しやがって」
「家の中であたしをバージョンアップさせたお前が馬鹿なの。ナノ魔人から大魔神になれば、身体か大きくなって家を突き破るぐらい予想できることなの」
「やかましい! 家を元に戻せ!」
「分かったなの」
「お! もう治った。魔法ってすごいな」
「驚いたかなの」
「どうでもいいが、ナノ魔神から大魔神にバージョンアップしたのに語尾は『なの』のままだな」
「気にするななの」
「まあ、いい。願いは後三つ叶うんだったな」
「何言ってるなの。後一つしか残っていないなの」
「大魔神になったから、三つ叶えられるんじゃないのか?」
「一つはあたしのバージョンアップで使ったなの。もう一つはおまえの家を治すのに使ったなの。後一つしか残っていないなの」
「なんだとう!?」
「さあ。願いを言うなの」
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