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現在、俺と先輩、レオの三人で食卓を囲んでいる。
あの後、色々あってレオが俺を離してくれて、先輩は無事部屋に入ってこれた。それから、俺は調理の続きに取り掛かり、無事に天丼が出来上がった。
レオに天丼を出すと、見たこともない料理に初めは少し警戒したような顔をしていたが、故郷で食べられている料理だと説明すれば納得してくれた。
「レオの口に合えばいいんだけど……」
ものすごく緊張する。
人に料理振る舞うなんて先輩以外にした事がない。だというのに、二人目が普段すごくいいものを食べている人だなんて……。
レオが恐る恐ると言った感じでご飯を口に運ぶ。
「…………美味しいな。今まで食べたことのない味だ」
「ほんと? 良かったぁ」
緊張が溶け、安心から全身の力が抜ける。
レオはそれから二口、三口とどんどん食べてくれているので、見てるこちらも嬉しくなる。
安心したところで、俺と先輩も手を合わせて食べ始める。
それにしても、レオの食べ方はとても綺麗だ。一つ一つの動作がとても優雅に見える。
こういう姿を見ると節々に育ちの良さが見え、やはりレオは王子なんだなぁと改めて思う。
「リョウは料理が上手いのだな。また新たな一面を知れた」
そう言ってレオが嬉しそうに笑う。
(な、なにそれ……ずるいだろ)
ちょっと待て。何で今俺はレオにずるいなんて思ったんだ? なにがずるい?
ふと出た自分の感情の意味が分からず、無言でご飯を食べながら考える。
「レオ様は、ほんとに諒が好きなんですね~」
俺が自問自答していることなんて知らない先輩は、ニヤニヤしながらそう言った。
「当たり前だ。でなければ、ここまで本気で落とそうなどと思っていない」
真剣な表情でそう言ったレオを、先輩はまじまじと見つめてから口を開く。
「……なんか、レオ様のイメージ変わりました」
「?」
「俺、これでも一応騎士なんでレオ様の噂とか話は何度も聞いたことがあるんですけど、こんな風にまっすぐで一途な感じだとは思ってませんでした」
それは捉え方によれば失礼にあたるのでは? と思い、聞いている俺がドキドキしてしまう。
レオの方を見ると、特に気にしている様子はなかったので安心する。
「そうだな、俺もまさか自分がこんな風になるとは思っていなかった。リョウに会って初めて、こんな自分がいることを知ったのだ」
(俺が知ってるレオは、俺しか知らないレオだった、のかな)
そう思うと、不思議と心がふわふわと温かい気持ちになった。
(なんか、嬉しい、かも?)
レオは飾ることなく、本心のままに言葉を綴る。だからこそ、俺はいつも振り回されてしまうのだが……。でも、本心だと分かるから信じられる。
(俺もいつまでも中途半端なままにせず、ちゃんとレオのこと考えなきゃな。本心でぶつかってくれるレオに失礼だ)
あの後、色々あってレオが俺を離してくれて、先輩は無事部屋に入ってこれた。それから、俺は調理の続きに取り掛かり、無事に天丼が出来上がった。
レオに天丼を出すと、見たこともない料理に初めは少し警戒したような顔をしていたが、故郷で食べられている料理だと説明すれば納得してくれた。
「レオの口に合えばいいんだけど……」
ものすごく緊張する。
人に料理振る舞うなんて先輩以外にした事がない。だというのに、二人目が普段すごくいいものを食べている人だなんて……。
レオが恐る恐ると言った感じでご飯を口に運ぶ。
「…………美味しいな。今まで食べたことのない味だ」
「ほんと? 良かったぁ」
緊張が溶け、安心から全身の力が抜ける。
レオはそれから二口、三口とどんどん食べてくれているので、見てるこちらも嬉しくなる。
安心したところで、俺と先輩も手を合わせて食べ始める。
それにしても、レオの食べ方はとても綺麗だ。一つ一つの動作がとても優雅に見える。
こういう姿を見ると節々に育ちの良さが見え、やはりレオは王子なんだなぁと改めて思う。
「リョウは料理が上手いのだな。また新たな一面を知れた」
そう言ってレオが嬉しそうに笑う。
(な、なにそれ……ずるいだろ)
ちょっと待て。何で今俺はレオにずるいなんて思ったんだ? なにがずるい?
ふと出た自分の感情の意味が分からず、無言でご飯を食べながら考える。
「レオ様は、ほんとに諒が好きなんですね~」
俺が自問自答していることなんて知らない先輩は、ニヤニヤしながらそう言った。
「当たり前だ。でなければ、ここまで本気で落とそうなどと思っていない」
真剣な表情でそう言ったレオを、先輩はまじまじと見つめてから口を開く。
「……なんか、レオ様のイメージ変わりました」
「?」
「俺、これでも一応騎士なんでレオ様の噂とか話は何度も聞いたことがあるんですけど、こんな風にまっすぐで一途な感じだとは思ってませんでした」
それは捉え方によれば失礼にあたるのでは? と思い、聞いている俺がドキドキしてしまう。
レオの方を見ると、特に気にしている様子はなかったので安心する。
「そうだな、俺もまさか自分がこんな風になるとは思っていなかった。リョウに会って初めて、こんな自分がいることを知ったのだ」
(俺が知ってるレオは、俺しか知らないレオだった、のかな)
そう思うと、不思議と心がふわふわと温かい気持ちになった。
(なんか、嬉しい、かも?)
レオは飾ることなく、本心のままに言葉を綴る。だからこそ、俺はいつも振り回されてしまうのだが……。でも、本心だと分かるから信じられる。
(俺もいつまでも中途半端なままにせず、ちゃんとレオのこと考えなきゃな。本心でぶつかってくれるレオに失礼だ)
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