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29.暗雲
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朝日が昇り、目が覚めるとアビリウスさんの姿はなかった。
日が昇りきる前に暗闇に紛れたのだろう。
「…ちょっと寂しいな」
アビリウスさんがいた痕跡はなく、もしかして昨日の出来事は夢だった?と錯覚するほどだ。
「…いたた…夢…じゃな、いね」
けれど、腰にある痛みが昨日彼がいて、交わった事を証明していた。
「…会いたいなあ」
頭の中はアビリウスさんの事でいっぱいだった。
幸せな気持ちの中、今日も夜会いに行こう、そう心の中で決めていた。
「伊織ー、起きてる?」
「起きてるよー」
「ゆっくりしてたら遅刻するよ?」
「え?……あっ!!」
お母さんの言葉に一気に現実に戻ると、私は大慌てで学校へ向かう準備をした。
「…」
一瞬あの道を使うか迷ったが、そこは通らず猛ダッシュして学校へ向かった。
*
「伊織!」
「おはよー」
教室に着いて早々、駆け寄ってきた真実に挨拶をする。
「昨日休んでたけど、大丈夫?」
「あ、うん…大丈夫」
適当に相槌を打って席に座ると、隣から熱い視線を感じた。
「…南さんおはよ」
「…」
「?南さん??」
何も言わず、じとりとした目で私を見る南さん。
何もした記憶がないのですが…一体何なのでしょうか?
「村瀬さんさぁ…」
「?」
ようやく口を開いたと思えば、
「男できた?」
「っへ?!!!」
思わず大きな声で狼狽えてしまった。
「なんか…雰囲気変わった気がするんだよねぇ」
「へっ、そ、そう??」
「え?伊織まじ??」
あまりにも私が動揺しているからか、近くにいた真実も食いついてきた。
「あ!!もしかして!!」
何かを閃いたのか、目を見開いて嬉々としている真実。
「ちょっと前に行ったカフェのお兄さん?!!」
「違う」
どうやら杞憂だったらしい。
もはやどんな顔だったかすら記憶にない人だった。
「席に座れー」
良いタイミングで先生が教室に入ってきて、話はそこで終わった。
まだ隣からの視線は若干感じるが、無視だ無視。
「ーーーー、」
先生の眠気を誘う話を聞きながら、私はふと私とアビリウスさんの関係って何なんだろうと思った。
友達、ではない。告白云々もしてないから恋人でもない…。でもエッチはした…。
(…これは俗にいうセフレではないか…?)
相手が夢魔という特殊さはあれど、お互いが気持ちよくなるWin-Winの関係。
「!!!!」
「何だ村瀬?」
動揺が体に伝わって、ガタリと先生の声しか聞こえない空間に響き渡る。
「い、いえ!何でもありません…!」
先生が訝しむ様に私を見たが、そんな事など今の私は気にもならなかった。
隣で未だ私を見ていた南さんの表情が険しくなった事にももちろん気付かなかった。
日が昇りきる前に暗闇に紛れたのだろう。
「…ちょっと寂しいな」
アビリウスさんがいた痕跡はなく、もしかして昨日の出来事は夢だった?と錯覚するほどだ。
「…いたた…夢…じゃな、いね」
けれど、腰にある痛みが昨日彼がいて、交わった事を証明していた。
「…会いたいなあ」
頭の中はアビリウスさんの事でいっぱいだった。
幸せな気持ちの中、今日も夜会いに行こう、そう心の中で決めていた。
「伊織ー、起きてる?」
「起きてるよー」
「ゆっくりしてたら遅刻するよ?」
「え?……あっ!!」
お母さんの言葉に一気に現実に戻ると、私は大慌てで学校へ向かう準備をした。
「…」
一瞬あの道を使うか迷ったが、そこは通らず猛ダッシュして学校へ向かった。
*
「伊織!」
「おはよー」
教室に着いて早々、駆け寄ってきた真実に挨拶をする。
「昨日休んでたけど、大丈夫?」
「あ、うん…大丈夫」
適当に相槌を打って席に座ると、隣から熱い視線を感じた。
「…南さんおはよ」
「…」
「?南さん??」
何も言わず、じとりとした目で私を見る南さん。
何もした記憶がないのですが…一体何なのでしょうか?
「村瀬さんさぁ…」
「?」
ようやく口を開いたと思えば、
「男できた?」
「っへ?!!!」
思わず大きな声で狼狽えてしまった。
「なんか…雰囲気変わった気がするんだよねぇ」
「へっ、そ、そう??」
「え?伊織まじ??」
あまりにも私が動揺しているからか、近くにいた真実も食いついてきた。
「あ!!もしかして!!」
何かを閃いたのか、目を見開いて嬉々としている真実。
「ちょっと前に行ったカフェのお兄さん?!!」
「違う」
どうやら杞憂だったらしい。
もはやどんな顔だったかすら記憶にない人だった。
「席に座れー」
良いタイミングで先生が教室に入ってきて、話はそこで終わった。
まだ隣からの視線は若干感じるが、無視だ無視。
「ーーーー、」
先生の眠気を誘う話を聞きながら、私はふと私とアビリウスさんの関係って何なんだろうと思った。
友達、ではない。告白云々もしてないから恋人でもない…。でもエッチはした…。
(…これは俗にいうセフレではないか…?)
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「!!!!」
「何だ村瀬?」
動揺が体に伝わって、ガタリと先生の声しか聞こえない空間に響き渡る。
「い、いえ!何でもありません…!」
先生が訝しむ様に私を見たが、そんな事など今の私は気にもならなかった。
隣で未だ私を見ていた南さんの表情が険しくなった事にももちろん気付かなかった。
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