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エピローグ
【エピローグ】 美形男性恋愛禁止法、通称"イケメン法"の施行から一年。変わり果てた日本社会。
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2026年4月、日本各地で桜の開花宣言が聞かれる季節。
朗らかな春の空気が街に流れる一方で、夜のニュース番組「報網ステーション」では、美形男性恋愛禁止法、通称"イケメン法"についての特集が組まれていた。
眼鏡をかけた男性キャスターが、社会学者の穂茂瀬穴造に質問を投げかける。
「穂茂瀬さん。こちらのデータについてご意見をお聞かせください」
「はい…これは衝撃的な内容ですね」
テレビスタジオの中央に設置された大型モニターには、グラフやデータが映し出される。モニターの左右には、解説委員やコメンテーターが真剣な表情で座っていた。
男性キャスターは、手にした指し棒でモニター画面を指しながら説明する。
「このデータは、民間企業による婚活関連企業へのアンケート調査結果をまとめたもので、去年2025年の最新データです」
解説委員である穂茂瀬氏は、モニター画面を神妙な面持ちで見つめながら解説を始めた。
「このデータから、イケメン法が施行されてから男性の婚活参加率が大幅に減少していることがわかります。2024年時点では、婚活をする男女比はほぼ同率でしたが、イケメン法施行後に婚活に参加する男性が減っています。この減少具合から、イケメン法が男性の婚活に与えた影響は大きいと言えるでしょう」
「なるほど…では穂茂瀬さん、こちらのデータも解説をお願いします」
モニター画面が切り替わり、新たなデータが表示される。画面上部には〝若年層の恋愛価値観調査〟のタイトルが表示された。
「はい、こちらのデータも衝撃的です。10代~30代の若年男性へのアンケート結果ですが、〝異性への関心〟や〝恋愛の経験〟が著しく減少していることがわかります」
「穂茂瀬さん、このデータもイケメン法の影響と言っていいんでしょうか?」
「その通りです。過去10年のデータと比較しても、イケメン法によって男性の恋愛離れがより深刻化していると言えます」
深刻な表情を浮かべる穂茂瀬氏。男性キャスターやコメンテーターも戸惑いを隠せない様子だ。
女性コメンテーターA氏が口を開いた。
「え、待って。これだと、少子化対策のために打ち出したイケメン法が、逆に少子化を進行させているということですか?」
穂茂瀬は重い口調で答える。
「はい、残念ながらイケメン法は日本の少子化を悪化させたと言わざるを得ません」
男性コメンテーターB氏が畳み掛けるように質問を繰り出す。
「じゃあ、何が原因で男性は恋愛しなくなったんですか?イケメン法によって何かが大きく変わったということですよね?」
男性キャスターは、先ほどのデータの続きを画面に示した。
「男性が恋愛をしなくなった原因について、〝若年層の恋愛価値観調査〟のデータから答えが見えてくるかもしれません。穂茂瀬さん、こちらも解説をお願いします」
「はい、こちらは〝異性への関心〟ではなく〝同性への関心〟に関連したアンケート調査結果です。〝好きな同性がいる〟や〝同性との恋愛の経験〟といった設問ですが、男性のことが好きな男性が急増していることがわかります」
〝同性への関心〟に関連したデータが表示され、スタジオ内はざわつき始める。
女性コメンテーターA氏も驚いた表情を浮かべた。
「え、待って。なんでイケメン法が出来てから、男性の間で同性愛が広まったんですか?」
男性キャスターは、女性コメンテーターA氏の質問を受け、〝アンケートの詳細〟を画面に示した。
「このアンケート調査では、回答理由についても聞いています。その一部を紹介しましょう」
《アンケートの詳細》
10代男性『クラスメイトのイケメンが女装を始めて、一目惚れしてしまった』
20代男性『いろいろな男の娘インフルエンサーを見て、性的な魅力を感じるようになった』
30代男性『同僚の女性社員より、後輩のイケメン社員の方が可愛いと思っていた。イケメン法のおかげで、より素直に可愛いイケメンを好きになった』
「こういった理由で、同性の恋愛に勤しんでいるようなんです」
アンケートの詳細を聞き、穂茂瀬氏は大きくうなずいた。
そして、ゆっくりとした口調で持論を述べていく。
「そうですね。皮肉なことに…イケメン法によって、イケメンの魅力が男性にも認識されるようになった…。その結果、男性は女性よりもイケメンとの恋愛を選ぶようになった……ということですね」
衝撃的な分析に、スタジオ内はピリッとした空気に包まれる。
男性コメンテーターB氏も眉間にしわを寄せ、意見を述べた。
「実は僕も、男の娘コンカフェにハマっていて…」
ニュース番組の議論は続いていく………。
…。
……。
………。
「異次元の少子化対策、イケメンは女性とセックスするの禁止」
♡終わり♡
朗らかな春の空気が街に流れる一方で、夜のニュース番組「報網ステーション」では、美形男性恋愛禁止法、通称"イケメン法"についての特集が組まれていた。
眼鏡をかけた男性キャスターが、社会学者の穂茂瀬穴造に質問を投げかける。
「穂茂瀬さん。こちらのデータについてご意見をお聞かせください」
「はい…これは衝撃的な内容ですね」
テレビスタジオの中央に設置された大型モニターには、グラフやデータが映し出される。モニターの左右には、解説委員やコメンテーターが真剣な表情で座っていた。
男性キャスターは、手にした指し棒でモニター画面を指しながら説明する。
「このデータは、民間企業による婚活関連企業へのアンケート調査結果をまとめたもので、去年2025年の最新データです」
解説委員である穂茂瀬氏は、モニター画面を神妙な面持ちで見つめながら解説を始めた。
「このデータから、イケメン法が施行されてから男性の婚活参加率が大幅に減少していることがわかります。2024年時点では、婚活をする男女比はほぼ同率でしたが、イケメン法施行後に婚活に参加する男性が減っています。この減少具合から、イケメン法が男性の婚活に与えた影響は大きいと言えるでしょう」
「なるほど…では穂茂瀬さん、こちらのデータも解説をお願いします」
モニター画面が切り替わり、新たなデータが表示される。画面上部には〝若年層の恋愛価値観調査〟のタイトルが表示された。
「はい、こちらのデータも衝撃的です。10代~30代の若年男性へのアンケート結果ですが、〝異性への関心〟や〝恋愛の経験〟が著しく減少していることがわかります」
「穂茂瀬さん、このデータもイケメン法の影響と言っていいんでしょうか?」
「その通りです。過去10年のデータと比較しても、イケメン法によって男性の恋愛離れがより深刻化していると言えます」
深刻な表情を浮かべる穂茂瀬氏。男性キャスターやコメンテーターも戸惑いを隠せない様子だ。
女性コメンテーターA氏が口を開いた。
「え、待って。これだと、少子化対策のために打ち出したイケメン法が、逆に少子化を進行させているということですか?」
穂茂瀬は重い口調で答える。
「はい、残念ながらイケメン法は日本の少子化を悪化させたと言わざるを得ません」
男性コメンテーターB氏が畳み掛けるように質問を繰り出す。
「じゃあ、何が原因で男性は恋愛しなくなったんですか?イケメン法によって何かが大きく変わったということですよね?」
男性キャスターは、先ほどのデータの続きを画面に示した。
「男性が恋愛をしなくなった原因について、〝若年層の恋愛価値観調査〟のデータから答えが見えてくるかもしれません。穂茂瀬さん、こちらも解説をお願いします」
「はい、こちらは〝異性への関心〟ではなく〝同性への関心〟に関連したアンケート調査結果です。〝好きな同性がいる〟や〝同性との恋愛の経験〟といった設問ですが、男性のことが好きな男性が急増していることがわかります」
〝同性への関心〟に関連したデータが表示され、スタジオ内はざわつき始める。
女性コメンテーターA氏も驚いた表情を浮かべた。
「え、待って。なんでイケメン法が出来てから、男性の間で同性愛が広まったんですか?」
男性キャスターは、女性コメンテーターA氏の質問を受け、〝アンケートの詳細〟を画面に示した。
「このアンケート調査では、回答理由についても聞いています。その一部を紹介しましょう」
《アンケートの詳細》
10代男性『クラスメイトのイケメンが女装を始めて、一目惚れしてしまった』
20代男性『いろいろな男の娘インフルエンサーを見て、性的な魅力を感じるようになった』
30代男性『同僚の女性社員より、後輩のイケメン社員の方が可愛いと思っていた。イケメン法のおかげで、より素直に可愛いイケメンを好きになった』
「こういった理由で、同性の恋愛に勤しんでいるようなんです」
アンケートの詳細を聞き、穂茂瀬氏は大きくうなずいた。
そして、ゆっくりとした口調で持論を述べていく。
「そうですね。皮肉なことに…イケメン法によって、イケメンの魅力が男性にも認識されるようになった…。その結果、男性は女性よりもイケメンとの恋愛を選ぶようになった……ということですね」
衝撃的な分析に、スタジオ内はピリッとした空気に包まれる。
男性コメンテーターB氏も眉間にしわを寄せ、意見を述べた。
「実は僕も、男の娘コンカフェにハマっていて…」
ニュース番組の議論は続いていく………。
…。
……。
………。
「異次元の少子化対策、イケメンは女性とセックスするの禁止」
♡終わり♡
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