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そうだ異世界に行こう 2

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で……今日は図書館に来てみた。
平日とあって、利用する人も疎らな市営の図書館。
色々な事を調べるのには打ってつけの場所である。
 
 
昨日まで悩みに悩んで…考えに考えて出した答えを、自由登校となった学校に朝イチで報告してきた。
 
 
当初の予定では薬学部のある大学希望で、受験勉強してきた。
志望動機は…薬剤師以外でも働く場所はあるから潰しが利くという、まぁ夢もへったくれもない理由。
 
 
自分で言うのもなんだけど、物覚えも良く成績は上から3番目以降になった事はなく、奨学金制度を利用して進学予定だった。
 
 
けど、まぁ…異世界あっちにお引越し…する予定なので、もちろん進学できるわけもなく、地球に帰って来れるという確信もないので、潔く受験・進学を取り止めた。
 
 
担任と進路指導の先生にはだいぶ引き留められたが、ホントの理由も言えるわけもないので、昨日、必死こいて考えた設定を使って、どうにかこうにか切り抜けた。
 
 
ちなみにその設定とは……記憶喪失だった母親の記憶が戻り母国に連絡を取ったところ、捜索リストに名前が掲載されていたらしく、無事血縁者が見つかった。
今現在、病気等で後継者が居ないので、できれば帰国して欲しいと懇願された。
 
 
…とまぁ、ありそうでなさそうな設定。
それもこれも、「金髪美人・記憶喪失・海岸に漂着」という、この町では有名な母さんがいたからこその設定。
 
 
で…受験はなくなったけど、異世界あっち行っても知識があればきっと役に立つ…はず…という、安易な考えで図書館である。
 
 
知識チートあっても損は無いはず。
 
 
幸い、俺の必死な懇願が効いたのか、「お引越し」は高校卒業まで待って貰える事になったので、少しだけど時間はある。
 
 
覚えられないものは最悪、本を購入って手もある。
あの「鞄」マジックバックに入れていけばOKだしね。
 
 
でもそれは最後の手段…らしい。
あまり地球こっちの物は持って行かない方が良いと、母さん…が言っていた。
 
マリリン…恥ずかしすぎて呼ぶに呼べない…母さんにもニヤニヤと「マリリンって呼んでくれないの?」なんて言われたけれど……無理でした。
 
 
とりあえず…母さんの呼び名の事は置いておいて……
図書館のあちこちから、色々な本を選び出す…
 
 
料理、薬草…便利機器の作り方?
さて、何を重点において覚えるべきか。
いや…満遍なく覚えるべきか。
 
 
レベル的にどの位の世界なのか…母さんに聞いても
「普通に生活できるから大丈夫よぉ~」
と、のほほんととした答えが返ってくるだけで明確な物は何も無し。
 
 
ウチの天然様は、未知の世界へ行く俺の不安を解ってはくれないらしく、
「カイトなら大丈夫。だって私だって生きていられたんだもん♪」
 
何を根拠にそんな事を言ってるのか……
オイオイ…その世界から何かがあって地球に飛んだんだよね?
 
 
という俺の言を聞かず続いた言葉が…
「カイトだって魔法位すぐ使えるようになるわよぉ~…多分」
という、なんとも頼りない言葉だった。
 
 
そんなわけで、自分で自分の不安を無くそうと、一心不乱に本を読むオレ。
はっきり言って、こんなに本を読むのはだいぶ久しぶりなので若干疲れ気味だけどね。
 
 
 
さすがに疲れたので、お昼の合図と共に図書館を出て帰宅。う~ん、目がしょぼしょぼする。
翻訳の仕事の整理をしている母も、きっと今頃は同じ状態のはず。
ご飯を作ってやらないとね。
 
 
天然ぽやぽやだけど、責任感まではぽやぽやではなかったようで、お世話になった人へのご挨拶やら、長期的に見て受けていた仕事やらを完納すべく頑張っている。
ここ数日はだいぶ無理をしている気がするなぁ。
しばらくは母のマネージャー業でもやってみるか?なんて思ったりもしたりして…。
 
 
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