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しおりを挟む祈りの間でお互い誓いを立て、そして真実の名ー…真名を交換をした。
ここに来る前……社長の切羽詰まったようなプロポーズに、私はなんて応えたのか……今までの私を見てくれれば、断る理由なんて塵ほどもない。
ないのだけど……不覚にも、社長のプロポーズを聞いて、気分が天に昇り過ぎて降りてこず……正直、自分がどんな言葉でどんな風に応えたのか覚えていない。
まるで熱に浮かされて、自分の声が自分以外から出ているんじゃないかと錯覚するほどテンパった結果、すっごくテンションの高い社長にお姫様抱っこされた挙句、ドラマのようにクルクルと回り、抱き上げられたそのままに、ここ…祈りの間に連れて来られた。
で……テンションマックスで勢いで入ってしまった社長も、外界との扉が閉まってしまったあと我に返った…らしい。
「ごめん……有頂天になり過ぎて、伴侶の契りのこと言う前に入っちまった」
さっきまでの満面の笑みが一瞬にしてどこかに吹っ飛んでしまった社長は、気のせいか顔色が悪い。
⚫〇⚫〇
ここ…祈りの間は代々ここの当主が守り、祈りを捧げる場所らしい。そして、一族や一族に関係する者の儀式を行ったり、契りや契約を結んだりする場所らしい。
そして……一度扉を閉ざしてしまうと、契約の可否云々関係なく、儀式が終了しない事には扉が開かず……一度儀式をしてしまうと、同じ儀式(私と社長の伴侶の契りの儀式)をするには、また一年近く、社長が祈りを捧げないと出来ないらしい。
そんな事を聞いてしまって、延期で…なんて事が言える訳もなく、儀式の決行を了承したけれど……色々と順番が逆になってしまったと、思わず漏らしてしまった。
儀式については……この祈りの間を支配する、人間の神にも等しい存在との契約で、自分以外に伝えることは出来ないらしい。
後日勢い余って言ってしまいそうになったけれど、自然に声が出なくなってしまい話せなかった。
当たり前だけれど、社長の真名も他人には…社長が許可した者にしか聞こえないらしく、私が他の人の前で社長の名前を呼んでも、社長が対外的に使っている名前に変換されて聞こえるらしい。
何度も体験できる事でもなく、私的には思い出として映像で残しておきたいくらい感動した儀式だったけれど、人外さんを護る為に必要なシステムなんだろうと納得した。
いずれ、自分も護ってもらう神様なのだ。
私も日々感謝し敬っていこうと思う。
ちなみに…社長の真名は『雪斗』と教えて貰った。
私が普通に社長の真名を呼んでも、他の人には『崇史』と聞こえるらしい。どんな仕組みなのか、社長も解らないらしいが、これも人外さんを護る為のものなのだろう。
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