生まれ変わりも楽じゃない ～生まれ変わっても私はわたし～

６４ ～会議は続くよどこまでも～

私がマジックバッグ作成に奮闘している頃、王宮では会議が開かれていた。


この国は王政とはいえ、貴族院という一部の貴族の代表者と、政務を実際行っている者が議題を協議して、最終的に王家が了承する形で国の政まつりごとを行っている。


「レオナルド殿下はどうされてしまったのか…安泰と言われていた後継者問題が……」


頭を抱えるのは、レオナルドがウィンステッド領に行く際に護衛に付けられた者の一人だ。今回は、ほぼ決まると思われていた婚約の見届け役として、ついて行った…はずであったのに。


「長年側近として付き従ってきたサイラスも要らぬと仰られたそうだな…」


宰相の一言で、皆再び頭を抱える。
一時の乱心なのか、これからも続くのか誰にも何も言えない案件だ。


「ホントに…人が変わられてしまったようだ…」


「ウィンステッド家との婚約も流れそうな感じだな……まぁ、こちらとしては一つの家が力を持ち過ぎるのはどうかと思っていたので、都合がいいと言えば都合が良いのだが…」



サイラスの側近解任宣言を万人の前でやってしまったらしく、同じ理由での婚約内定辞退の書状だった。


「しかし良い報告も…」

第二王子の素行の改善である。


「しかし、継承権放棄の宣言が…」


「一度宣言したものを容易く翻すのも…」


終わりの見えない会議が続く……。


「誓約の儀を先に延ばしていたのが幸いだったか……」


宰相の一言に皆が頷く。
結局、議題に上がったレオナルドの素行問題、婚約の件は先延ばしとなった。